事実
「あやのさーん!彩乃さんだよね?!
どうして...... 」
言葉が 詰まって 声にならない。
彩乃さんに 間違いないのに なんで何も言って
くれないのか......
彩乃さんは 僕を見てるだけだった。
「ねぇー!彩乃さんだよね?」
彩乃さんに 抱きついて 泣きながら うったえた。
「ずっーと ずっーと......会いたかった......
うっうう......どっどうして...ここに...」
彩乃さんを 見上げると ニコッと 微笑んで
スッーと 消えてしまたった......
「なんで?なんで......うっ......うわーーー
ーん......」
ベンチに顔を うずめて 泣き崩れ 何度も何度も
涙を拭いても 止まらない 立ち上がる事もできず
どうしようもなく なき続けて
もう......泣きつかれた......
人間って こんなにも 涙がでるんだな......もう
疲れちゃったよ......僕は 幽霊の彩乃さんでも
どんな彩乃さんでも 一緒にいたい 家族になりたい!
「戻って......戻ってきて......」
遠くの方から......かすかな声が聞こえる......僕はいったい?......ここは?......
「せんせーい!先生!志貴さんが
志貴さんが目を覚ましました。」
1ヶ月後
足がまだ上手く歩けないので
リハビリに通っています。
意識がなかったのは僕だった......彩乃さんと過ごした日々は
初めから 何も 存在しなかった......結婚式も
僕は......
長い間 目を覚まさなかったらしい......
何が本当なのか
彩乃さんの あの温もりも あの声も あの髪も......チロも......
あれから 何回かリハビリを続けて ようやくギブスが取れる日
先生や看護師の方に お世話になった 挨拶をしに
入院してた 病棟にいくと 婦長さんが
「志貴くん 本当 元気になって 良かったわ」
嬉しそうに 喜んでくれた。
ちょっと 照れながら
「ありがとうございました。」
「彩乃さんも きっと喜んでるわ!」
「えっ?!」
僕は 今何か 聞き間違いしてるのかな?
婦長さんは、僕の目を見て
「志貴くんが 知らないのは 無理もないわ......
あなたが ずっと 意識がない時に 担当してた
看護師さんなんだから......親身になって いろいろ やってくれてたから......」
少しうつむいて 口ごもる 婦長さんに
「その看護師さんは?会いたいです!」
婦長さんは 少し考えて 言いにくそうに
「ごめんなさいね......もう亡くなられたの」
少しの期待も 裏切られた......でも、諦めず
どうしても
お礼を言いたい事を必死に頼んだら 親御さんに
連絡をしてくれて 了承をもらえた。彩乃さんの実家の住所を教えてもらい 後日 伺う事に......