第2章 episode4 麒麟襲来
北風が強い中、アツト達を乗せた馬車はワールドコネクトへと向かっていた。
ワールドコネクトの前に広がるオルアース大森林をアツト達は進んでいた。
「もうワールドコネクトに到着するぞ!」
ライオネルは言った。
馬車は大森林を駆け抜け平野に出た。
あたりには濃い霧がかかっておりとても怪しげな雰囲気がただよっていた。
(おかしいな…この辺りは霧は発生しない場所なのだが。)
ライオネルは何か胸騒ぎを感じた矢先、ライオネルの頭上に斧が振り落とされた。
ものすごい衝撃波があたりを吹き飛ばした。
アツトとアツト達も衝撃で外に吹き飛ばされた。
「なんだいきなり!」
アツトは驚いた。
目の前にいたのは、斧を振り下ろした緑色の巨人とそれを受け止めているライオネルだった。
「なぜトロールがこんなところに。」
ライオネルはそう言うと剣を振り切りトロールを一瞬で消し去った。
「あんなデカいやつを一撃で…。やっぱりすげぇな。」
アツトは驚きつつライオネルの強さを実感していた。
「すまないみんな。驚かせたね」
ライオネルは3人に謝罪した。
アオイは言った。
「気にしないでください!みんな無事で何よりですよ。」
とライオネルの元へ駆け寄ったその時、横から高速で光る何かが飛んできた。
「アオイ危ない!」
アツトがそういったその時、アオイの前に怪我を負っているラクが飛び込みアオイを突き飛ばした。
その光るものはそのままラクに直撃し体を貫いた。
「ラク!!!!」
アオイとアツトは叫んだ。
ラクはそのまま倒れこんだ。口からは出血しており、特に貫かれた右腹からはかなり勢いよく血が流れてきた。
「今打ったやつ出てこい!!」
アツトは怒りをあらわにしていた。
「そこにいるのは知ってるんだ。出てこい、四皇・麒麟!」
ライオネルは大きな声でそう言った。
濃霧で視界が悪くさらに空もどす黒い。こんな不気味な雰囲気の中にその声は聞こえた。
「妾の名を知ってるとはさすが聖騎士なだけはある。」
アツトは麒麟に言った。
「姿を見せろ!」
そう言うと、一瞬あたりが沈黙になった。
その後、奥の方から銀色の長い髪に額に1本の角が生えていて全身に雷を纏った身長150センチくらいの少女が出てきた。
「お前が四皇・麒麟か?」
アツトが聞いた。
「如何にも、妾が麒麟じゃ。」
そう言うとライオネルが問いかけた。
「なぜお前がこんなとこにいるんだ?お前が来る場所ではないだろう。」
麒麟は少し間をおいて言った。
「妾がここに来た理由だと?まぁいい答えてやろう。散歩だ。」
と麒麟は笑いながら言った。
「散歩だと?即時抹殺の許可が出てるお前がよくものこのことこんなところに来れたものだね。」
ライオネルは散歩という思わぬ返答に驚きつつ言った。
アツトは麒麟に言った。
「なんで俺たちを狙った?」
「なぜって妾のルートにお前達がいたからだ。」
「そんな理由でよくもラクを!!」
アツトの怒りが頂点に達し麒麟に向かって突進していった。
「くらえ!疾風斬り!!」
麒麟に高速の剣技が襲いかかる。
ライオネルは何かを悟った顔をしてアツトに叫んだ。
「アツト君逃げろ!押し潰されるぞ!!!」
アツトがかわそうとした時にはもう手遅れだった。
麒麟はため息をつき言った。
「妾がこんなにも好意的に話をしているのにいきなり襲うとは人間には礼儀というものがないのか。」
「西方七星陣・超重力。」
麒麟がそう言うとアツトは思いっきり地面に叩きつけられた。
「体が動かない。というか動けない…」
アツトの周りにだけとてつもない重力が発生していた。
麒麟はアツトを見下ろし言った。
「妾の機嫌を損ねた罰だ。ここで死ね!!」
というと麒麟の手の周りに雷が纏い始めた。
「太極布陣・月下雷鳴!!」
と麒麟が言い、アツトへ手を振り下ろした。
ものすごい爆発音が響き渡り、あたりに爆風が吹き荒れる。
アツトが目を開けると目の前に手を振り下ろした麒麟と剣でそれを抑えているライオネルがいた。
「まだ新人の冒険者達なんだ。無礼をしたのは謝罪する。だから、彼を見逃してやってくれないか?」
ライオネルがそう言うと麒麟はクスッと笑い言った。
「もし断ったら?」
「そしたらお前の気がすむまで僕が相手をしよう。」
ライオネルがそう言うと麒麟は少し考え返答した。
「ふふふっ。まぁいい、今はやめておこう。妾も久しぶりに力を使って疲れた。殺すのはまた今度にしよう。」
「ありがとう。」
ライオネルがそう言うと麒麟は無言で霧の中へと姿を消した。
「アツト君大丈夫かい?」
ライオネルはアツトに尋ねた。
「なんとか大丈夫でした。ライオネルさんがいなかったら今頃殺されてましたよ…」
アツトがそう言うとライオネルは笑顔で返した。
「それよりもラクは大丈夫なんですか?」
アツトが心配そうに言った。
「それなら心配いらないよ。アオイ君が応急処置をして一命を取り留めたし、先にアオイ君がラク君を連れてワールドコネクトへ向かったよ。」
そう言うとアツトは深く息を吐いて言った。
「良かった。ありがとうございます!!」
「礼には及ばないよ。僕も麒麟に接触できたわけだし。それよりも僕たちもワールドコネクトへ急ごう!」
そう言うとアツトは大きな声で返事をした。
「はい!!」
その後、2人は馬車に乗り込み全速力でワールドコネクトへ向かった。