第1章episode2 バーチャルスペース
アツトは噴水広場へ向かっていた。この世界の言葉は運が良い事になぜか日本語であったためなんとか噴水広場へたどり着く事ができた。
「おーい!アツトー!!」
大きな声で走りながらアカリとラクが走ってきた。
「やっと来たかー!お前らも飛ばされてたなんて驚きだよ!」
とアツトは安心感に包まれつつ言った。
「私は夕方帰り道にコンビニによったんだけど買い物終わって外に出たら急にめまいがして目が覚めたらここに飛ばされてた。」
とアオイはどうやって来たかを説明していた。
「やっぱりみんな急に飛ばされたって事だな。何かこの世界について分かればいいけど。」
とアツトは言う。
「あのさー、ちょっと思った事言っていい?」
ラクが何かに勘付いたように言ってきた。
「何か分かったの?」とアオイ。
「この世界ってさ俺らがいつもやってるゲームの中じゃないのかな〜と思うんだよねー。
なんか風景がレジェンダリーストーリーに似てるんだよねー。スタート地点の街ポートセルクに。」
とラクは言う。
ラクの言うレジェンダリーストーリー通称LSとはネットゲームの1つで全世界で話題沸騰中のMMORPGで、仲間と協力して強大な敵に立ち向かうゲームで特に若者にかなりの人気があるらしい。
「そんな訳ないって。そんな事あったらびっくりだよ。」
とアオイは笑いながら言った。
「ラクの言ってる事はあり得るかもしれない。確証はないけどもし本当にLSの世界に飛ばされたのならメインストリートにギルドが集まる酒場があるはず。とりあえずそこに行って確かめよう。」
アツトに2人も同意しメインストリートに向かった。
メインストリートのど真ん中にその酒場はあった。
「やっぱりここはLSの世界だったのか。」
とラクは驚いた声で言っていた。
「本当にゲームの中に来ちゃったって事?」
アカリはびっくりしていた。
「LSだったらこの中でウェイトレスさんとのチュートリアルがあるはずだからとりあえず中に入ろう。」
とアツトは言う。
「そうね。もしかしたら戻り方がわかるかもしれないし。」
アツト達は酒場へと入っていった。
「ようこそ、駆けだし冒険者が集うポートセルクの酒場へ!今日のご用はなんでしょうか?ギルド設立?お食事?それとも冒険者登録ですか?」
ウェイトレスすがたの金髪の17歳くらいの女性が話しかけてきた。
「ええっと僕たちはさっきこの街に来たばかりで冒険者登録もしてないんですよね。」
とアツトは言う。
「そうなんですかー。それじゃあ登録手続きをしますね!」
と女性は言う。
「お願いします!と言いたいところなんですけど1つだけ聞きたいことがあります。とりあえず信じてもらえるかは分からないですけど、僕たちは異世界から飛ばされてきてこの世界のことが全く分からないです。僕たちが元の世界に戻るには何をしたら戻る事ができますか?」
とアツトは単刀直入に聞いた。
「あなたたちも異世界から来たんですか?」
ウェイトレスは驚きつつ言った。
「あなたたちもって?」
アオイが尋ねる。
「実を言うと、今日の朝に2人の男女が冒険者登録してきたんですよ。あなたがだと同じように異世界から飛ばされて来たらしく、戻るためにはこの世界を平和にしなければならないようで、この世界のどこかにいる世界を脅かしている四皇と呼ばれる者を倒さなければならないらしくて冒険者登録が終わるとすぐにビギナーズエリアへ旅立って行ったんですよ。」
とウェイトレスは言った。
「もしかしてその2人って名前をホノカとキョウスケって言ってませんでしたか?」
アツトは恐る恐る聞いた。
「確かにそう名乗ってましたけどもしかしてお知り合いですか?」
とウェイトレスは言った。
「あの2人とはお友達でして僕たちはその2人を探していたんです。なので僕たちも冒険者登録させて頂けませんか?」
アツトは単刀直入に聞いた。
「構いませんが1つ聞かなければならない事があります。冒険者はいつ命を落とすか分からない危険な職業。それでも冒険者になる覚悟はありますか?」
とウェイトレスは聞いた。
もちろんアツト達の答えは決まっている。
なぜなら、キョウスケ達と合流するためには冒険者は必須条件であり、元の世界に戻るには四皇を倒さなければならないので迷う事などないのである。
「もちろんできてます!!!」
3人は大きな声で返答した。
「承知いたしました。それでは手続きを開始するので出来上がるまでの間この世界について説明いたします。」
ウェイトレスはそう言って話し始めた。
「この世界は大きく7つに分けられておりその世界へ行き来きするのにワールドコネクトと呼ばれる施設を利用します。四皇はここビギナーズエリアを除いた6つの世界の何処かに存在しており、今もなお人々へ被害をもたらしています。ワールドコネクトはビギナーズエリアを抜けた先にある大きな施設です。ここにだどりついた時点で冒険者ランクもビギナーからルーキーへ昇格となります。6つの世界についてはワールドコネクトにたどり着いた際に説明があると思います。先ほども申しましたが冒険者はいつ命を落とすか分からない危険な職業。ビギナーズエリアでさえ駆けだし冒険者が毎年数万人ほど挑みワールドコネクトへたどり着いたのはわずか数百人弱。いつも死と隣り合わせという事をわすれないでください。」
とウェイトレスは言った。
「わかりました!説明有難うございます!」
とアツトは言った。
そうこうしている内に冒険者カードが出来上がった。
「これがあなた達の冒険者カードです。頑張ってください。」
ウェイトレスから3人分のカードが手渡された。
「ありがとうございます!」
と3人は言った。
「それとこれも差し上げます。」とウェイトレスは言い、戦利品を渡してくれた。
「わざわざ有難うございます!何から何まで有難うございます。」
アツト達はそう言った。
「それじゃあ2人を探しにとりあえずビギナーズエリアへ出発だー!!」
アツトは大きな声で言った。
「おーーーーーーー!!!」
3人は大きな声をあげた。
彼らの異世界での冒険生活がいま始まった!
第1章 完
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この時彼らはまだこの先自分たちに何が起こるのか予想もしていなかった。
3人はまだこの世界での冒険の厳しさを知らなかった。これからビギナーズエリアで彼らは冒険の恐ろしさを知ることになる。
第1章はプロローグ的な感じです。
次章より本格的に物語に入っていきます。彼らの活躍をお楽しみに!