第1章episode1 「異世界召喚」
第1章episode1 『異世界召喚』
「異世界に行きてぇ」
夏の日差しが鋭い東京の世田谷区。
そこにある大鳥高校に通っている1人の生徒が部室でため息混じりに呟いた。
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彼の名前は川上 淳人。ごく普通の何処にでもいる高校2年生だ。
そんな彼にも1つ突出した才能がある。それはゲームだ。
彼は特にMMORPGと呼ばれる世界中の人たちと1つのゲームで遊べるものにはまっている。
彼の高校は特殊で、彼のゲームでの実績が認められ「オンラインゲーム部」、通称ネトゲ部が部活として認められ活動をしており、彼はそこの部長である。
「ほんっとに異世界に行きてぇ」
彼はさっきからこれしか口に出していない。
「アツトってほんとに異世界が好きだよね」
アツトの目の前でゲームをしている青髪でロングヘアーの女の子がアツトに言った。
彼女の名前は穂野村 葵。この部の副部長でアツトと同じクラスである。
「現実に嫌気がさしてんだよなぁ。勉強して大学行って働いて老人になって死ぬなんて言うシナリオがある人生なんでつまらないって感じててさ、異世界みたいなスリルがあって楽しそうな世界に憧れを抱いちゃうんだよね。」
アツトはアオイに返答した。
「私もそう思う時あるよー。異世界に行ってみたいなーって。」
のんびりとした口調で話す彼女の名前は柊木 穂花。この部の一員でアツトたちとは同級生である。
「お前の場合は異世界でもほのぼのしてる世界にいきそうだよな」
笑いながら話す少年の名前は武田 京介。アツトたちとは同級生で、穂花とは同じクラスである。
「ほのぼのしてる世界が一番でしょ〜。悪者もいないし楽しいし最高だと思うんだよねー。」
穂花はパソコンをいじりつつそう言った。
「さぁ今日も俺様の封印されし魔剣が唸るぜ!」
厨二的な発言をして部室に入ってきたのはアツト達と同級生だが別クラスの少年、名前は天上 楽。
「流石楽。今日も痛いねー」
アツトはラクに言った。
「俺は痛くなんかない!いたって普通だ!」
とラクは言い張る。
と言う風にいつもこんな感じで楽しく部活をやっていた。
その日までは。
その日の夜。
部活が終わりそれぞれ帰宅していた時。
アツトは家に帰る途中公園のトイレによった。
用を足してトイレのドアを開けた瞬間、目の前に広がったのは中世ヨーロッパのような街だった。
「なんだよここ!」
アツトは驚いた。
驚くのにも無理はない。誰だってトイレに入るまでは日本にいたのに目の前に広がってる景色は日本とはかけ離れた世界なのだから。
「とりあえず落ち着け俺。仮にここが異世界だとする。となると俺はトイレしてる時に何かの拍子でこの世界に飛ばされたってわけか。スマホは使えないし、手元にあるのはカバンと財布だけ。この状況で最初にやることとしたら、情報収集からだな。」
ゲーマー歴10年のアツトは異世界に飛ばされたのにも関わらずなぜか落ち着いていた。
その時スマホに通知音が鳴り響いた。
「電波がないのになんでだ?」
アツトは驚きつつも恐る恐るスマホの画面を見た。
「うそだろ…」
アツトは唖然としていた。
なんとその通知の送り主は副部長のアカリからだったからだ。
その内容はアオイも異世界に飛ばされたという事らしい。
「なんでアオイから通知が来るんだ?電波も繋がんないはずなのに。しかもアカリが異世界に飛ばされたって事は他のみんなもなのか?」
アツトは疑問に思い他の3人にもメールした。
そのうち返答があったのはラクだけで、彼も自分の部屋から出ようとしたら異世界にスリップしたらしい。
しかもアオイとラクもアツトとおなじ中世ヨーロッパのような街に飛ばされたらしい。
「アオイとラクが俺と同じ場所に飛ばされた可能性が高いな。とりあえず1人で情報収集するのは危険だし2人と合流するか。」
アツトはそう思い2人に連絡をし街の中心部であるだろう噴水広場で合流する事にした。
「そうと決まれば合流だー!憧れの異世界でかなりテンションMaxだー!」
アツトは嬉しそうに待ち合わせの噴水広場へ向かった。
この時彼らはまだこの先自分たちに何が起こるのか予想もしていなかった。