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36王太子夫妻と晩餐会ー秘密

 私が見ているうちにストロング国の第一王子であるダンの所に王太子夫妻が挨拶の為に現れた。


 ダンのオーラは先程の男と同じように灰色をしていた。

 別に興味もないという感じだろうか。

 彼もあの男たちと同じようになってしまう。


 ふとそう考えてしまいなんでかあの軽薄な第一王子相手に少し胸が痛んだ。


 なんで心が痛むの。

 しつかりしろ自分。

 あいつはヘタレで猫耳美少女好きの変態なんだから!


 私は心の中で叫ぶと息を吐き出して肩の力を抜くともう一度ダンを見た。

 しかし意に反して彼のオーラは灰色のまままったく変わらなかった。


 えっ変わってない!


 どうして?


 それどころか見ているとミエと話しているうちに彼のオーラはどんどん黒く変わっていった。


 とうとうミエから輝くオーラはダンのオーラを変えることが出来ないどころか彼のオーラを不快感で真っ黒にしただけで話は終わったようで二人はダンから離れて行った。


 こちらから見ていてもミエはどうやら唖然としているようだ。

 オーラが困惑の色を示していた。


 その後もヴォイが同じように現れ王太子夫妻に挨拶をしたがダンと同じように彼のオーラもミエの影響をまったく受けなかった。


 何がどうなっているの?


 彼ら以外にミエに接した異性はヴォイ曰く熱愛のピンク色に染まっていた。


 でもなんで熱愛!


 会ってすぐに彼ら以外の全員がミエを熱愛するなんて異常だ。

 私は真剣にミエのオーラを見ながら考えた。


 待って昔これと同じようなことを聞いた覚えが・・・!


 そうよマイルド国の庶民に多いたしか”魅了の瞳”。


 でもなんでそれを使えるの?


 確か回復魔法を使えるものに”魅了の瞳”の持ち主がいたことはないはずなのに・・・。

 だからマイルド国にいた時は気づきもしないどころか考えもしなかった。


 彼女が”魅了の瞳”の持ち主だなんて。


 ふと下を見ると今もミエは”魅了の瞳”を使って挨拶に現れた貴族を一人ピンク色のオーラに変えていた。


 だがどう考えてもそれだけで彼女があの王国を手中に治められる訳がない。

 彼女にはきっと他に有力貴族の協力者がいるはずだ。


 なんとしてもその協力者を探し出して両親の敵を討たなければ。


 私はグッと奥歯を噛みしめると終盤に近づいている舞踏会会場の様子を上から観察した。


 結局最後まで見たがミエに近づいて”魅了の瞳”でオーラが変わらなかったのはストロング国の王家の血筋を引いているものと獣人たちだけだった。


 獣人たちは強い生命力と強靭な肉体それに伴い強い精神力を持っている為もともと”魅了の瞳”などの精神系の魔法にはかかりにくい。


 いやはっきり言ってかかったと聞いたことがないので納得なのだがなんでストロング国の王家の血筋でもそれと同じことが起こるのだろうか?


 とても納得できなかったがここでいつまでも下を観察しながら考えごとをしていると見つかってしまう。


 私は一旦思考を止めると登ってきた時と同じようにして通路を降りるとそこを出て厨房に戻った。


 厨房に戻るとかなり遅くなっていたようで心配していた一花たちに泣きつかれた。

 確かに思った以上に時間がたっていたので心配させて申し訳ないと謝っていると一郎と次郎が戻ってきた。


 どうやらかなり上手くいったようで2人とも笑顔で厨房に現れた。

 すぐにあの場で何十件もの商談を成立させたようでそれを嬉しそうに報告してくれた。


 私は二人を褒めて良くやってくれたと労うと傍で聞いていた厨房のみんなもやって来てみんなが二人をほめた。


 しかしその後すぐに舞踏会会場から大量の食器が下げられてきたので話はそこで終わり全員で後片付けに奔走した。


 明け方近くになってやっと一段落した頃には全員が疲れ切っていてそのまま王宮に借りた部屋に戻るとそのままベッドで爆睡した。


 私は疲れながらもなんとかしてマイルド国に舞い戻ってあの国で今権力の中枢にいるのが何者なのか、ぜひ調べたいと夢の中で考えた。


 翌朝図らずも私の野望は晩餐会のデザートによって実現された。

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