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17.信頼

 翌朝、私たちはダン王子一行を送り出すとスティーブンスに昨日ヴォイに提案された話を打ち明けた。


「なるほど確かにヴォイ魔術師長様がおっしゃる通りですね。それでどの獣人を連れて行かれるつもりですか?」


「あまりこちらの仕事が滞らないように八郎(はちろう)九朗(くろう)十郎(じゅうろう)八花(やあか)九花(くうか)十花(とうか)を連れて行くつもりよ。」


「確かにその方が助かりますが・・・。」

 スティーヴンスは顎に手をあててしばらく考えているとおもむろに顔を上げた。


「これは提案なんですか一郎(いちろう)次郎(じろう)三郎(さぶろう)一花(いちか)二花(にいか)三花(みっか)を連れて行かれた方がいいのではないでしょうか?」


「そりゃ彼らを連れていけば私は楽だけどこっちの采配が大変になるんじゃない。」


 私の指摘にスティーヴンスは頷きながらこう提案してきた。

「確かにこちらは大変ですがいい機会ではないでしょうか。人は頼らずに行動する方が早く上達するものですしいかがでしょうか。」


 まあそれも一理ある。

 いつまでも出来る人間に頼ってばかりでは進歩しないか。


 私はスティーヴンスの提案に頷くと王都には犬耳美少年である一郎(いちろう)次郎(じろう)三郎(さぶろう)と猫耳美少女の一花(いちか)二花(にいか)三花(みっか)を連れて行くことにした。


 スティーヴンスに後を頼んで私が執務室を出るとそこにはなぜかマカが立っていた。

「私も王都までご一緒します。」


「えっでも。」


「ラゲッティ家の推薦状を貰うなら私も一緒の方が良いでしょう。」

 マカはにっこり笑ってそう告げた。


 そりゃそうなんだけどいいのかな。


 私が黙っていると

「こちらの宿の方はスティーヴンスやアンナそれにアルマに任せておけば心配ありませんわ。」


 確かにそうだ。


 私はマカの提案に頷いた。

「明日早朝に立ちます。」


「畏まりました。」

 マカはそう言うと去って行った。


 私はその後一花と一郎を呼ぶと早朝王都に向かうことを伝えた。


「御主人様ですが後に残される・・・。」


 私は一花の話を遮った。

「一花スティーヴンスとも話し合ったけど他の子はあなたたちに頼り過ぎているわ。ここはあの子たちを信じて任せることもあなたたちの役目よ。」

 私がそう言うとしばらく考えていた一花と一郎は2人して頷くと王都に行くことを残ったものたちに話をしてくると言ってそれぞれの方に去って行った。


 まっ一花と一郎が心配するのも無理ないけどここで頑張って貰わないと他の店舗展開をしたとき支障をきたす可能性が出てくる。


 それを考えれば致し方ない。


 そう思いながらも少し心配になって一花と一郎が去って行った方に魔法で作った目と耳を飛ばすと私は自分の部屋に向かった。


 少しすると一花たちの会話と映像が頭の中に浮かび上がった。


「えっそんな。一花たち3人が抜けた後を私たちだけで・・・。」

 四花が唖然としていた。


 一花は心配な顔をしながらも先程私が話した内容をもっと上手に彼女たちに伝えていた。

「御主人様はあなたたちならやれると信じておられたわ。」


「「「「「「「御主人様が!」」」」」」」

 七人は嬉しそうに顔を見合わせるとやる気に目を輝かせていた。


 どうやら猫耳美少女たちは大丈夫そうだ。


 私は次に一郎たちが気になって彼らがいる方に目と耳を向かわせた。


 しばらくすると廊下の突き当りから一郎の声が聞こえてきた。

「御主人様も俺達もお前たちの事を信じているぞ。」

 一郎がそう言うと残りの七人が真剣な目で頷いていた。


 どうやらこっちも心配なさそうだ。


 私は目と耳を消滅させるとタンスを開けて明日持っていくものをトランクに詰め始めた。

 しかしやり始めるとかなりの量があった。


 最初ここを始めた時は着るものすらろくすっぽ持っていなかったのに不思議ものだ。


 お気に入りのワンピースを広げてしげしげと見ているうちにふとマイルド国にいた時の事を思い出した。

 そう言えばこれと同じようなドレスを着てお父様お母様と一緒に舞踏会に出たっけ。


 その時会場で婚約者である王子にエスコートされて・・・。


 ビリッ


 思わず手に持っていたワンピースを破いてしまった。


 なにやってるの私!


 今はまだ復讐するには時期尚早よ。


 落ち着きなさい!


 ハーハースー

 ハーハースー


 私は大きく息を何度も吐くと破いてしまったワンピースをゴミ箱に放った。


 さっ明日の用意をしなくっちゃ。


 私は気合を入れると必要なものをトランクに詰め早朝の出発に備え早々とベッドに入った。 

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