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01 出会い(1)

題名に魔女とか書いてありますが、世間一般的な魔法を使う魔女は出さない予定です。

「行方不明になった子の彼氏らしいよ、あの男子」

 登校中、女子たちの噂話が聞こえてくる。普段は気にかけもしない人のことを喋ってそんなに楽しいか。

 自分のことを言われて俺はイライラする。このまま学校行くのも憂鬱だ。しかし引き返すのも、人の流れに逆流して目立つのが嫌なため仕方なく学校には行く。

 学校には着いたものの俺はクラスには行かない。体調は別段悪くないが保健室でいつも寝ていた。

 彼女がいなくなってからずっとそうだ。先生たちはこの俺の行動を許容していた。否、見てみぬふりをしていた。

 廊下を左に曲がり右に曲がるそして左に曲がると保健室があるが、今日は素直に保健室には行かせてくれないらしい。

 最後の角を曲がったところで壁に寄りかかり俺を睨む者がいた。

 その女は桃色の長髪を揺らしながら一歩一歩こちらに近づいてくる。

 我が校は髪を染めるのは許されているが桃色の髪みたいな目立つ髪型をしているのを俺は見たことも聞いたこともない。

 学年を色で見分けることができる唯一のスリッパは来客用のものだ。

 制服が若干ぶかぶかだが新入生でもないだろう。制服自体が何度も着た感じがある。まだ四月だ。新入生の制服はまだ型崩れするほど着ていないはず。そこで俺はある結論にたどり着く。

「その制服、どこで手に入れた」

 少なくともこの女はこの高校の生徒じゃない。

「あはは、やっぱりキミなら気づくか」

 顔の筋肉を緩めて笑顔になる。

「そこまでの脳ミソがあるのになんで犯人探しをしないの?」

「ということは彼女は家出をしたんじゃなくて、犯人にさらわれたと考えていいんだな」

「キミはわたしの質問聞いてた?」

 この女はまだ微笑んでいる。

 たぶん彼女の行方不明のことを全部は知らなくとも一部は知っているだろう。

「仮に犯人がいたとしても俺は犯人をどうすることもできない」

「感情で動くタイプじゃないんだねぇ。でも中学生ぐらいの時から付き合っているんでしょ。しかも今、犯人の手がかりを知ってそうな女が目の前にいるってのに」

「お前は」

 声を遮られる。

「かのんってよんで。わたしにだって名前くらいあるのよ。キミの名前も知りたいな」

「知ってるんだろ」

「当然」

「んで、かのんは俺にその犯人の手がかりを教えてどうしたいんだ。俺を利用するか。それともかのんが犯人なのか」

「あはは、てっきり『知っていることを教えてほしい』ってくるのかと思ったのに。わたしの損得を知りたいとくるか。わたしはキミみたいに頭良くない。だからわたしは自分の感情に忠実に行動してる。わたしがここに来たのはキミが犯人探しを一ミリもしないのを気になったから来ただけ」

「バカの類いだな」

「言われなれてる」

 と言いつつかのんは笑顔を消さないまま、保健室前の掃除用具入れを持ち上げた。

「……持ち上げたっ!?」

「キミが犯人を探さないということはよーくわかった。でもわたしはそれを気に入らない。言ったでしょ、わたしは自分の感情に忠実なんだって」

 持ったままこっちに向かってくる。

「いやいや落ち着けって。いくらなんでも自分の心に忠実すぎだろ。ほら心身相関という言葉があるように心に忠実なだけでなく身体にも忠実でないとね。ほらいいバランスを保ってこそ健康をたもてるというか、ね」

 不覚にもパニクってしまった。最後の方は意味不明だったな。だがそのかいあって? 彼女は掃除用具入れをその場に置いた。

「シンシンソウカンって本当にそういう意味? キミの方が頭いいのは認めるけど」

「さあ、自分で調べな」

「ふん、じゃあ最後にプレゼントをあげる」

 そう言うとかのんは自分の着ていた制服を脱ぎ始めた。まずはブレザーを脱ぎこちらに投げてくる。それを俺は受けとる。

 ブレザーの裏側には名前を書く場所がある。そこに書いてあった名前は…………。

「やはりこれはあいつのものか」

「そうだよ。それはキミの彼女さんの制服。じゃあこれもいる?」

 かのんはブレザーの下にはカーディガンを着ていた。きっとそれも彼女のものだろう。

 俺は少し考えて……。

「いや、このブレザーだけで十分だ。制服一式持ってると俺が疑いをかけられるからな」

「あはは、やっぱり君ならそうするか。せめてわたしを裸で帰らせるのは可哀想とか言ってくれたら、わたしはキミに心が動いていろいろ教えてあげたのに」

「さっさと消え失せろ。と言いたいところだが、俺からも最後の質問。彼女は生きているのか?」

「それはキミが彼女を見つけるまでわからないよ。いわば今キミにとって彼女は生と死重ね合わせの状態だからね」

「それぐらい教えてくれてもよさそうなものだが」

「もし教えちゃったら、生きてようが死んでようがキミは興味を持たなくなってしまうと思ったからね」

「確かにそうだな」

「じゃあこれで最後の最後、キミは犯人探しをする気にはなったかい」

「まだ足りないな」

「そう、それでもわたしはキミが犯人探しをしてくれたらうれしいかな。それはきっとキミが人間である証拠にもなるよ。それじゃ、犯人探しをするならまたね。しないならもう一生会わないでしょ」

 そう言って彼女は去っていった。というか保健室の隣にある図書室に入っていった。

 俺は深追いをしないで当初の目的だった保健室に行って寝ることにする。

「犯人探しか…………」

 さてどうしたものか。

私の初投稿を読んでくださってありがとうございました。

次話も読んでくれたら幸いです。

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