カンテラ結氷
ビルの3階まで階段を上る間、「後輩」さんたちと少し会話をした。
痩せ型の方はカナ、黒髪の方はミサキっていう名前らしい。
と言っても覚える気はさらさらないし、
その意味もない、十中八九偽名だろうから。
だが二人ともなかなかにイイ性格をしているみたいで、
3階に着く頃には、結構打ち解けていた。
ドアを開けると、やけにきつい香水の匂いが鼻につく。
私同様、カナもミサキもやや不快そうな顔をしていた。
どうも雀荘の女性メンバーの一人がその原因のようだ。
背は高くツリ目がち、一応美人の部類には入るだろうが、
ミサキたちと比べると明らかに劣って見える。
そんな事を考えながら店内を見渡すと、
奥の席にKが座ってこっちを呼んでいるのに気がついた。
傍らには氷の入った4つのグラス。準備は完了しているみたいだ。
「おう、3人ともカウンターで好きな飲み物入れて貰ってこいよ。
金は払ってあるし、何杯でも良いぜ」
「今日はまた機嫌が良いみたいだね、何か良いことでも?」
「少しばかりまとまった金が入ったからな。
そりゃ気分も良くなるってもんよ」
「ではお言葉に甘えて、頂いてくるとするよ」
そう言って私は彼に背を向けた。
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