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*delicious*  作者: Ri.
2/2

2.Ready




「はあ、また買っちゃった…。」


_今日で5日連続…。


【コンビニで買い食いなう…。

 やめなきゃダメって分かってるのにー!】


右手でチョコレートを持った少女は

左手で器用にスマートフォンを操作してSNSに投稿する。



そして少女は小さくため息をもらしながら呟く。




「ん…でも、やっぱり美味しい。」



佐藤琴音。

枚宮高校に通う佐藤琴音は今日も帰り道を歩いていた。


チョコレートを頬張りながら。






昔から甘い物が好きな琴音は、

趣味もお菓子作りだった。

甘いチョコレートや、さっくりと焼いたクッキー。

バレンタインの時期はクリスマスや誕生日よりも好きだった。

友達に自分の作ったお菓子をあげる。

それがどれだけ幸せだったことか。




「だけど、ちょっと食べすぎだ…。」



歩き疲れた足を引きずりながら琴音は自分の過去を思い出す。

そしてチョコレートをまた一欠片かじる。







琴音の通う枚宮高校は成績は良くもなく悪くもなくの成績の高校で、

ここらの大きめの駅、枚宮駅からかなり離れた所にある。


枚宮駅から電車で1駅、枚宮北駅の近くにある。

しかし琴音はその1駅のために電車に乗るのが煩わしいと言って

枚宮駅からいつも枚宮高校まで歩いて通学している。

(そこまでちょうどいいバスも出ていない。

 というか無駄なお金を消費したくない。)


しかし、琴音の母は娘が電車に乗っていると思っているので

毎朝ご丁寧に150円テーブルに置いておいてくれるのだ。





琴音にとってそれは毎日頂ける報酬。ボーナス。




_そして今に至る訳だ。




(せっかくの150円だもん。

 お菓子に使わなくて何に使うのさ…。)




_いや、年頃の女の子なら、コスメとか服とかに使うべきなんだろうけどさ…。

 でも私にはまだ早いっていうか…。んー…。



いまいち琴音には「イマドキ」というモノがわからなかったため

琴音のお金の使い道はほとんどがお菓子だった訳だ。

しかも枚宮高校と枚宮駅の間にはコンビニが多くあり、

1軒、有名なスイーツショップがあったため

琴音は毎日のように違うお菓子を食すことができたのだ。



しかもあまり太らない体質なのか、

琴音の体重は平均。いや、平均よりも少し軽いくらいである。



全国のお菓子好きの学生に羨ましがられる少女だ。






「だからといって、こうやってお菓子にだけ全神経を使って生きていくのもなぁ…。」



ブツブツとつぶやいていると後ろで駆け足の音が聞こえる。

スニーカーと地面がこすれる音。

リュックの揺れる音。かすかに聞こえる鈴の音。




「こーっとね!」


肩に来た衝撃と、自分の名前を呼ぶ少し高めの声で確信する。



「メグ、」


高校で出来た友達、めぐみだった。

ニックネームはメグ。

明るいスポーツ少女。  見かけは。



「琴音、今日部活ないんだっけ?」


「うん、ないよ。てかうちの部活ほとんどないの メグ知ってるでしょ?」


「あぁー。琴音の部活って何だっけ??」


「お菓子部。」


あっさりと答えるとメグはお腹を抱えながら爆笑する。


「違うでしょっ!!! 料理研究部…だっけ?」



「あー。うん、多分。」





「多分って…!」とクスクス笑いながらめぐみは

リュックを背負い直し、

手縫いとみられるマフラーをくるくると巻きながら自然と琴音の横まで移動してきた。



会話がないのも寂しいので

何か話題を…と琴音が頭をフル回転させているとめぐみはいきなり思いだしたように大声を出す。



「ああああっ、今日はKIRARA☆FIGHTの日じゃないか!!!!」





_出た。




スポーツ少女な見た目と反して

メグミは重度のア二ヲタだったりする。





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