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*delicious*  作者: Ri.
1/2

1.Sweet

ファンタジーとか学園モノとか織り交ぜた

ごちゃまぜ小説です。

連載途中です。亀更新です。


カニバリズム表現あるので

そこはお気を付け下さい。



「一匹、また獲物が捕まったようだな。」


ピンク色のカーテンを開けて外を眺める少女。

出窓から見える景色にかすかに感嘆の声を紡ぎ、少女はたそがれる。


「はい、ルミア様。

 今回の獲物はなかなか美味だと思います。

 なんたったって、純粋な少女!まるでルミア様のようにお綺麗な。」


ルミア と 呼ばれる少女は、

出窓から離れ、天蓋のぶら下がったベッドに腰掛ける。

そして近くにあったノートパソコンを起動した。


「嫌みかい?來羅」


「何故そう思うのです?」

表情1つ変えずに、來羅というメイド姿の少女は

飲み終わった紅茶のカップを片付けた。


「純粋な少女。なんて言うものだからな。

 私に純粋の欠片もないことを君は知ってるというのに。」


「私は、昨日からルミア様に仕えているメイドですよ?

 ルミア様の事はルミア様のお父様からの情報しかきいておりません。」


「そうか。じゃあお父様は私のことを

 純粋な少女だと思っているのか。」


「えぇ、そうだと。」


「笑わせてくれるね。」


そう言ってルミアはキーボードを何回かたたき、

ある画面を持ってくる。

そこには大人しそうな少女が何処かの建物へ入る様子が映されていた。


映像の右上には【LIVE】という字幕が入っている。


ルミアはそれを数十秒眺め、満足すると

またキーボードをたたき別のページを開く。


そこにもまた映像が映る。

今度は1つの画面が16等分程にされ、

色んな場所が映されている。


その画面1つ1つを見るとそこには

少女が建物に入る。つまり先程の映像が

あらゆる建物や地面に映し出されていた。


それを、また色んな少女が茫然と眺めている。そんな映像だった。


そう、まるで監視カメラの映像のような。


そんな映像がパソコンの画面に映し出されいた。




「毎回こんな事をされていたんですか…?」

來羅は、紅茶のおかわりを入れながらささやく。

相手には聞こえてないかな…と思ったが

聞こえていたようだ。素っ気ない返事が返ってくる。


「あぁ。」

ルミアはそう言ってパソコンを閉じる。

閉じられたパソコンにルミアがそっと指をあてると

パソコンはかすかな音をたててその場からなくなった。


來羅は信じられない。 と いう目でルミアを見る。


「ルミア様はこんなことまでできるのですか…。」


「当たり前だろう。

 だってこの世界は…。」


そこでルミアは一息置いた。



ルミアは思いだす。この世界の存在を。





(こうやって私は何度も何度も繰り返すのだろうか。)



(違う)



(変わり続けている。味はいつも違う。)




(今回は前よりもきっと美味だ。)




(甘い。 きっと甘い。)




(昨日より今日が甘く。明日は今日より甘い。)



(きっとそうだ。いや、そうでなくてはならない。)




ルミアは紅茶を一口、喉へと流す。




「苦い。」



「…え?」

來羅は拍子抜けした声出しながらルミアを見つめる。


ルミアは、飲みかけの紅茶の入ったコップをベッドの横のテーブルへ置く。



「苦い。って言ってるんだ。

 お父様からきかなかったのか…?

 私は甘いものが好きだということを。

 もっと、もっと、もっともっともっともっともっともっと」



呪文のように繰り返される言葉。



「もっともっともっともっともっともっともっと」



抑揚のない言葉で。



「甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い」



淡々と繰り返される。



表情のない顔で。



「甘い甘い甘い甘い甘いのを。

 砂糖を追加して。 早く早く早く早く早く。」






(この世界は、私のもの。

 甘いこの世界は私のもの。

 苦い苦い奥のものも私のもの。)






獲物が一匹かかった。




甘い甘い獲物。



食すなら甘いのを望む。


生け捕りにしてじっくりと仕立て上げて。



ゆっくりとじっくりと。




半分壊れた少女は、不気味に笑う。


舌なめずりをしながら、甘い血を望んで。



喉が渇いた。 甘い血を 早く。








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