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タンドリーチキンになりたい

 タイトル通り、中身もアホです。

 「もうお前は十分にチキンだろ」とでも優しいツッコミを入れながら、駄目男を見守ってやって下さい(笑)


「ぶぁあいぃとぉお!!」

 頭の眩しいオッサンに「邪魔だ小僧」と唾を吐かれて、漸く意識を取り戻した俺は折角かわしたその穢れた唾液を踏んづけたことも構わず、再び走り出していた。まずい、これはもう減給云々の問題じゃない。ニートに片足突っ込んでる感じだ。


 時は既に14時を回っていた。




「だーめーくぅん……」

 結局俺は随分とダイナミックな遅刻をして、バイト先のファミレスに着いた。そして今、店長(♂)と2人きりで密室にいる……あ、勘違いしないでよ。俺そっちの気はないから!!


 というかもう、人間に興味ないから。俺女神様にしか興味ないからさ。

「だめくん、お耳留守にしないで話聞いて。じゃないと店長泣いちゃうよ」

 店長に目をやる。この人がさっきの女神様だったら、どんなに良いだろうか。しかし今は、妄想することすら叶わない。どんなフィルターも、この加齢臭と哀愁が同時に漂う中年のオッサンを前に、何の役割も果たすことは無かった。


「堕目君ってば、ちゃんと聞いてくれないと、」

 あれ、暖房調子悪いのかな、急に寒くなってき……

「鳴かすぞ」

 体中鳥肌たった。ヤバい、人生終了のお知らせ。タンドリーチキンにされる。まじでオッサンの血となり肉となるかも。やだ、どーせ食われるならせめて美人に。いや、女神様に……というか、女神様の身体の一部になれるなら大歓迎じゃない?よし、一体化!!



「堕目くん、今月給料抜きね」

 サッと血の気が引くのを感じた。何この血抜き作業。ツボをハズさぬ(言葉という名の)包丁さばき。

「冗談よ。減給で許してあげるから、早く着替えておいで」

「は…い……」

 ガチャンとドアが閉まり、俺が1人棒立ちすること5秒。再びドアが開いた。


「さっさと働けニート!!」


 漸くエンジンが入った。


 やっぱアレだよな、けじめつけなきゃ。ひとまず女神様のことは忘れよう。

「空いたお皿、お下げしてもよろしいですか?」

 はい、畏まりました。俺は慣れた営業スマイルで仕事を続ける。が……


 まじ、もう無理。逢いたい。どうしたら逢える?相手は女神だ。もう、月に帰ってしまったことだって……いや、そんなはずはない。

とりあえず帰ったら検索。いや、匿名掲示板で聞こうか。「おまいら、女神に会う方法知ってるか」と。よし。これで行こうはい、採用!!

「おい堕目!!何突っ立ってんだ!!さっさと4番テーブルいけ!!」

 なんだよ、俺のシンキングタイムを邪魔しやがって。

「はい、ただいま」

 気のない返事で俺は次の客に急いだ。


「大変お待たせ致しました。ご注文は?」

「タンドリーチキンセット1つ」

 え、噂をすれば?さっきの店長との一件もあり、俺は思わず顔をあげた。ら。

「!!」

 嘘、だろ……まじかよ……

 どうしよう、俺……



 タンドリーチキンになりたい!!

 閲覧ありがとうございました。

 次話ではついに、駄目男が大暴走!!文章も大荒れ模様が予測されます。

 閲覧して下さるという優しい方、今回より更に寛大な精神が必要になるやもしれませんが、どうぞよろしくお願い致します。

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