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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第2章:三日月と蟷螂竜
62/249

62:VS巨大狼-4

「久しぶりだな。」

 ゲートをくぐった俺の前に奇妙な気配を放つウルグルプが現れる。


「グルルルル……」

「さあ……」

 ウルグルプが息を吸う。俺も息を吸う。


「『アオオオオォォォォォン!!』」

「『行くぜおらあぁぁぁ!!』」

 そしてウルグルプの咆哮と俺の≪大声≫がぶつかり合い、辺りに衝撃波を撒き散らしながら戦いが始まる。



---------------



 流石に過去3回戦い、おまけに一度は勝利しているだけあって戦いは順調に進んでいく。


 最初にやったのは普通のウルグルプを討伐した時と同じようにひたすら取り巻きのエーシウルフを掴んで投げつける戦法。

 ただ、前回と違って俺は【ストライクスロー】が使える様になっている上に≪投擲≫や≪掴み≫のレベル自体も上昇しているため、一回の投擲で与えるダメージはだいぶ上昇している。


「グラァ!」

 エーシウルフが俺の顔に噛み付こうとする。

 俺はそれをしゃがんで避けると、両手が他のエーシウルフでふさがっているために反撃としてエーシウルフの喉に噛みつく。

 そこから俺は右手のエーシウルフをウルグルプに叩きつけ、半回転からのバックスローで左手のエーシウルフを叩きつけ、続けてメイスを抜きながらさらに半回転して背を向けた俺に噛みつこうとするエーシウルフの顎を打ち抜いてウルグルプに向かって飛ばし、トドメに口に咥えたエーシウルフを回転の勢いを利用してウルグルプに投げつける。


 とまあこのように何となく≪噛みつき≫で咥えて勢いを付ければ投げられるかな?と思ってやって見たのだが見事にやれてしまった。

 この調子なら≪蹴り≫で蹴り飛ばした物でも≪投擲≫が乗せられそうな気がするな。


「これで1対1だな。」

「グルルルル……」

 そして今の一撃によって取り巻きのエーシウルフたちが倒れて1対1の戦いとなる。


「グラァ!」

「おっと、」

 ウルグルプが突っ込んできて噛み付きを仕掛けてくる。

 俺はそれをすれ違うように回避し、後ろ脚に【ダークスイング】の効果によって黒いオーラを纏い重量を増したメイスを遠心力を乗せつつ当てる。

 鈍い音が辺りに響く。メイスの攻撃力自体が上がっているのもあるだろうが、≪メイスマスタリー≫のレベルが上がっているのも地味に影響がありそうだ。

 だが、まだまだ体力が有り余っているのかウルグルプの動きは軽快だ。


「さて、夜はまだまだ長いしな。時間をかけてゆっくりとやっていこうか。」

「グルルルル……」

 赤い月は未だ俺の頭上に輝いている。

 さあ、長い長い戦いの始まりだ。



---------------



 戦いが始まってから既に数時間経過し、赤い月は地平線にかかり始めている。


「ふう。どう考えても赤ラインの数倍は耐久力があるな。というかいい加減落ちろ。」

 しかし、ウルグルプの全身からは未だに狂気としか思えないオーラが漂い続けており、その動きは衰えを見せない。

 ただまあ、


「グルルルル……」

 まったくダメージが無いわけでは無く、その黒い毛皮は何ヶ所も赤い血で汚れている。


「グラァ!!」

 ウルグルプが一吠えすると同時にその全身今までよりも強いオーラが纏われる。

 そしてその動きは、


「はやっ!?」

 戦闘開始時よりも明らかに速くなっていた。目測だが1.5倍程度には速くなっているだろう。

 俺は慌てて横に跳んでわき腹に爪を掠らせつつも攻撃を回避する。

 防具が以前戦った時よりも強化されているおかげで許容範囲内のダメージだが、この速さで攻撃され続けるとかなり厳しいだろう。


「【ベノムスイング】!」

 だが、当然ながら俺も一方的に殴られるつもりは無い。

 俺は【ベノムスイング】によって紫と深緑の二色のオーラを纏ったメイスを叩きつける。


「グル……グブッ……」

「毒ったか。」

 ウルグルプの頭の上に紫色の泡のような物が浮かび上がる。

 どうやらクロノコンボウに含まれている毒と【ベノムスイング】による毒付与攻撃が蓄積した結果としてウルグルプに毒の状態異常が入ったようだ。

 と言っても既にウルグルプはこの戦闘中3回ほど毒ってるし、その毒はいずれも3分ほどで回復されていたので今回の毒も致命傷にはならないだろう。


「グラァ!」

 ウルグルプが突進を仕掛けてくる。

 俺はそれをいつもより早めに動くことによって回避し、ウルグルプの後ろ脚に反撃の一撃を叩き込む。


「グルッ!」

「ふっ!」

 それを何度も何度も俺は繰り返す。


「グルッ!?」

 そして後ろ脚へのダメージが蓄積してウルグルプが倒れる。

 俺はそれを好機と見て接近。【ダークスイング】と≪噛みつき≫による攻撃も織り込みつつ連続で攻撃を叩き込み続ける。


 ウルグルプが立ち上がろうとする。

 だが、俺はそれでも殴り続ける。流石にこれだけの長時間戦い続けていて俺の気力は限界が近かったからだ。


「……。」

 ウルグルプが完全に立ち上がり、俺に向かって爪を振るってくる。俺はそれをメイスで防ぐが、そのスピードと疲れから俺は武器を抑えきれずにメイスを弾き飛ばされる。

 だが、そこで俺にはもう退く気は無かった。俺は二撃目をウルグルプの懐に潜り込んで回避すると喉元に噛みつき、歯を突き立てる。


「グラァ……」

「むぐぐぐぐ……」

 俺とウルグルプは互いに絡み合って地面を転がる。

 だが、その重量差から俺はウルグルプにマウントポジションを取られてしまう。


「【ウルフファング】!」

 それでも俺には諦める気は無く、【ウルフファング】によって無理やりウルグルプの喉を食いちぎる。

 そして、


「ガッ……」

 突然、ウルグルプが少し息を吐き出して糸が切れたかのようにゆっくりと倒れる。


「はぁ……はぁ……」

 俺はゆっくりとウルグルプの下から這いだし、弾き飛ばされたクロノコンボウを拾う。


 余りに長い戦いに俺は達成感よりも疲労感を大きく感じていた。

 だがそれでも、狩人の義務として俺はウルグルプに近づき、その身からアイテムを剥ぎ取り始める。


 そしてウルグルプからアイテムを剥ぎ取ったところで昇り始めた日を俺は見る。

 そこで俺は初めて血赤のウルグルプを倒したのだという実感を感じ始め、息を吸い、


「勝ったぞおおおぉぉぉ!!」


 思わず叫んだ。


△△△△△

取得アイテム

ウルグルプの毛皮×10

ウルグルプの牙×6

ウルグルプの爪×4

ウルグルプの尻尾×1

ウルグルプの肝×1

ウルグルプの珠×1

▽▽▽▽▽


△△△△△

Name:ヤタ


Skill:≪メイスマスタリー≫Lv.13 ≪メイス職人≫Lv.8 ≪握力強化≫Lv.10 ≪掴み≫Lv.12 ≪投擲≫Lv.11 ≪噛みつき≫Lv.11 ≪鉄の胃袋≫Lv.5 ≪筋力強化≫Lv.9 ≪嗅覚識別≫Lv.7 ≪大声≫Lv.10 ≪嗅覚強化≫Lv.6 ≪方向感覚≫Lv.7


控え:≪酒職人≫Lv.9

ストック技能石×1

▽▽▽▽▽


△△△△△

Name:ヤタ


Equipment:攻撃力:150+闇10 防御力:38+水1+火1

武器:クロノコンボウ 【ダークスイング】 【ベノムスイング】

頭:ウルグルプヘッド 【ハウリング】 【ウルフファング】

首:ビーストネックレス

胴:スペルゴートベスト

腰:ウルグルプベルト

腕:シュートアーム 【ストライクスロー】

脚:ウルグルプグリーヴ

指輪1:スペルゴートリング(青)

指輪2:スペルゴートリング(赤)


控え武器

Bドロップメイス 121+水5 【ヒール】

コヒツジジュウジ 130+光5 【ヒール】

ボアノーズ 140 【スイングダウン】

▽▽▽▽▽

なんだか要望が多かったようなのでついやっちゃいました。


なお、血赤は他の色と違って何人で挑んでもボスのHPが一定(そのくせフルパーティの赤よりも多い)ですが、残りHPが少なくなってくるとボスごとに異なる強化が入ります。

そして珠系の素材は血赤かつ特定条件を満たして初めて手に入ります。


まあ、アレですね。ネタですね。力試しですね。HASOスタッフのやれるものならやってみろという挑戦状ですね。


09/10誤字訂正

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