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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第9章:崩れ行く世界と反魂白雀

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232/249

232:火山-7

「さて、昇ってきたところで問題のこれですが……」

 ミカヅキがそう言って金色のインスタントポータルと同じ形の何かに目を向け、アステロイド以外のメンバーもそちらに目を向ける。

 アステロイド?全員の足元で海老ぞり亀甲縛りの状態でハァハァ言っていますが?全員から汚物でも見る様な、汚物を(・・・)見るような目(・・・・・・)で眺められた後に更に興奮したようなので完全放置に移行しましたが?

 そ れ が 何 か ?


「じゃ、まずは調べるのニャ。」

 フェルミオの言葉を受け、俺たちは金色のインスタントポータルらしきものに罠が仕掛けられているかを調べる。

 で、一通り調べた結果としてとりあえず俺たちのスキルレベルで調べられる限りでは罠が無かったので再び距離を取る。


「では、いい加減開放して調べてもらいましょうか。」

「だな。アステロイドなら何が起きても耐えられるだろ。」

「お姉ちゃんよろしくね。」

「骨は拾ってやるニャ。」

「……。」

「分かりましたぁ。」

 ロープから解放されたアステロイドがゆっくりと金色のインスタントポータルに近づいていく。

 傍目には面倒な事をアステロイドに押し付けているようにしか見えないが、きちんと調べた上で何かが起こっても耐えられる可能性が一番高いアステロイドに託した形なので押しつけたわけではない。

 と言うか、俺含めて何も起こらないとは考えていない辺りに、全員が今まで散々HASOスタッフに苦渋を飲まされていたのがよく分かる。

 かく言う俺もそう言う目に今まで散々あってきたわけだが。


「では触りますねぇ。」

 アステロイドがゆっくりと金色のインスタントポータルの形をした何かに触れる。

 その瞬間辺り一帯に光が溢れ、光が治まったところで周囲の光景は一変していた。


「これは……」

「転移かニャ?」

「ただ、ボスって感じじゃないな。」

 俺達6人の周囲は黒い岩に囲まれたコロシアムのような場所になっており、足元は白い砂地になっている。

 そこで俺たちは何が起きてもいいように中心にハレーを置いて残りの五人で円陣を組む。


「何か来ます。」

「あれは……」

「……。」

 と、ここで俺たちが立っている場所から少し離れた場所の砂が盛り上がり、そこから紅い骸骨が6体這い上がってくる。


「ん……。」

「これは……。」

 ただ、それだけなら別に警戒には値しないだろう。俺たちは既にこの赤い骸骨たちが火山の中を2~3体のグループで徘徊しているのを見ているのだから。


「気分悪いニャ。」

「あらあらぁ。」

 問題は這い出てきた6体の紅い骸骨の装備。

 先頭に立っている赤い骸骨は鋭い戈を両手で握って構えており、その後ろでは二本の大剣、斧、両手槍をそれぞれ持った3体の赤い骸骨が武器を構えている。

 そして最後方にはメイスと弩をそれぞれ持った2体の赤い骸骨がいた。


「やってくれますね。」

「……。」

 明らかに俺たちを意識していると分かる武器の種別と陣形だった。

 なにせ持っている武器は俺たちの装備しているのと同じ種別の武器であり、陣形としてはPTリーダーであるミカヅキ=戈装備を先頭にしていたからだ。

 ……。メイス装備が前に居ないのは本来はその位置が回復役としているべき位置だからだと思う。

 俺が一般的なメイス使いからずれているのは理解してるっての。


「「「クカカカカッ……」」」

 赤い骸骨たちが一斉に笑い出す。

 さて、どうやらこのインスタントエリアから抜け出すためにはこいつらを倒すしかないらしい。となればいっちょやってみますか。

 そして赤い骸骨たちの何体かが駆け出して戦いが始まった。



----------------



「なるほどな。」

「なに余裕顔をしているんですか!」

 俺はミカヅキにちょっと怒られつつも時折他のメンバーの回復をしながら赤い骸骨たちの動きを観察していく。

 どうやらこの骸骨たちは武器の種別と一部のスキルをコピーしただけで、動きは事前にAIで設定されたとおりの物のようで、祝福らしきものも使用するがこちらも独自に設定されたもののようだ。

 となるとステータスに関しても変わらずだろう。


「まっ、これなら楽勝か。【獣人化:ウルグルプ】!」

「クカッ……!?」

「『そぉい!!』」

 俺は【獣人化:ウルグルプ】を発動すると≪大声≫で動きを止めつつ手近に居た骸骨の頭を地面に叩きつけ、≪蹴り≫で手ごろな高さまで蹴り上げた所で首に噛みついてぶん回し、後方に居たメイス装備の骸骨を巻き込むように投擲してやる。


「こいつら中身が無いただの人形だな。お行儀が良すぎて楽だわ。」

「それはセンケンジンキを倒したヤタだけだと思います……よっ!」

 骸骨の斧を避けつつ反撃をするミカヅキがそう言う。

 ただなぁ……


「なら言うけど。この大剣装備の奴なんて……」

 仲間を吹き飛ばされて怒ったのか大剣二刀流の骸骨がこちらに向かって突進してくる。

で、右手の大剣を振り下ろし、続けて左手の大剣を薙ぎ払ってくるので、右手の大剣を振り下ろしたところで骸骨の左腕を蹴り上げて動きを止め、続けてのメイス連打で一気にしとめる。


「見ての通り攻撃パターンがフェルミオのとは比べ物にならない程読みやすい。」

「まあ、確かにそれは感じていたけどニャア……。」

 そう言いつつ大剣二刀流の骸骨を仕留められてちょっと苦い顔をしたフェルミオが【ダンスオブソード】で戈装備の骸骨を木端微塵に砕く。

 まあ、あの戈装備の奴もミカヅキの様に姿を消したりしないから楽勝だよな。


「言われてみれば確かにそうですけどね。」

 そう言ったハレーの弾丸によって後方で丁度立ち上がったメイス装備の骸骨が消し飛ぶ。

 ああうん。自分と同じ種別の装備を持った骸骨が倒されるとちょっと悲しいな。


「ま、装備の性能やらスキルのレベルやらに頼ってきた連中には辛いかも知れないが、PSが十分にあるならただのザコだよ。」

 その後、特に問題も起こらずに残りの三体の骸骨も討伐され、俺たちは元居た空間へと戻されたのであった。

 と言うか、剥ぎ取りは無しかよ。



---------------



「それで、インスタントポータルに変化は?」

「ちょっと待ってくださいねぇ」

 そして火山に戻ってきたところでアステロイドがもう一度金色のインスタントポータルらしきものを調べる。

 が、今度はさっきの様な光は発せられない。


「これは面白いですねぇ。皆さんも見てください。」

 アステロイドに促されて俺たちもそれに触れる。

 するとどうやらこの物体はインスタントポータルの改良版のようで、通常のインスタントポータルと同じようにアイテムを預けられるだけでなく、アイテムの引き出しや他のポータルへの移動もできるようだ。

 しかも一度起動させれば街にある神殿の様に以後永続的にポータルの移動先として選択できるようにもなるようだ。

 早い話が死に戻りのポイントとプライベートエリアの機能だけ除いた神殿と言ったところだろう。これはありがたい。


「ふむ。これは一度街に戻ってもいいかもしれませんね。」

「だな。」

「ですねぇ。」

「それでいいと思います。」

「……。」

「了解だニャ。」

 そして俺はミカヅキたちと一緒に王都ミナカタへと帰還したのであった。


△△△△△

Name:ヤタ


Skill:≪メイスマスタリー≫Lv.43 ≪メイス職人≫Lv.41 ≪四足機動≫Lv.42 ≪噛みつき≫Lv.41 ≪嗅覚識別≫Lv.43 ≪闇属性適性≫Lv.41 ≪鉄の胃袋≫Lv.40 ≪BP自然回復≫Lv.36 ≪大声≫Lv.38 ≪投擲≫Lv.41 ≪蹴り≫Lv.40 ≪掴み≫Lv.42


控え:≪酒職人≫Lv.29 ≪器用強化≫Lv.35 ≪握力強化≫Lv.38 ≪筋力強化≫Lv.38 ≪嗅覚強化≫Lv.36 ≪方向感覚≫Lv.36 ≪装備変更≫Lv.27 ≪両手持ち≫Lv.30

▽▽▽▽▽

まあ、このPTに定石なんて通じませんよね


01/09少し改稿

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