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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第9章:崩れ行く世界と反魂白雀
229/249

229:火山-4

「と、ここからがそうだな。【クールゾーン】」

 俺はHPゲージを確認しつつ暗くて細い通路を進み、影響が出始めた所で他のメンバーを止めてから武器を変更、スノージュエルメイスを装備して【クールゾーン】を発動して≪耐暑≫を付与する。


「うん。確かに。問題なさそうですね。」

 俺の後について高温エリアに入ったミカヅキが≪耐暑≫が付与された結果としてHPが減らなくなったのを確認する。


「では行きましょうか。」

「行くのニャ。」

 そして俺たちが通路を抜けた所で空間が大きく広がる。


「へえ。」

「これは凄いですねぇ……」

 そこは火山の内側を丸々くり貫いたような空間で、最下層には多数の採取ポイントが見えているが同時にすぐ隣に黒い溶岩が流れている。

 対して一番上の天井部分には大きな穴が開いていて噴煙が空に向かって放たれていた。


「……。」

「確かに不安になる足場ではありますね。」

 そして足場は火山の内側の壁に沿うように張り巡らされているだけでなく、中心部に向かって網の目や蜘蛛の巣の様に縦横無尽に張り巡らされている。

 ただ、その足場は広さも厚みも疎らな上に高所作業用の金網状になった足場の様に下が見える構造になっている。


「ふニャア。他のプレイヤーたちもいるようだニャ。」

 フェルミオが指さした先では真っ赤な翅を持った蝶々の群れと戦うプレイヤーたちの姿が見える。

 そして他の場所にも目をやればちらほらと戦っているプレイヤーの姿が見える。


「あ、あれって!」

 と、ここでハレーがフェルミオの指さした方向とはまた別な方向……火山全体で言えば8合目ぐらいに当たりそうな高さに有る足場を指さす。


「アレは……」

「遠くて分かりづらいですが……インスタントポータルでしょうか?」

「でも色が普通のとは違いますねぇ……」

 距離があるために≪鷹の目≫が無い俺にははっきりとは見えないが、そこに見えているのは金色のインスタントポータルのような何かがある。

 ただ、この距離でもあのインスタントポータルのような何かに近づこうとするザコ敵が居ないことぐらいは分かるので、恐らくはあの足場はセーフティポイントになっているのだろう。


「ふむ。少々怪しい気もしますが、他に目標に出来る様な物も有りませんしまずはあそこを目指しましょうか。」

「異議なし。」

「それでいいと思うニャ。」

 ミカヅキの提案に全員が肯いて賛成の意思を示す。

 なお、ミカヅキの言う所の怪しいと言うのは色もそうだが、HASOスタッフの事なのでインスタントポータルに見せかけた何かを仕込んできている可能性が無いとは言えないからである。

 火山に関しては遺跡と比べると妙に敵も罠も温いしな。


「では行きましょう。」

「はい。」

「……。」

 そして俺たちは金色のインスタントポータルのような何かを目指して進み始めた。



-------------------



「やっぱり温いなぁ……」

「樹海の敵に比べれば普通に強いとは思いますよ。」

 火山の内側を探索し始めた俺たちは勿論多数の敵に襲われていた。

 ただ、何と言うか敵の強さが温い。

 いやまあ、先程他のプレイヤーたちが戦っているのを遠目に見た赤い蝶々ことヒートバタフライは近づくだけで熱による継続ダメージをこちらに与えて来るし、巨大な一つ目に翼と小さな足を付けたパニックゲイズと言うモンスターは睨み付けた相手を混乱状態にしてきたりなど決して弱くは無いのだが、どうしても敵の強さの基準が遺跡のモンスターである俺にとっては弱く感じてしまう。


「罠と地形に殺る気が無いからじゃないのかニャ。」

「確かに遺跡の罠に比べると即死するような罠は少ないですよね。」

 フェルミオの指摘とハレーの感想に対して確かにそうだと俺も思う。

 と言うのも火山の罠は精々火柱や爆発が起きてHPが多少削れたり、足場が崩れたりする程度で、しかも足場崩しの様な大規模な罠になると何かしらの感知系スキルを持っていればほぼ確実に見抜けるほどレベルが低い。

 これが遺跡なら火柱や爆発は防御力が低ければ確殺、高くても5割は削られるし、レベルが低い感知系スキルでは大規模な罠である吊り天井の罠でも見抜けなかったりする。


「……。」

「確かにストーリーだから。と言うのはあるかもしれませんねぇ。」

 うーん。ストーリー上必ず行くマップだから多少甘めに出来ている。

 確かにそう言う考えも出来そうだが、ストーリー上必ず行くはずの灯台にあれほどの罠を仕込んだHASOスタッフがそんな甘い事をするのだろうか……何か忘れているような……抜けているような……うーん……。


「ヤタ。」

「ん?どうしたミカヅキ?」

「そろそろ【クールゾーン】が切れますので張り直しの準備を。」

「ああうん。了解。」

 ミカヅキの言葉に俺は【クールゾーン】の残り時間とクールタイム、残りBPを確認して問題なく発動できることを確認する。


「3,2,1……【クールゾーン】」

 そして丁度≪耐暑≫付与の効果時間が終わるタイミングで【クールゾーン】を起動して≪耐暑≫を付与し直す。


「それにしても中々近づけないのニャ。」

「まあ、気長に行きましょうよ。」

「そうですねぇ。」

 で、一部の足場が崩れるためにインスタントポータルに近づけない事を少々愚痴りつつも【クールゾーン】を張り直したところで再び俺たちは火山内部の通路を進み始めた。

不憫さん活躍中

もう不憫だなんて言わせない!


01/06誤字訂正

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