208:遺跡-14
さて、技巧神の神殿以来の5人行動なわけだが当然の様に斥候役は俺が務めている。
まあ、遺跡でレベル上げをしたおかげで俺のスキルのレベルが一番高かったし、遺跡そのものについても俺が一番詳しいわけだから当然の役割なわけだが。
「ハレー、そこ罠が有るから気を付けろよ。」
「わわっ。」
と、俺は罠を見つけたので踏みかけていたハレーに指示を出して避けさせる。
「本当によく見えてますね。」
「まあ、≪嗅覚識別≫のレベルが40近いしな。」
ミカヅキの言葉に俺は自分のステータスを見てからそう答える。
実際の所遺跡のレベルが高かったのも有るけど、センケンジンキが遥かに格上の相手だったおかげで一気にレベルが上がったよなぁ……ただ、未だにレベルアップのスピードに衰えが見えないから遺跡の適正レベルは本当に40なのかもしれない。
「撃ち殺せー!」
「あらぁ。」
「んニャ。」
「敵だな。」
と、ここで曲がり角からオートシューターが現れて矢を発射する。
が、俺が飛んで来た矢を掴みとると同時にミカヅキがその姿を消し、フェルミオが突貫する。
「ニャハー!」
「ハッ!」
「う……ガガガピピ!?」
そして二射目が放たれる前に接近したフェルミオとミカヅキの一撃によってオートシューターは一瞬にして撃墜される。
いやー、流石は最鈍である代わりに攻撃力が最も高い大剣と当たり判定が極端に狭い代わりに火力が高い戈だけはあるわぁ……俺だと倒すのにそれ相応の手数がいるのにな。
「ヤタ。他に敵は居ますか?」
「いや、匂いを探る限りではいないな。」
俺は周囲の匂いを探ってこちらに近づいてくる匂いが無い事を確認する。
「それじゃあ剥ぎ取るのニャ。」
「ですねぇ。」
で、安全も確認した所で全員で剥ぎ取りである。
それにしてもこの小さい体から5人全員で素材が剥ぎ取れるのはゲームだからだよなぁ……と、技能石が出たか。
まあ、また保留だな。取りたいスキルも今は思いつかないしな。
「本当に良い素材が出ますね。」
「新素材がザックザクです。」
他のメンバーもアイテムを剥ぎ取ったのかそれぞれにホクホク顔である。
さて、いい加減新しいインスタントポータルか、ボスゲートが見つかってほしい所ではあるな……。
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「見事な赤部屋ですね。」
「これは酷いニャ。」
「いい加減先に進みたいです。」
「耐えられる罠なら踏みたいですけど……」
「うーん……。」
えー、本日何度目なのかも考えたくない赤部屋と言う名の床が全面罠張りの部屋である。
とりあえずアステロイド。割とここの罠は洒落にならんからそんな風にうずうずすんな。
「それにしても本当に先へ進む道が見つかりませんね。」
「位置的に考えて相当西のはずなのにニャー」
「高さ的にも結構上ですよね。」
遺跡探索に進展が見えないためにミカヅキ、フェルミオ、ハレーの三人が意見を出してくる。
実際、この辺りは遺跡全体で見ても結構西の方だし、高さ的にもかなり地表に近い位置にまで来ているはずである。
ただなぁ……灯台がそうだったように空間が歪められていてもおかしくないんだよなぁ……面倒な。
と、それはさておいてだ。
「この部屋少しおかしいな。」
「えっ?」
「どういう事ですかぁ?」
「ニャ?」
「説明してもらえますか?」
俺の言葉に四人がそれぞれに反応してその中でミカヅキが詰め寄ってくる。
と言うわけで説明タイムなのだが、この部屋は赤部屋の割には床、壁、天井のどこを見ても隙間などの罠を仕込むスペースが無く、そうなれば単発罠が仕掛けられているという事になるが単発罠で構成された赤部屋は今までにないのである。
「なるほどそうなると……」
「まあ、HASOスタッフだしな……」
「ああ、そう言う流れなのニャ……」
「酷い仕掛けですね……」
さて、HASOスタッフの殺る気を考えると遺跡でも確実に殺しに来るはずである。
そして確実に殺しに行くならとりあえず遺跡から逃がさないことを第一に考えると思うので、そこから遺跡からの出口は隠されていると考えていい。
となればこの赤部屋の意味も分かると言うものである。
「つまり踏んでいいってことですね!ヤッター!」
「あ!?ちょっと待て!?」
で、俺たちの考えを先読みしたアステロイドが一人部屋の中へと踏み込む。
そしてカチリという音と共に扉が自動的に閉まり、部屋の中でガシャーンと言う何か重い物が落ちる音がする。
「「「……。」」」
「お姉ちゃーん!?」
ハレーの悲痛な叫び声と共にミカヅキとフェルミオの痛烈な視線が俺に向けられる。
何この空気。凄くツラい。今すぐ穴でも掘って埋まりたい。
「ふぇ!?通信!?」
と、ハレーにフレンド通信が入ったようで何か話し合っている。
そして通信が終わったところでハレーがこちらを向き、
「ヤタさん。どうやら当たりみたいです。」
「へ?」
そう言ってから部屋の中に入る。
そして再びの重い何かの落ちる音。
「ヤタ。」
「ああうん。二人を信じていけばいいと思う。」
「凄く不安だけど行くのニャ。」
と言うわけで今度は俺、ミカヅキ、フェルミオの三人で部屋の中に入る。
「「「……。」」」
カチリという音と共に部屋の扉が閉まる。
「「「!?」」」
そして次の瞬間に足元の床が割れて壁に叩きつけられると同時に音が鳴り、それと共に俺たち三人は部屋の下にある空間へと落とされる。
「来ましたねぇ。」
「痛たたた……」
落ちた先の空間は広いホールの様になっており、中央にはインスタントポータルが、扉が有った方の方角にはいかにも封印されていますと言った様子の巨大な石扉。
「アレが次のエリアに繋がると思っても良さそうです。」
そして石扉の反対側に有るのは紫色に染まった2本の岩。
「なるほど大当たりですね。」
「なら、準備を整えたら行くのニャ。」
つまりはボスゲートだった。
「ヤタ。」
「お、おう。」
俺はインスタントポータルを調べていらないアイテムを預けてからインスタントポータルで飛べる先の設定を変更しておく。
また、その間にアステロイドが損耗した装備品を≪修復職人≫で修復するなどの準備を整えていく。
「それでは、」
「はい。」
「いいですよぉ。」
「頑張るのニャ。」
「おう。」
そして俺達5人は同時にボスゲートへと踏み込んだ。
次回はボス戦ですよー
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