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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第7章:剣聖と黒騎士

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197:王都ミナカタ-42

 さて、この場は解散になったわけだが俺は防具の修復をして貰ったり、実際に遺跡素材を使ったアイテム作成がどのくらい難易度が高いのかハレーに試してもらうために未だに『イッシキ』に留まっており、そんな俺と話をするためにユフとミカヅキの二人も一緒に居る。

 ちなみに二人の格好は以前見た時から地味に変わっていてミカヅキは黒い鱗を使った装備、ユフは銀色の鎧になっている。


「で、いつの間にお前はあんな人外の技を習得したんだ?」

「何の話だ?」

「あのセンケンジンキとの戦いで見せた有り得ない弾弾きの事です。」

 で、『イッシキ』で適当に話をしていたところでユフとミカヅキがセンケンジンキ戦で俺がやった弾弾きの事について訪ねてきた。


「あれなぁ……俺としてはやれそうだからやった程度で何で出来たのか分からないんだよな……強いて言うなら昔にやったことを思い出したって感じかな?」

「「はぁ……。」」

 ミカヅキとユフが溜息を吐きながら呆れた顔を見せている。

 でも、実際の所俺としては本当に『やれるからやった。』って感じなんだよな。いつ出来るようになったとかは本当に分からない。


「そう言えば俺の方からも聞きたい事があったんだけど。『剣聖』って何の話だ?」

「ああそれですか。」

「それなぁ。」

 俺の質問に二人が遠い目をしつつも答えてくれる。

 と言うかカグヤさんの話し方から察するに『剣聖』って俺に付いた二つ名だよな。何でメイス使いである俺に『“剣”聖』なんて付いてんだ?


「まあ、付いた原因はさっきも話に上った弾弾きだよ。」

「ダイジェスト版を見ただけですけど本当に有り得ない剣捌きをしていましたからね。」

 本当に二人が有り得ないって顔しながら答えてくれたことをまとめるとだ。

 付いた原因はセンケンジンキとの戦いで見せた動きで、具体的に上げられたおかしい点としては、

・そもそも弾弾き自体が普通のプレイヤーには不可能なのにあの密度の矢玉を何とかしたのが有り得ない。

・一見すると≪投擲≫も≪掴み≫も使っているとは思えずに普通に剣を振っている。

・≪二刀流≫を持っていないのにシステムの穴を突いて疑似的に二刀流を行っている。

・マスタリースキルが無いという事はシステムによるアシストはほぼ存在しない。

・でも『電子の女帝』曰くチートは使っていない。

・まさに人力TAS

 辺りが挙げられるそうだ。


「そんなわけで超一流の剣使いとして『剣聖』と言う称号がお前に付いたわけだ。」

「実際にはメイス使いで、≪噛みつき≫や≪蹴り≫は使っていても剣なんて普段は使っていないんですけどね。」

「なるほどなー。」

 俺は二人の説明に頷きつつ納得する。


「しかし、本当に似合わない二つ名だな。妙にしっくりくるけど。」

 ただ、何でかは知らないけれど『剣聖』と言う二つ名は妙にしっくりする感じがする。なんか昔から付けられていたような感じだ。

 はっ!?もしやこの年になって厨二病か!?


「まあ、似合わないのは確かだな。メイス使いだし。」

「付けられるだけの腕は見せつけましたけどね。普段は使わないのに。」

「ソウダナー」

 俺は内心の動揺を悟られない様に気を付けつつ二人の話を受け流す。


 ちなみに、『剣聖』と言う二つ名が付けられるにあたって掲示板上では仮に俺が剣系の武器を持ってHASOを進めていたらどうなっていたのか?という事も話し合われていたようだが、そう言うのは話し合っても無駄だと思う。所詮はifでしか無い訳だし。


「ヤタさん。」

「今戻ってきましたー」

「おっ。来たか。」

 と、ここでハレーがアステロイドと一緒に戻ってくる。その表情は晴れやかだ。

 なお、先程は気づかなかったがハレーの装備はヒャクメギツネ製と思しき装備、アステロイドは蒼月鋼製と思しき装備に更新されている。


「矢玉作成の方はどうだった?」

「成功4割、失敗6割ですね。」

 そう言ってハレーが俺に対して遺跡の素材で作った投げ矢を数本送ってくる。

 その性能は明らかに今までの投げ矢よりも一段階以上は上だ。


「作っている間にレベルも上がりましたが、作っている時の感覚としてやはりヤルガバッハさんの言うとおり設備そのものの強化が必要だと思いますね。」

「なるほどなぁ……。」

 ハレーの言葉に俺だけでなくミカヅキとユフも唸っている。

 なにせハレーの言葉が真実であるならば今はまだ大丈夫でも、この先の作成には武器にしろ防具にしろ、そして各種消耗品にしても職人街の店に置かれている設備ではいずれ手に負えなくなるという事である。


「となれば今調べているエリアが一通り調べ終わったら俺らも遺跡に行くべきかもな……。」

「そうですね。センケンジンキを初めとして高位のボス素材を使うなら必須になるでしょうね……。」

 二人が再び遠い目になる。

 ちなみにユフの言う所の今調べているエリアと言うのは湿地帯の事であるが、湿地帯には先に進む道としてボスゲートが設置されている道と設置されていない道の二つが有り、設置されている道の先はまだ不明だが、設置されていない道の先は干潟のような場所に繋がっているらしい。

 まあ、俺は王都での用事を済ませたらもう一度遺跡に行くから関係ない話だけどな。


「にしても二人とも。」

「何だ?」

「何ですか?」

 ところで一つ気になっていたことがある。


「何で殺人機械2号に挑まないんだ?アイテム破壊何てどうってことないだろ。」

 正直帰還石が壊されたって死に戻り前提で行けば何とかなるだろうし、俺が何とかなった以上は他のプレイヤーでも殺人機械2号は倒せるだろう。


「それはお前だけだ。アイテム無しで探索できるほど遺跡は甘くないだろうが。」

「あの後他のプレイヤーの調べでドリル攻撃は防具の耐久度も大きく削られるのが分かったので絶対に挑みません。」

 すると、俺の質問に二通りの答えが返ってきた。

 うーん。俺以外にもプレイヤーが居れば探索も楽になると思ったんだが無理かぁ……ところで防具破壊って事は……


「ヤタ……。」

「いえ!何でもありませぬ!!ではこれにて失礼!!」

「あっ、こら……」

 俺の思考を読んだのかミカヅキが不穏なオーラを放ち始めた瞬間に俺は『イッシキ』の外に出て一目散にプライベートエリアまで移動した。

 いやぁ……危なかった危なかった。あのままあの場に居たら確実にやられていたな。

逃げますよ。ええ、逃げますとも。


12/18誤字訂正

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