185:遺跡-3
「本当に敵が強いな。」
遺跡を進んでいく俺の前には当然ながらイエロースライム以外のモンスターも立ち塞がってくる。
「弾け……」
「それを喰らって堪るか!」
現に今俺は襲い掛かってきた直径30cm程のボールに四本の脚とモノアイが付きの頭を生やしたモンスター……プロトキリングたちと交戦中であり、その内の一体が危険な攻撃の予兆である点滅を始めたために掴んで他のプロトキリングに向けてぶつけた所である。
「ろー!!」
「「ガガガピピ!!?」」
なお、危険な攻撃と言うのは所謂自爆攻撃であり、丁度ぶつけた所で他のプロトキリングを巻き込む形で爆発した。
威力に関しては最初に喰らった時は掠った程度だったのだが見事にHPが2割ほど削れていたので充分高めと言えるだろう。ちなみに敵の攻撃としては珍しく敵味方を識別しないタイプの攻撃であるので、こうして巻き込むようにすると……
「「弾けろー!!」」
「おっと。」
巻き込まれたプロトキリングも自爆したりする。
「さて、剥ぎ取りっと。」
ただ残念な事に自爆したプロトキリングからはアイテムが剥ぎ取れないため、アイテムを剥ぎ取るつもりなら自爆させる間もなく一気に攻め込む必要がある。
が、さすがに俺一人で自爆させず一気に倒すのは無理が有るので、今回の探索中は諦めて奇襲で一体仕留めた後は自爆させている訳だが。
なお、プロトキリングに関しては常に複数体の個体で群れを形成してこちらに襲い掛かってくるほか、自爆以外では生えている四本の脚で蹴りを放ってきたりする。
「うん。歯車が出たか。」
で、肝心の剥ぎ取りアイテムに関してはプロトキリングの歯車や装甲片。それから火薬なども出たりする。
と言うか、プロトキリングって見た目と名前からして殺人機械2号の原型って感じだよな。
「まあ、その辺の考察は後回しにして先に進むか。」
そして俺は周囲を警戒しつつ遺跡の奥へと進んでいく。
なお、俺が今まで遭遇した限りでは遺跡にはイエロースライム、プロトキリング以外にもフロートアームズとオートシューターと言う2種類のモンスターが存在し、こいつらはプロトキリングもそうだが機械系のモンスターである。
おかげで食べるとクソ不味い上に≪鉄の胃袋≫で軽減されているとは言えダメージを受けたりするのだが……この話は一旦置いておこう。
フロートアームズは宙を飛びまわる剣の形をしたモンスターで、攻撃の際には剣の姿のまま切りかかってくる以外にも槍の形に変形して突きかかってきたり、メイスの形に変形して殴打してきたりする他、こちらの攻撃を盾に変形して受け止めてきたりもする。
対処法としては攻撃を避けた後に持ち手の部分を握ってやって、そのまま壁に≪投擲≫するのが手っ取り早い。
攻撃を問題なく避けれるなら実質、他の敵が居る状況だと勝手に俺のところまで戻って来てくれる投擲武器扱いだしな。
実際イエロースライムと同時遭遇した時なんて三体のフロートアームズを投げ続けてイエロースライムを倒したし。
なお、ドロップ品としては毎度おなじみな壊れた武具の破片他、刃片や力の欠片などが手に入った。メイスにも変形できるわけだし無事に持ち帰れたら良い武器の素材になりそうである。
オートシューターに関しては……ぶっちゃけカモである。
まず容姿はプロトキリングの脚四本の内三本の先がそれぞれ杖、弩、弓になったもので、行動としてはケンケンの要領で距離を取りつつそれぞれの武器を使って遠距離攻撃をしてくる。
とまあこれだけ聞くなら強そうなのだが……よく考えて欲しい。ショットフロッグの攻撃を無意識でも弾ける人間にそれと同程度、もしくは遅い遠距離攻撃が当たるだろうか?
うん。実際当たらない。それどころか弓の攻撃に至っては飛んできた矢を直接掴めればくすねられる事が分かった物だから積極的に撃たせては回収してる。
投げ矢じゃなくて射撃用の矢だから≪投擲≫で使うと微妙にダメージが下がったりするけど、貴重な遠距離攻撃手段を補充できるので文句は無い。
「と言うかなぁ……」
俺は回収したオートシューターの矢をアイテムポーチから取り出して観察する。
その矢は綺麗な銀色に輝き、非常に軽いが十分な強度が有るのが分かる。それに僅かだが祝福が宿っている気配がする。
はっきり言おう。外見上の特徴だけを見るならの話だが恐らくこの矢は魔法銀製である。
ふう。魔法銀製の矢を湯水のように投げられるとか弓使いや≪矢玉職人≫持ちのプレイヤーが聞いたら卒倒しそうだな。
なお、推定魔法銀の矢に目が行きがちだが、オートシューター自身からは弦やバネなどが剥ぎ取れる。
「と、岩の通路に変わったか。」
それにしてもこの遺跡はまるでモザイクである。
今さっきまで金属製の通路だったのが突然自然そのままの通路に変化している。罠の密度はまるで変わらないが。
で、地形の変化については困ったことに地形が変化すると罠の種類に関しても変化が見られたりする。注意していても攻撃回避の為にやむを得ず踏んだりすることもあって知る事になったのだが。
具体例で言うならまず金属製の床なら最初に10フィート棒が尊い犠牲を払って教えてくれた火柱の様な罠や金属製の矢がどこからともなく飛んできたりするし、自然の部分なら最初に遭遇したイエロースライムとの交戦中で踏んだ腐敗臭のするガスや動きを止めてくる落とし穴と言った感じだ。
まあ、積極的に踏んだりする余裕は無いので、出来る限り知りたくない情報でもある。
「ま、敵さえ居なければ避けるのは何てことないけどな。」
俺は罠を踏まないように注意しつつ通路を進んでいく。
「なあぁ!?」
そして、通路をしばらく進んで奥にドアの様な物が微かに見えた所で俺は突然後ろから衝撃に襲われた。
もうヤタには正面切っての遠距離攻撃は効かない気がする。




