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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第6章:魔除けの灯と灯台守
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168:灯台-5

 さて、必要と思しきアイテムをアイテムポーチに詰め込めるだけ詰め込み、武器をキツネトリイからスノーミストメイスに代えた所で灯台へのリベンジである。

 掲示板を見ている限りではブルースカイさんを初めとして何人かのプレイヤーはもう階段迷路を抜けているらしいし俺も負けていられないな。


「うし。出発。」

 そして俺は神殿のポータルを使って灯台の最下層へと移動した。



-------------



「人が多い……。」

 灯台の最下層は当然と言うべきなのか多くのプレイヤーが集い、ある者は仲間との打ち合わせを行い、またある者は臨時のPTや同盟を探して駆け回っている。

 そしてまたある者はそんなプレイヤーたちを相手に商売を行い、またあるプレイヤーたちは這う這うの体でダンジョン部分から戻ってきて休憩をしていた。

 まさに最前線。そう呼ぶにふさわしい光景がそこには広がっていた。


「おまけに臭い……。」

 ただ、ここまでの人ごみになると俺にはちょっと辛い。

 悪臭迷路とかロトンキマイラの影響で臭いゲージがかなり上がっている人が多いし。


「とりあえずとっとと行くか。」

 そして俺は人ごみをすり抜けてエレベーターに乗り込み。悪臭迷路へと移動した。



------------------



「ん?」

 さて、悪臭迷路だがこっちはこっちで特に変わった様子はない。普段よりも爆音とかがよく響き渡っているぐらいだ。

 恐らくは灯台に挑むプレイヤーの数に比例して罠に引っかかるプレイヤーの数も増えているのだろう。

 しかし、そうなると巻き込まれが怖いな。掲示板情報が正しいなら罠によって発生するダメージはPTや同盟関係なしに範囲内に居るプレイヤー全てに発生するらしいし。


「とりあえず人もモンスターも少なめな道を選んで進むか。罠なら避けて進めばいいだけの話だし。」

 そうして俺は臭いの総量が少なめな道を選んで進み始めた。

 なお、この悪臭迷路だが実は無限ループになっている上に全体がいくつかのブロックに分かれていて、そのブロック内にプレイヤーが居ないと一定時間ごとに構造が変化するようになっている事が文屋さん率いる情報班の努力によってここ数日の間に判明している。

 そのため、もう終わった話になるが恐らくは前回階段迷路に入った時点で引き返していても灯台の最下層に戻れていたかは怪しい所であったりする。


「キキィ!」

「はいはいっと。」

「キィ!?」

 俺は襲い掛かってきたインプの攻撃を避けるとスノーミストメイスによる攻撃と≪蹴り≫による攻撃を組み合わせて瞬殺する。

 なお、この時点で既に感じている事として、やはりスノーミストメイスとクロノキョロウまたはキツネトリイを比べると微妙にスノーミストメイスの火力が低い気がする。

 恐らくは≪闇属性適性≫によって闇属性の与ダメージが増強されているかどうかの有無や弱点を突けているかどうかによる差なのだろうが。


「まあ、今回は単純な攻撃力とは別の理由で持って来ているからしょうがないな。」

 俺はインプから爪を剥ぎ取るとさらに悪臭迷路の奥へと進む。


「と、あったか。」

「お、ヤタか。」

 そしてしばらく歩いていると次の階に繋がるエレベーターと軍曹たちのPTを見つけ、あちらも俺を見つけたのかユフが声が掛けてくる。


「随分と久しぶりだな。」

「だな。スノクワイバーン討伐以来か?」

 あー、確かにそれぐらいからずっと会って無かったかもな。

 ただ、お互い掲示板に結構名前が載る関係でそれとなくお互いの行動は把握済みだったりするんだけどな。


「それでヤタもこれから上へ?」

 と、軍曹が俺に問いかけてくる。


「ええ。そのつもりです。なので出来れば同じエレベーターに乗らせてもらえますか?」

「別に構わないぜ。どうせスペースは空いてるしな。」

「何なら回復役として同盟を組んでもこちらとしては構いませんが。」

 俺の答えに片手槍使いの男とメイス使いの少女が賛同と提案をしてくる。

 奥に居る鞭使いと杖使いの二人も頷いているあたり俺の実力は認められているという事なのだろう。


「あー、同盟は勘弁で。本当に必要なら辻ヒールはするし。」

 ただまあ、同盟については変な戦い方をする予定だから迷惑をかけないためにも断っておいた方が良いだろう。

 必要だったら余裕がある場合に限るけどレベル上げも兼ねて辻ヒールぐらいはするし。

 なお、ここのエレベーターについては乗り込む度に階段迷路の何処に飛ばされるかが変わるため、同盟などを組んで秩序だって進む場合には一緒のエレベーターに乗らないと違う場所に出されて合流に時間がかかったりする。

 というか、下りの場合でも悪臭迷路の何処に繋がるかは不明なんだよね。迷路組み換えも含めて本当に灯台の仕組みは悪質だわ。


「まあ、ヤタがそう言うならしょうがないな。ところでヤタ。」

「何だ?」

 と、ここでユフが俺に何か質問が有るのかエレベーターに乗り込む前に聞いてくる。


「ロトンキマイラとクエレブレ、それにヒャクメギツネを比較したら戦闘能力はどのくらいになる?」

 ああ、その話題か。そう言えばみんな何故か流しちゃっていたけど掲示板では誰も言って無かった気がするな。

 ただまあ、この手の強い弱いはそれぞれのプレイヤーの主観が大いに入るから判断が難しい点ではあるよな。訊かれたら答えるだけだけど。


「そうだな。あくまでも俺の主観になるが、ロトンキマイラとクエレブレはほぼ同じくらいだが、ヒャクメギツネは完全に一段階以上は格上だな。ああそれと、ザコモンスターに関しては霧の湖の方が完璧に上だな。ダンジョンの仕掛けも相まって灯台の方が嫌らしさでは上だけど。」

「なるほどな。となればここのボスもヒャクメギツネと同等か少し及ばない程度とは見るべきか。」

「そうだと思う。」

 俺の言葉からそう結論付けたユフの言葉に俺も同意を示す。

 というか実の所を言えばロトンキマイラは数でゴリ押して、クエレブレは準備不足のまま地道に削って倒したからかなり比較しづらい。

 そこまでズレているとも思えないが。


「何れにせよ。それを確かめるにはボスゲートまで辿り着かなければならん。では、総員。階段迷路に突入するぞ。」

 そして軍曹たちのPTと俺はエレベーターに乗って悪臭迷路から階段迷路へと移動した。

リベンジ開始!


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