143:霧の湖-11
「いやー、うまうまだわ。」
俺は倒したモンスターからアイテムを剥ぎ取りつつそんな事を言う。
実際のところ、霧の湖の敵は強いだけあってスキルのレベルも上がりやすいし、素材も美味しい。
加えてゲコドロリングのおかげで以前よりも祝福を気兼ねなく使えるから、霧の湖の敵が強いと言っても十分何とかなる。
まあ、一時間に2しか回復しないから乱用厳禁なのは相変わらずだけどな。
「と、またか。」
「ゲコゲコゲコ……」
と、ここでショットフロッグの攻撃が飛んできたため、俺はそれをクロノキョロウで弾き飛ばす。
何と言うかショットフロッグは毎回毎回よくこの霧の中で正確な狙撃をしてくるよな。
場所は……うん。見つけた。
「『行くぜおらああぁぁ……あ?」
俺は≪大声≫を使ってショットフロッグを怯ませつつ、≪四足機動≫で一足飛びに接近する。
飛び込んだ先に見えたのはハスの葉の上に居るショットフロッグ。
が、足場に到達するには少し足りずに着地予想点には湖面が見えている。
「ヤバイヤバイヤバい!?」
そして当然の帰結としてドボオオオォォォンという音と共に俺は湖の中に飛び込んでしまう。
「……!?」
湖の冷たい水が俺の全身に突き刺さる。
が、それ以上に拙い事として、湖底の方から例の海月が既に俺の方へと移動を始めているのを俺の鼻は感じ取っている。
「いそ……ぐ!」
俺は急いで湖面から飛び出すと、ショットフロッグの位置を確認する。
「【アイアングラップ】【ダークエンチャント】」
「ゲコ!?」
俺は【アイアングラップ】によって≪掴み≫を強化した上で、更に【ダークエンチャント】を重ね掛けすることによって腕に闇を纏ってさらに強化し、その状態でショットフロッグの頭を鷲掴みにする。
「間に合えええぇぇぇ!!」
そして俺はショットフロッグの居たハスの葉から隣の足場に移動し、更にそこから全力で駆けてその場から逃げ出す。
「「「くぁzxdtgbrtygvfghjm!!」」」
と、ここで俺の後方から何体もの海月が意味不明な叫び声を上げつつ湖上へと飛び出し、俺の方に向かって突撃してくる。
が、早めに逃げ出したのが功を奏し、俺はなんとか海月たちから逃げ切った。
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「ん?」
で、海月たちから逃げ切り、掴んでいたショットフロッグがいつの間にか力尽きていたので剥ぎ取りをしたところで俺はそれに気づいた。
俺は現在ホワイトミストリングとゲコドロリングを装備していて、ホワイトミストリングは真っ白な指輪だったはずである。
が、今俺の指嵌っているそれは真っ黒なリングになっている。
「どうなってんだこれ?」
俺はメニューから装備品の画面とステータスの画面を呼び出して何が起きているかを確認する。
すると、ホワイトミストリングがブラックミストリングというアイテムに変化しており、その効果も物理防御力が少し上がった上に属性耐性も光・水耐性から闇耐性に変化している。
おまけに【ダークエンチャント】も出現している。
「変化したタイミングはさっき逃げている間だよなぁ……」
装備品としての効果は上がっていると見てもいいだろう。
が、何故変化したかが分からないため、どうにも微妙な気分である。
「とりあえず、セーフティポイントに戻ってから色々とスレを覗いて調べてみるか。」
そして俺はセーフティポイントまで戻ることにした。
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「うーん。分からん。」
セーフティポイントまで戻ってきた俺は様々なスレを覗いてみた。
が、白霧鉄そのものが現状では貴重品であるためなのか、俺の指輪に起きたような現象に関するような話は何処にも出ていなかった。
俺は自分が何をしたのかを一つ一つ思い出す。
「あー、もしかしてそう言う事か?」
で、一つ思い当たる事が有り、俺はそれを試してみる。
「【ダークエンチャント】」
俺は手に白霧鉄の鉱石を持った状態で【ダークエンチャント】を腕で発動して闇を纏わせる。
すると、腕に纏わされた闇が鉱石の方へと移動し、かすかに見えていた白い金属が黒い金属へと変化していくと同時に鉱石の名前が未確定の物へと変化する。
そして、変化が終わったところで【ダークエンチャント】が強制解除される。
「これは……当たりか。」
俺はその様子を見て白霧鉄は【ダークエンチャント】に反応して別の何かに変化するのだと判断する。
本音を言えば他の属性ならどうなるのかや、変化したら性質がどう変わるかなども調べたい事ではあるが、そこら辺は今度王都に戻った時にでもガントレットのオッサンや、トゥートゥーさん辺りに話して確かめればいいだろう。
特にトゥートゥーさんなら確実に≪風属性適性≫は持っているだろう。
「と、そう言えば素材ってどのくらい集まっていたっけ。」
俺はアイテムポーチの中を確認し、素材の数と種類を確認する。
「うーん。これならいいか。」
するとキリゴズ、キリメズの素材も十分な量が集まっており、それ以外のモンスターの素材もだいぶ集まっていた。
うん。これなら何かが作りたくなっても十分足りるだろう。
「なら、次はアイツか。」
そして俺はインスタントポータルでアイテムを預けると、再びセーフティポイントの外へと向かった。
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Name:ヤタ
Equipment:攻撃力:190+闇25+毒20 防御力:95+闇8
武器:クロノキョロウ 【ダークスイングⅡ】 【ベノムスイング】 【ダークヒール】 【ダークエンチャント】 【獣人化:ウルグルプ】
頭:ウルグルプヘッド 【ハウリング】 【ウルフファング】 【ポイズンバイト】 (クエレブレの素材使用)
首:巨大狼の首飾り 【獣人化:ウルグルプ】
胴:ウルグルプベスト (ショットフロッグの皮使用)
腰:ウルグルプベルト (クエレブレの素材使用)
腕:ウルグルプアーム 【アイアングラップ】 【ダークエンチャント】 (ヌマヒトガタ&キリウミの素材使用)
脚:ウルグルプグリーヴ (クエレブレの素材使用)
指輪1:ブラックミストリング (闇8) 【ダークエンチャント】
指輪2:ゲコドロリング (HP・BP回復 2/h)
控え武器
Rシザーメイス 142+水15 【ディフェンスライズ】
イワジュウジモン 150+光15 【ヒール】 【エレメントライズ】
レッドコークメイス 135+火40 【ファイアスイング】 【ウォームゾーン】
マンティメイス 165+雷15 【サンダースイング】 【スイングダウン】
スノークリスタルメイス 160+氷25 【アイススイング】 【クールゾーン】
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妙な金属が出来ましたー
正体はいずれ。