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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第5章:狩人と狐

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136:狩猟神の神殿-6

「いたたたた……ここは……戻されたのか。」

 俺が目を開くとそこは王都の神殿の死に戻りポイントだった。

 直前の状況から察するに百目狐の放った攻撃によって俺は倒されたという事なのだろう。

 とりあえず、死に戻りの際の幻痛耐性が地味に高まっている気がする。


「テンタクルスたちは……」

 俺はメニュー画面を開いてテンタクルスたちがどうしているかを調べる。


「あー、全員戻されているっぽいな。なら、通信でっと。」

 メニュー画面のパーティ欄にはHPが全快状態である他のメンバーの名前が記されている。あの攻撃の推定範囲と威力からして全員やられたと考えるべきだろう。

 だが、俺の周りに他のメンバーが居ないという事は別の神殿に送られたと見るべきだろう。

 なので俺はフレンド通信の画面を開いてトゥートゥーさんに連絡をする。


『ああ、ヤタですか。』

「トゥートゥーさんですか?すみません。やられてしまったんですけど今そちらは何処に?」

 俺はトゥートゥーさんにどこに居るかを聞く。


『こちらは今狩猟神の神殿に4人揃っています。』

 ああやっぱり全員戻されていたか。狩猟神の神殿に居るのはそちら側から霧の湖に入ったからかな?


「分かりました。こちらは今王都の神殿に居るので、ポータルでそちらに向かいますね。」

『分かりました。お待ちしております。』

 そして俺は通信を切ると、ポータルを使って狩猟神の神殿に移動した。



-----------------



「蛮勇の、こっちだ!」

「おっ、分かった。」

 狩猟神の神殿に行くと、テンタクルスたちが神殿外の広場でテーブルのような物を出して集まっていた。


「さて、これで全員集まりましたね。」

 トゥートゥーさんが俺たち全員を見回してそう言う。


「では、早速ですがあの狐についてどう感じたかを話し合いましょうか。」

 その言葉に全員が肯いて話し合いが始まった。


「まずあの狐の仮称は……百目狐でいいですか。」

「キモいにも程が有ったわ……」

「アレは無いで……」

「初見であれは最悪トラウマになる……」

「何故あんな外見にしたし……」

 全員あの狐の仮の名前が百目狐なのに異議は無いようだが、ついでに全身の目を開いた姿に関する感想についても異議は無いようだ。


「とりあえず問題になるのはあの回避能力ですね。」

 俺は百目狐の異常とまで言える回避能力を思い出す。


「完璧に背後から攻撃しても最小限の動きで回避していたよな。」

「あの本性を見る限りだとしっかりと見ていたと考えるべきよね。」

 俺とナーナンの言葉に全員が頷く。

 まあ、この考えに間違いはないだろう。実際、背中や後頭部にも線のような物が入っていた気はするしな。


「ただ、流石に楽器の補助祝福のように周囲一帯に効果を及ぼす物は問題なく当たっていたし、詰将棋のように逃げ場を無くせば攻撃を当てることは出来た。」

「となれば対策は視覚を潰せるような何かや、逃げる暇や場所も無いような攻撃やな。」

 少し離れた場所に居てしっかりと百目狐の動きを見ていたおかげなのかテンタクルスとバクーハが意見を述べる。


「実際それしかないでしょうね。となれば残る問題は最後にされたあの攻撃ですか。」

 トゥートゥーさんの言葉に全員が苦い顔をする。


「とりあえず俺は何が起きたのかよく分からなかった。気が付いたら光に包まれていた感じだ。」

「私も距離が近かったせいで似たような物ね。」 俺とナーナンは素直に何が起きたのか分からなかったと言う。

 実際距離が近すぎて逃げる時間なんて無かった。


「私たち3人は多少離れていたので何が起きたのかは分かりますが……」

「アレはなぁ……」

「とりあえず2人の為に説明はするで。」

 そう言ってバクーハが説明役を買って出る。


「まず、基本的にはあの攻撃の前にナーナンが避けた光線攻撃と変わらん。」

「あの目を開いてそこからビームみたいのを放ってきたやつね。」

「せや。」

 あー、てことはもしかして。


「もしかしなくても全身の目からあの光線が出たのか?」

「その通りだ。ついでに言えば一本一本の光線の太さも増していた。」 テンタクルスの言葉に俺とナーナンの顔が引きつる。

 何と言うかもしかしなくても至近距離で避けるのは無理なんじゃないか?それ。


「何かしらの対策はあるんだと思う。が、現状の手持ちではどうしようもないな。」

 テンタクルスがやれやれと言った表情を見せる。


「では、百目狐に関してはこのぐらいにしておいて今後はどうするかですね。」

「私たち『狩人行進曲』は前線組に合流するわ。今回の探索でいい素材も手に入ったし、今の時点でアレに勝つのは厳しいと思うから。」

 ふむ。つまりナーナンたちはキメラの方に回るという事か。

 ただまあ、絶対に勝てないかと言われればな……


「私も今回の情報を掲示板に上げた後は文屋班長と合流しようと考えています。」

 で、トゥートゥーさんも似たような感じか。

 とりあえず情報を上げてくれるならお任せするべきだな。


「蛮勇さんはどうするの?」

 ナーナンが俺に話を振ってくる。


「そうだな……」

 さて、実際の所俺が今前線に行く意味はあるのか……?

 うーん。無いな。情報集めなら他のプレイヤーがやってくれるし、素材やレベル上げもキメラが倒されていない現時点では霧の湖か、フェルミオの見つけた沈没船の方が良い。

 で、百目狐に関しても一撃当てられたなら何とかなる可能性は十分にあるな。


「俺は霧の湖でのレベル上げと百目狐への挑戦を続ける。」

 尤もそれ以上にだ。


「あの狐を絶対に噛み殺してやらぁ。」

 負けっぱなしは癪に障るからな。

 ってあれ?何で全員ドン引き顔してんだ?俺としては妙な顔をした覚えも無いんだが?


「えーと、それじゃあ。この場は解散にしましょうか。全員お疲れ様でした。」

「「「お、お疲れ様でしたー」」」

「?」

 そしてこの場はトゥートゥーさんの宣言で解散となった。

というわけでまたもや反省会でした。


11/04誤字訂正

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