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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第5章:狩人と狐
132/249

132:霧の湖-7

「う~……」

 相変わらず俺は霧の中を彷徨っていた。

 正直言ってそろそろ色々な理由から本気でセーフティエリアとインスタントポータルが欲しい。

 具体的にはBPとアイテムポーチの容量がそろそろ危うい。


 まずBPは休憩をしていれば回復するのはHPと同じなのだが、一戦当たりの消費がHPよりも激しい上に回復スピードはHPよりも遅い。

 おかげで度重なる戦闘でBP回復アイテムも含めて底が見え始めている。


 次にアイテムポーチの容量だが、こちらは元々量と種類による制限がかかっており、元々探索に使う各種アイテムを入れた上に霧の湖で取れる素材を片っ端から入れていった為に相当アイテムポーチの中が圧迫されつつある。


「解決策は……やっぱ新しいスキルか。」

 で、これらの解決策だがどちらも今俺が探している物が見つかれば解決するが、スキルによる解決策もある。

 具体的にはBPは≪BP消費軽減≫や≪BP自然回復≫辺りが、アイテムポーチの容量に関しては≪所持重量制限緩和≫や≪所持種類制限緩和≫が解決策となるスキルだ。


「まあ、技能石なんて早々出ないけどな。」

 そして俺はこれらの考えが取らぬ狸の皮算用だと考えて探索を再開した。



-------------------



 既に日は暮れ、周囲は白い霧から黒い霧へとその色を変えている。


「ただまあ、やっと見つかったか……」

 俺は頭の中でここに至るまでの戦闘を思い返す。

 うん。基本は問題なかった。

 ただ、時折誤って湖の中に落ちた時や、キリウミを倒さざる得ない時が来ると恐ろしかった。

 一瞬落ちただけでも海月は大挙して押し寄せてくるし、キリウミは倒した後にキリゴズと馬頭が現れる可能性を考えると面倒な事この上なかったのだ。


 だが、それらの戦いを乗り切った事により俺はやっとそれを見つけることが出来た。


「さて、感傷に浸っている暇が有ったらとっとと入るか。」

 俺は足場を飛び移っていき、外縁にこの中がセーフティエリアであることを示す境界線が張られ、中央にインスタントポータルが置かれた石造りの広場の中に入る。


 セーフティエリアの中はもはや不自然と言ってもいいレベルで霧が薄かった。

 正確に言うと広場は直径15mほど有るのだが、端から端まできちんと見渡せる。


「とりあえず登録と収納っと。」

 俺はインスタントポータルに近づいて転移先の再設定と、未鑑定のアイテムの全てと回収した素材の大半をアイテムボックスへと送る。

 うん。これで仮に死に戻りしても問題ないな。


「さて、それじゃあ武器の耐久度回復と掲示板巡りをしたら寝て、探索三日目に備えるか。」

 俺は携帯鍛冶セットでクロノキョロウの修復を行いながら掲示板を開いて、現在の全体の進行状況を確認する。


 で、掲示板を見る限りではどうやら現在攻略組で一番進んでいるPTは灯台の入り口を守っているボスを攻略しているらしい。

 そして、そのPTとそのPTに付属するいくつかのPTの情報を総合する限りでは、灯台の入り口を守っているボスはキメラであり、装備品の耐久度を大幅に減らす腐食攻撃を行ってくるそうだ。

 というか、腐食攻撃のおかげで前情報無しで挑んだPTは装備までボロボロにされた上で死に戻りしたそうだ。

 うーん。俺の場合クロノキョロウとかぶっ壊されたらマジでへこみそうだ。


 次に沈没船……と言うか実質フェルミオの近況なのだが。

 こちらは……まあ、元気そうである。

 いつの間にかフラッシャーとか言う新しいボスに関する情報が流れていて、そのボスを倒した先が坑道の地底湖に繋がっていたとか言うのを見た時にはさすがに驚いたが。

 なお、フラッシャーに関しては別名閃光鮫とも呼ばれており、光属性の攻撃や閃光による目つぶし。それにまるで光のように高速で突っ込む攻撃と真っ白な体表が特徴だそうだ。


 ただまあ、最近は情報が蓄積されたおかげなのかフェルミオ以外のプレイヤーにも沈没船に入れる芽が出始めているらしい。

 何でも、帯気石に幾つかのアイテムを組み合わせることで酸素ボンベのようなアイテムが作れたそうだ。


「で、俺の居る霧の湖にももうすぐ新しいプレイヤーはやってくる。と。」

 俺は掲示板の中から樹林回廊下層部の湖の先に発見されたボスゲートに関するスレを見る。

 そのスレによればこちらのボスゲートのボスはパニドフライと言い、外見上は巨大なトンボだそうだが、混乱状態になる羽音を大量にばら撒いてくると言う非常に厄介な性質を持っているそうだ。

 しかも霧の中での飛行タイプボスとの戦闘なので、混乱を抜きにしても中々にキツかったそうだ。


 何と言うか、こうしてみるとストーリー外のエリアと思しき場所に繋がるゲートを守るボスの中でクエレブレが一番弱かったんじゃないかと思うな。

 ぶっちゃけクエレブレはパターン化しやすいし、強力な属性攻撃が有れば何とかなるボスだし。


 まあ、その辺はさておいて今日はもう寝るか。

 こうしてセーフティエリアが見つかったからには次の目標は三神殿のボスのように次のエリアではなくそのエリアに潜んでいるボスへと繋がるボスゲート探しである。

 正直、例え見つかっても海月はともかく馬頭に勝てるようになってから挑むべきだと思うけどな。

 確実にクエレブレ以上……というか下手をすれば今のストーリー上の最前線ボス以上なわけだし。


 そして俺はゆっくりと眠り始めた。


△△△△△

Name:ヤタ


Skill:≪メイスマスタリー≫Lv.21 ≪メイス職人≫Lv.18 ≪掴み≫Lv.19 ≪四足機動≫Lv.19 ≪噛みつき≫Lv.20 ≪鉄の胃袋≫Lv.18 ≪嗅覚識別≫Lv.19 ≪大声≫Lv.18 ≪筋力強化≫Lv.18 ≪闇属性適性≫Lv.9 ≪嗅覚強化≫Lv.19 ≪蹴り≫Lv.16


控え:≪酒職人≫Lv.17 ≪器用強化≫Lv.14 ≪握力強化≫Lv.16 ≪方向感覚≫Lv.17 ≪投擲≫Lv.18

▽▽▽▽▽

さり気なく灯台とフェルミオの近況を入れてみたり


11/12 ちょっと修正

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[一言] 帰ってきた乱し蜻蛉
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