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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第4章:夢現と雪飛竜

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110/249

110:職人神の神殿-6

 さて、沼蛇改めクエレブレを倒してそのまま新エリアに突入である……が、


「何も見えねえ……」

 俺の前に広がるのはどこまでも白い場所である。

 ただ、白いと言っても雪ではない。


「霧が濃すぎるだろ。」

 俺の前に広がるそれは5m先も見通せないほど濃い霧だ。

 そう。クエレブレを倒して繋がった新エリアは樹林回廊の下層ではなく未知のエリアだった。

 霧で周囲の様子を窺う事は難しいが、足元は湿原でよくある木製の橋のような物で、更にその下には湖が広がっているのか水の匂いがする。

 また、霧の向こう側からは何かが蠢いているような気配と言うか匂いもする。


「とりあえずここでHPが回復するまで待つか。」

 俺は警戒をしたままその場で腰をつき、クエレブレとの戦いでギリギリまで減ったHPを少しずつ回復する。

 それと同時に戦いで壊れた装備品と消耗したアイテムについて確認する。


 まずレッドコークメイス。これはもう完璧に壊れてる。見るも無残と言った感じの姿で、根元からポッキリ逝っている。

 次に防具。壊れたのは……頭、腰、脚の三つか。胴、腕、首が無事なのはウルグルプ素材に加えたサブの素材が優秀だからだろうな。

 指に関しては元々小さいからそもそもダメージがあまり行ってなかったんだろう。

 消耗品に関しては……うん。ほぼ底を尽いてるな。≪耐寒≫付与をするために持ってきたハイウォームカクテル以外は雀の涙みたいな物だな。


「ふぅ……暗くなってきたな。」

 俺は空を見上げる。

 するとクエレブレ戦でだいぶ時間が経過していたのもあるが、いつの間にか日は落ちかけて辺りは暗くなり始めていた。

 また、雪山が近いためなのか息も白くなってきている。


「さて、HPも回復してきたし戻るか。」

 そして俺はハイウォームカクテルを呑み干すと霧の湖から雪山へと戻り、そこから職人神の神殿まで戻った。



----------------



 ヤバかった。何がかって?全てがだよ!


 まず脚防具が無いせいで雪とか地面とか≪蹴り≫とかが痛い!

 次にメイスと祝福が無いから火力が足りない!

 最後に防御力も無いからサルファーサイスの不意打ちが本気で怖い!!


 いやー、生きた心地がしなかったわ。

 何気に雑魚戦では今までで一番ヤバかった気がする。


 で、職人神の神殿に辿り着いたのが深夜で、辿り着いたところでメッセージの着信があった。


「また電子の女帝か?」

 俺はメッセージを開く。


『システムメッセージ

 このメッセージはシステムプログラムによって現在HASO内に居る全プレイヤーに送られています。

 おはこんにばんわ。いつも掲示板に張り付き厨。電子の女帝ですよ。

 でもそんな事はどうだっていいんだ!重要な事じゃない!

 と、おふざけはここまでにしておいて、新たな機能追加のお知らせです。』

 ……。なんか読む気力無くすわぁ……。

 でも、読まないと拙いよなぁ……機能追加のお知らせなんだし。


『今回は9種類のボスモンスターが討伐されたことを記念して課金アイテムの解放をさせてもらった。

 ただ課金アイテムと言っても攻略に役立つようなものではなく、諸君のモチベーションを維持するための物に限らせてもらっている。というか、元々そう言う課金アイテムしか無かった。』

 課金アイテムか……、でもこの状況でリアルマネーは使いたくないなぁ。現実に戻ってから色々と必要だろうし。

 と言うか9種類?俺の知っているボスの数と微妙に数が合ってない気がする。

 後で掲示板を見てみるか。


『さて、折角の課金アイテムという事なので、まずは課金アイテムとの交換に使えるポイントを1000Pだけ全プレイヤーに配布しておく。』

 1000P……ああ、1000円分て事か。

 でも、1000円じゃなぁ。大した物は買えないだろうに。


『そして以後のポイント入手に関してはリアルマネーでの購入も可能であるが、どうせならという事でボスモンスター1回討伐で10P。モンスター1匹討伐で1P。アイテム作成1個につき1Pだけ課金ポイントが入るようにさせてもらった。』

 ……。つまりゲームを進めれば進めるほどポイントが稼げるという事か。


『では、これらのアイテムによって諸君らが現実に郷愁の念を抱き、攻略に精を出す事を祈らせてもらおう。』

 で、『電子の女帝』としてはこの程度で攻略が進んでくれれば万々歳って事か。

 後、多分だけど『電子の女帝』にとっては電子マネーの水増しぐらいなんてことは無いんだろうな。『電子の女帝』だし。

 いやはや、嫌らしいがよく考えられてるな。


『追伸:以前のバグの件で初期配布ポイントに少し色を付けておきました。ご確認しておいてください。』

 あー、そう言えばそんな事を言っていた気がするな。

 俺はメニュー画面から課金アイテム交換用の画面を出し、まずは自分の持っているポイントを確かめる。


「えーと、2541Pか。」

 とりあえず1000P以上は追加されていると見てよさそうだな。具体的に何P追加されているかはクエレブレを倒してから戻ってくるまで何体のモンスターを倒したか覚えてないから分からないけど。


「じゃあ、次は……」

 俺は交換出来るアイテムを一つずつ確認していく。

 どうやら課金アイテムは本当にモチベーション維持以外には攻略に関わらないアイテムばかりの様で、中には現実のブランドとコラボしたと思しき物もある。

 で、課金アイテムを用途で分けるとアバター関連とプライベートエリア関連になるわけだが、それをさらに分けると大体こんな感じか。


・剥ぎ取り用ナイフの外装スキン変更アイテム

・アイテムポーチの外装変更アイテム

・アバターの外装変更アイテム(インナー含む)

・プライベートエリアの壁紙変更アイテム

・プライベートエリアに置けるだけで効果の無い観葉植物などの一部アイテム

・プライベートエリアの部屋面積拡大(人が多く入った時に狭くならないだけで、俺みたいなソロプレイヤーにはあまり意味は無い。)


「どうせならここは遊ぶべきところだよなぁ。」

 俺は剥ぎ取り用ナイフの外装変更から『剥ぎ取りの手』というアイテムを1000Pで購入し、アイテムポーチの外装変更アイテムから『毛皮のポーチ(黒)』というアイテムを1500Pで購入する。


 前者は剥ぎ取り用ナイフを腕輪の形に変更し、この腕輪を付けた方の手で倒したモンスターに触ると剥ぎ取りが行えるようにすると言うものである。

 なお、付けている間は付けている側の手を使っての攻撃が一切行えなくなるため、必要のない時はきちんとしまっておかなければいけない。


 後者は普通のカバン風であったアイテムポーチを材質不明だが毛皮でモコモコのアイテムポーチに変更することが出来るアイテムである。

 ちなみに(黒)と付いているように色は複数存在する。


「ふわぁ……さて、交換も終わったしクエレブレに関して掲示板に上げたら今日は寝るか。」

 そして俺は眠気を堪えつつプライベートエリアに戻った。


 余談だが、アバターの顔を変える課金アイテム『化粧箱』は何故か10000Pもした。

 これだけはたぶん『電子の女帝』が値段を弄っていると思う。

課金アイテム実装です。

が、モチベーションは上がっても攻略の助けになるようなアイテムは取り扱っていません。


10/15誤字訂正

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