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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第4章:夢現と雪飛竜

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105/249

105:雪山-2

「相変わらず寒いしグビッといっておくか。」

 翌日。雪山にやってきた俺は相変わらずの寒さに辟易しつつハイウォームカクテルを呑む。


「ふむ。だいぶマシになったな。」

 ハイウォームカクテルを呑んだことによって俺の体が芯から温まっていく。

 で、体が温まってきたところでSPと満腹度のゲージを見てみるが、相変わらず寒さによる影響は出ている。

 まあ、ハイウォームカクテルの効果は1時間≪耐寒≫Lv.5なので完全無効化は出来ないのだろう。

 だが完全無効化は出来なくても明らかに前回よりは受けるペナルティは減っているようだし、このレベルの寒さなら戦闘に影響は出ないだろう。


「さて、寒さが問題なくなったところで早速行動開始だ。」

 俺は足を雪山の()の方に向ける。

 何で麓かって?


 まず、雪山は頂上には魔除けの灯の欠片、つまりは今までの流れに沿うならばボスゲートが存在する。

 次に職人神の神殿との連結部。要は俺が今居る場所が6合目~7合目ぐらいの位置に存在しており、後は各所に坑道との連結部が存在しているというのが雪山の構造である。

 で、その坑道との連結部なのだが俺が今居る場所よりも上の部分にも勿論存在しているが、下の部分にも存在していて、雪山の道自体も最初から上下両方に伸びているのである。


 それでまあ、これはメタ的な読みになってしまうがあの(・・)HASOスタッフなら麓に行ける以上は麓にも何かを仕込んでいるだろうと俺は考えている。

 ついでに言うなら樹林回廊の狩猟蜂の蜜や海底洞窟の技巧蟹の塩の様な少々入手が面倒なアイテムが他の二神殿にもある以上、ここ職人神の神殿のダンジョンである雪山か坑道にも同じようなアイテムが有るとみるべきである。


 そんなわけで、不自然な位置に採取ポイントが無いかを探りつつ麓に向かって出発である。



---------------



「また来たか。」

「「ギュルルルル……」」

 雪山を下っていく俺の前には当然ながら多数の敵が現れる。

 今、俺の前に居るのは二匹の青い鱗をした蜥蜴。フロズンリザードである。


「ギュララァ!」「ギュルラ!」

 フロズンリザードの片方が俺に向かって突っ込み、もう片方が氷の塊を援護射撃として放ってくる。

 援護射撃は逃げようとすると当たるように撃たれているので俺は逃げずに≪四足機動≫で加速。突進してきた側のフロズンリザードが口を開く前に≪蹴り≫で相手の顔面を叩き潰し、追撃でレッドコークメイスを叩きつける。


「ギュガァ!?」

 するとレッドコークメイスが叩きつけられた瞬間巨大な爆炎のエフェクトが発生してフロズンリザードに大ダメージを与える。

 予想通りと言えばそうなのだがレッドコークメイスの火40というこの時点では馬鹿げた属性攻撃力は相性も合わさって雪山に生息するモンスターにとっては痛いと言う次元では済まない威力になっている。

 実際【ファイアスイング】を使った時は一撃で敵を消し炭にしていた。

 と、もう一匹のフロズンリザードが動き出す前に≪掴み≫からの≪投擲≫で二匹をぶつけて動きを止める。


「【ウルフファング】」

「ギュガァ!?」「ギュギュウ!?」

 そして、追撃の【ウルフファング】によって弱っていたフロズンリザードを仕留めつつ、メイスと≪蹴り≫の攻撃によってもう一匹にもしっかりと止めを刺す。

 ふう。フロズンリザードの特徴と言えば必ず偶数匹で現れて片方が援護をし、もう片方が突っ込むという動きだが慣れればどうという事は無いな。

 で、2匹から剥ぎ取りを終えた所で俺は再出発する。



--------------



「うーん。やっぱり怪しいのはああいう場所か?」

 俺の前には坑道から出てすぐに崖となっている場所が見えている。

 そこは俺が今居る本道とも、もちろん側道ともつながっておらず、凍りついた樹が一本立っているだけである。

 この距離からでは分からないがあの樹に採取ポイントが設定されている可能性は高いだろう。


「ただ、昨日ちょくちょく覗いた限りではああ言う場所に繋がる道は坑道には無かったよな。」

 しかしだ。昨日坑道を彷徨っていた時に外に出る道を見つけた時はその先に何があるかだけは確認していたのだが、あの樹があるような場所に出ることは無かった。

 つまり、やはりと言うべきか、あの場所に行くためには何かしらのスキルか道具が必要という事なのだろう。


「まっ、場所が分かっているなら行く方法はいくらでもあるけどな。」

 俺は今居る場所よりも下の場所に同じような樹が無いかを調べる。

 で、見つけたのは今居る場所から20m程急斜面を下った先にある崖だ。勿論樹もある。


「……。」

 俺は頭の中でここから降りても大丈夫かを考える。


「【獣人化:ウルグルプ】。『ヒャッハー』!」

 そして結論として【獣人化:ウルグルプ】を使って身体能力を上げた上でなら大丈夫だと判断して斜面を滑り降りていく。


「……っつ!?」

 そして最後にドスッと言う音と共に足元の雪をへこませ、両足にしびれを感じながらも3mぐらいの高さから着地。多少のダメージは受けたが、この程度なら問題ないだろう。


「【獣人化:ウルグルプ】解除。さて、採取ポイントは……これか。」

 俺は【獣人化:ウルグルプ】を解除すると目の前にある樹の根元に発生している採取ポイントからアイテムを入手する。


△△△△△

職人栗鼠の種 レア度:3 重量:1


職人栗鼠と言う職人神の神殿近くに住む固有種の栗鼠が蓄えている木の実の種。職人栗鼠の口腔中の酵素と反応して苦みや渋みが強まる代わりに栄養価が高まっている。

食べると満腹度+5%

食事効果:1分間満腹度減少無効

▽▽▽▽▽


「……。」

 俺は思わずその効果欄の表示に固まる。

 満腹度減少無効って……他のプレイヤーならともかく俺にとっては神アイテムじゃね?いや待て、HASOスタッフの事だ。きっと【獣人化:ウルグルプ】を起動した瞬間に解除されるとかそう言うトラップが仕掛けられているはずだ。そうでなければこの効果はおかしい。

 だが無いなら……無いなら神アイテムだ!


 というか、これのレア版としてたぶん職人神の~っていうのも有るよな。

 で、技巧神の神殿ではフェルミオが技巧神の星塩ってのを入手してたよな。

 えーと、つまり技巧神の星塩+水で特別な食塩水になり、それプラス狩猟神の蜜月で特別な蜂蜜酒と成り、蒸留とかの加工を挟むかどうかは置いておいてそこに職人神のを漬け込みの形で加えれば……。

 いや、これは捕らぬ狸の皮算用だな。そんな事は該当するアイテムが全部出揃ってから考えるべき事だろう。


「とりあえず、この道の先を見てからさらに下山だな。」

 俺は気を取り直して坑道の方にちょっとだけ入る。

 そこは入ってすぐに壁がある場所で、道は存在していなかった。ただ、壁を叩いた感じではすぐ先に通路がありそうではある。


「つまり、掘るか爆破しろってことか?」

 俺はそう結論付けて外に戻り、BP不足で【獣人化:ウルグルプ】も使えないので斜面をゆっくりと滑り落ちていく。

 まあ、この事は後で掲示板に書いておけば問題ない程度の情報だろう。



----------------



「ここら辺が麓か?」

 で、最終的に本道も側道も道が外だけでは繋がらなくなってきてめんどくさいので、HPに問題が出ない程度で斜面を滑ってショートカットしつつ俺は雪山の麓と思しき場所に着く。

 エリアの境界として不自然な雪の壁が有り、それを避けつつここまで来たので麓なのはほぼ間違いないだろう。

 そして、肝心の今俺がいる場所だが、足元には当然雪が降り積もっているのだが、同時に霧のような物が出ており、雪と雪の間からは氷のような物が見えている。

 方角としては……雪山全体で言えば南西の辺りだろうか。普段と違って意識しないと分からない辺りこの霧が何かしらの妨害をしているのかもしれない。


「と、まさかの物が出て来たな。」

 俺は霧の出ているあたりを探索していく。

 すると徐々に雪の量は減っていき、足元の氷も解けて水となり、徐々に水深も増して川のようになる。

 そして、雪山エリアの最南西部と思しき場所に到達した俺の前に現れたのは川の両岸から天に向かって生えるように立つ2本の紫色のオーラを纏った大岩……つまりはボスゲートだった。


「流石に今の状況だと挑みたくないし戻るか。」

 ただ、今は大量のアイテムを抱えている上に武器の耐久度にも不安がある状態なので挑まないでおく。

 挑むのは……たぶん明日以降だな。

 そして俺は職人神の神殿に戻るために手近な入口から坑道の中へと入っていった。

某迷宮の栗鼠もアレはアレで職人だと思います。絶対に許しませんが。


12/27誤字訂正

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