101:職人神の神殿-3
「ここは……」
気が付くとそこは神殿の中だった。
最後に訪れ、死に戻りのポイントとして登録しておいたのが職人神の神殿なので恐らくは職人神の神殿死に戻りポイントだろう。
ただ、前回の死に戻りと違って何故か体のだるさは感じない。
「ん?メッセージ?」
と、ここで俺の目の前にメッセージが届いた知らせが出て来たため俺はそれを開く。
『ハロー、ハロー。電子の女帝です。』
っつ!?電子の女帝!?
俺は急いでメッセージを読み進める。
『今回は致命的なバグに巻き込まれてしまい大変でしたね。少々特殊なバグだったためにデータの復旧に12時間ほどかかってしまいました。なので、詫びと言うわけではありませんが、今回に限ってデスペナを無効化してた上で、次回の私からの更新時に少しだけ色を付けさせてもらいます。
なお、今回の件は掲示板には書き込めませんし、誰かに話そうと思っても伝わらないようになっていますのでお気を付けを。』
メッセージを読み切った俺は少し場所を変えてこのメッセージについて考えてみる。
まずバグと言う点……これは確実に嘘だろう。あの少女の美しさにはバグによくあるような不整合さは無かったし、俺の全感覚があの時あの場が異常でありながらも現実であることを俺の体に伝えていた。バグと言うには不自然な点が多すぎる。
まあ、あれこそがHASOに電子の女帝が流しているプログラム。もしくはそのプログラムから発生したバグだと考えればおかしくない気もするけど。
そして復旧に12時間もかかったという話。神殿の入り口から空を見る限りでは確かにそれだけ時間が経過しているように思える。が、HASO掲示板全てを常時見張れる電子の女帝ほどのハッカーがたかだか俺一人のアイテムポーチなどのデータを復旧させるのに12時間もかかるのだろうか?
これもまたおかしい気がする。
まあ、デスペナ無効やちょっと色を付けて貰えるのは俺にとって美味しいだけだし、他人に話せないと言うなら今回の件は心の隅に留めておくぐらいにしておくか。
「で、本当にデスペナは無いんだよな。」
俺はアイテムポーチの中身を探り、最後に見た時とアイテムの数と種類に違いが無いかを確認していく。
うん。何もなくなっていないな。
加えてデスペナ特有の倦怠感も無い当たり、どうやら本当にデスペナルティは発生していないらしい。
「となると寒さ対策のアイテムが無いかを確認してみるか。」
続けて俺は手に入れたアイテムの説明を一つ一つ見ていって雪山の寒さをどうにかするアイテムが無いかを確認する。
なお、スキルでどうにかする場合は≪耐寒≫というスキルで寒さを軽減・無効化出来るので、アイテムによる寒さ対策の場合もこれを付与するアイテムが有るのではないかと俺は考えている。
考えているのだが……
「無い……。」
寒さ対策に使えそうなアイテムは存在していない。
うーん。この場合考えられるのは未入手なのか本当に無いかだよなぁ……ただ、技巧神の神殿の帯気石は結構ポンポン拾えたし、無いと考えるべきかもしれない。
ただ、あの寒さに対して一切対策が無いと言うのはゲーム的にはありえない気がするし……すると、坑道の方で対策アイテムが拾えるのかもな……。
松明ぐらいなら普通に買えるし、松明が嫌なら発光茸を利用したっていいわけだし。
うん。そう考える方が自然なのかもしれない。
「じゃあ次は坑道の方に行くべきか。」
そして俺はプライベートエリアに一度入って手に入れたアイテムをボックスの中に入れ、装備品の耐久度に問題が無い事を確認してから神殿の外に出た。
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「何だこれ……。」
神殿の外に出ると半日前とは比べ物にならない人数のプレイヤーが神殿前の広場で交渉や情報交換、アイテムの作成などをしていた。
「おお、ヤタであるか。」
「お?ガントレットか。」
と、ここで集団の中からガントレットのオッサンが出てきて話しかけてくる。
その顔には満面の笑みが浮かんでいる。
「何なんだ?このプレイヤーの数は?」
「ヤタが原因である。」
俺の質問にガントレットのオッサンは何を当然のことを聞いているんだと言った表情で答える。
「俺?」
俺は思わず聞き返す。
「そうである。ヤタが掲示板にストーンゴーレムの倒し方を載せ、その倒し方がアイテムをフル活用した戦術。つまりは吾輩たち生産職にとってはヤタがやっていた以上に簡単に倒せる方法だったためにストーンゴーレムに恨みを持つ職人たちが一堂に会してお礼参りをしてやったのである。」
「……。」
「爆破がまるで効かなかった血赤は流石に無理だったであるがな~♪」
……。ああうん。そうですか、まあ俺の攻略が役に立ったなら別にいいか。
「で、そっちはどうしたである?」
「ん?ああ雪山の方に行って寒さによるペナルティのせいで死に戻りしたんだよ。」
一応、電子の女帝に言われたとおりバグ(?)に巻き込まれた事は隠しておく。
「そうであるか。やはり雪山の方は厳しそうであるな。」
「だな。だから次は坑道の方に行ってみるよ。」
そして俺はガントレットのオッサンに別れを告げると坑道の方へと歩を進めた。
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Name:ヤタ
Skill:≪メイスマスタリー≫Lv.17 ≪メイス職人≫Lv.15 ≪握力強化≫Lv.14 ≪掴み≫Lv.15 ≪筋力強化≫Lv.14 ≪方向感覚≫Lv.14 ≪四足機動≫Lv.13 ≪投擲≫Lv.14 ≪噛みつき≫Lv.15 ≪鉄の胃袋≫Lv.13 ≪嗅覚識別≫Lv.13 ≪大声≫Lv.15
控え:≪酒職人≫Lv.14 ≪嗅覚強化≫Lv.12 ≪器用強化≫Lv.9 ≪蹴り≫Lv.6
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電子の女帝『バグなのは事実ですよ。バグなのは(ニッコリ』




