第8話:【困窮】裏切りの代償と民衆の掌返し
本日も驚異的なアクセスをいただき、執筆の手が止まりません!
前話で王子のプライドを粉砕したリアナ。
第8話では、ついに「もう遅い」と言いたくなるような、王国の絶望的な状況が描かれます。
手のひらを返した民衆と、無力さを晒す偽聖女。
スカッとする展開、どうぞお楽しみください!
「白銀騎士団」が全滅し、エドワード王子が命からがら王宮へ逃げ帰ったという知らせは、瞬く間に王都全土へと広がった。
かつてリアナを「魔女」と呼び、石を投げた民衆たちが、今や恐怖に顔を歪め、閉ざされた王宮の門の前に押し寄せている。
「水を! 清らかな水を出してくれ! 井戸が、井戸が真っ黒に腐っているんだ!」
「子供の熱が下がらない! 聖女エルナ様、どうにかしてください!」
門の向こう側、王宮のバルコニーでは、義妹エルナが顔を引きつらせて立ち尽くしていた。
彼女の手にある『聖女の首飾り』は、今や完全にその光を失い、不気味な鈍色に変色している。
リアナが十年間、祈りと魔力で維持し続けてきた王国の浄化システムは、彼女という「供給源」を失ったことで、修復不可能なレベルまで崩壊していた。
「……無理よ、そんなの。あんなに汚れた水を、私一人の祈りでどうにかできるわけないじゃない!」
エルナの叫びは、虚しく室内に響くだけだ。彼女は、リアナがどれだけの負担を背負ってこの国を支えていたかを全く理解していなかった。
そこへ、這々の体で戻ってきたエドワード王子が転がり込む。その額には、リアナによって刻まれた「漆黒の紋章」が、消えることのない呪いとしてどす黒く脈打っていた。
「エドワード様! その顔、どうしたのですか……!?」
「あ、あの女だ……。リアナが、私に何かをした……! 痛い、熱いんだエルナ! お前の力で今すぐこれを消せ!」
「でき、できないわよ! だって、これ、お姉様の魔力じゃない……私の祈りなんて、お姉様の呪いの前では……っ」
その時だった。門の外の民衆の怒号が、一段と激しさを増した。
「おい、さっき見たぞ! エルナ様の足元でバラが枯れていくのを!」
「まさか、本当の魔女はあの女なんじゃないか? リアナ様がいた頃は、こんなこと一度もなかったぞ!」
民衆とは、残酷なまでに現金な生き物だ。
自分たちが石を投げ、処刑台に送った女性こそが守護者であったことに、失って初めて気づき始めたのだ。そして、その矛先は必然的に「代わり」を務めるはずだったエルナへと向かう。
一方、魔女の森。
私はアスタロトの城の玉座に座り、水晶球に映し出される王都の混乱を、最高の娯楽映画でも見るかのように眺めていた。
「……ふふ、滑稽ね。あんなに仲睦まじかった王子と聖女が、今や互いを罵り合っているわ」
傍らに控えるアスタロトが、私の肩に手を置き、満足げに囁く。
「人は失ってからしか真実を見ようとしない。だが、気づいた時にはもう、全てが手遅れなのだ。
リアナ、次はどうする? 絶望に染まった民衆に、さらなる『奇跡』を見せてやるか?」
「ええ……。彼らが泣いて縋り付いてきた時に、最高の笑顔で突き放してあげるのが礼儀でしょう?」
私は水晶球を指先でなぞり、王宮を包む霧をさらに濃くした。
かつて私を愛した(ふりをした)国が、内側から崩れ去る音。
それはどんな音楽よりも、今の私の心を癒やしてくれた。
最後までお読みいただきありがとうございます!
「リアナ様がいた頃は良かった」――今さらそんなことを言っても、彼女はもう戻りません。
エルナへの疑念が膨らむ中、王宮内の亀裂も決定的になりました。
次回、第9話「【断絶】和平交渉の使者と魔女の哄笑」。
追い詰められた国王が、ついに「交渉」のためにリアナの元へ使者を送ります。
しかし、今の彼女に慈悲など一滴も残っておらず……。
本日、まだまだ更新していきます!
1作目の 1,723 PV を超える勢いを皆様で作っていただけると嬉しいです。
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