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死を賜った魔女、地獄から戻って全てを「呪い」に変える  作者: La Mistral
第5章:【永劫なる魔女の帝国】

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第41話:【侵食】銀河を奔る黒い雷光

ようこそ、冷徹な機械の鼓動が、魔女の加虐によって「肉の絶叫」へと書き換えられる瞬間へ。

 第41話では、高度な科学文明を誇る惑星「アイアン・グレイ」が、リアナの放った次元侵食の雷光によって解体される様を描きます。

 無機質な鋼鉄が、魔女の意志によって生々しい「素材」へと変貌していく絶望。冷たい計算と理論で守られた世界が、理不尽な魔力の暴力に蹂躙される、その凄惨なコントラストを五感のすべてでお受け取りください。

神殿の最奥に鎮座するリアナが、冷たく滑らかな黒水晶の杖で宙を薙ぐと、エリュシオンの空に穿たれた亀裂から、漆黒の電位を帯びた「黒い雷光」が奔流となって宇宙の闇へと解き放たれた。


その雷光は、真空の静寂を切り裂く「バリバリ」という、巨大な硝子板が粉砕されるような鋭い破壊音を伴い、周囲の星々が放つ光を、泥をぶちまけたようにどす黒く塗り潰していく。


大気のないはずの宇宙空間に、魔女の魔力がもたらす焦げたオゾンと、古びた墓所の底から這い上がってきたような、煤けた死の臭気が爆発的に拡散していった。


 次なる標的として選ばれたのは、高度な機械文明を誇る惑星「アイアン・グレイ」。


その防衛衛星が、接近する黒い雷光を捉えた瞬間、指令室のオペレーターたちの舌の上には、強烈な電磁波によるアルミ箔を噛み潰したような不快な金属味と、死の予感に裏打ちされた苦い胆汁の味が広がった。


彼らの視界は、計器から噴き出した極彩色の火花と、モニターを侵食するどす黒いノイズによって激しく明滅し、耳元では、通信機から漏れ聞こえる「キィィィン」という、鼓膜を針で刺すような超高域の絶鳴が鳴り止まなくなった。


「……あ、あはは! お姉様、あの鉄の星、とっても硬そうだよぉ……っ! 私の指で、ぐにゃぐにゃの飴細工みたいに捏ね回してあげたいな!」


 エルナの肉塊が、神殿の床を「ずぶずぶ」と粘着質な音を立てて這い、次元の覗き窓にその肥大した顔を押し付ける。


彼女から発せられる、発酵した生ゴミのような重苦しい湿り気を帯びた熱気が、神殿の冷徹な空気と混ざり合い、周囲に不気味な白濁した霧を立ち昇らせた。


リアナは、玉座の肘掛けに置いた自らの白く透き通るような指先を見つめる。


そこには、次元の壁を握り潰した際の、冷たい氷を素手で砕いたときのような、心地よい痺れと「ピリピリ」とした残響がまだ微かに残っていた。


 黒い雷光がアイアン・グレイの地表を直撃すると、鋼鉄の都市は「メキメキ」という、巨大な獣の骨が砕けるような重量感のある音を立てて崩落し始めた。


爆炎とともに立ち上がるのは、焼けた機械油の鼻を突くような悪臭と、溶け出した金属が発する、喉の奥を焼くような酸っぱい蒸気である。


逃げ惑う住人たちが踏み締める鋼の床は、魔女の呪いによって瞬く間に弾力のある「肉質」へと変質し、足首を捕らえるたびに「グチャリ」という湿った音を立てて、彼らを冷え切った機械の地獄から、より凄惨な魔女の胃袋へと引きずり込んでいった。


アイアン・グレイの軍隊が放つ光子砲の閃光は、リアナの生み出した黒い雷光に触れた瞬間、まるで汚水に投げ込まれた真珠のように輝きを失い、どろどろとした鉛色の霧へと成り果てた。


防衛司令部の鋼鉄の壁面からは、魔女の侵食によって「ドクン、ドクン」という不快な脈動音が漏れ出し、冷たく硬質なはずの計器類は、腐敗した果実のような柔らかな弾力を持ち始め、触れるたびに「ヌチャリ」という粘着質な音を立ててオペレーターの指先を絡め取る。


彼らの鼻腔には、焦げ付いた電子基板の臭気と、内臓を直接素手で握られたような、生暖かい血の生臭さが混ざり合い、逃げ場のない吐き気を催させていった。


 リアナが玉座の上で優雅に指先を交差させると、アイアン・グレイの都市全域を覆う通信網は、彼女の魔力によって「生きた神経系」へと書き換えられていく。


スピーカーから流れ出したのは、救助信号ではなく、神殿に囚われた王たちの、磨り潰された砂利のような不協和音と、次元の狭間で引き裂かれた巫女たちの、冷たい水が鼓膜を圧迫するような重苦しい呻きであった。


住人たちの舌の上には、極限の恐怖がもたらす砂を噛むようなざらつきと、大気中に充満した魔力の残滓である、腐りかけた花の蜜のような、重たく甘ったるい死の味がこびりついて離れない。


「さあ、この鉄の檻も、私の庭にふさわしい形に整えてあげましょう」


 リアナが冷たく囁くと、惑星の地殻を形成する合金が「ベキベキ」と音を立てて内側から反り返り、そこから巨大な「肉の触手」が、蒸せ返るような熱気と共に噴き出した。


住人たちの視界は、溶け落ちる高層ビルの極彩色の火花と、すべてを飲み込む漆黒の絶望によって激しく明滅し、骨が「ミシミシ」と軋む音と共に、彼らの文明そのものが、魔女の神殿の新たな「素材」として収穫されていく。


肌の上を這い回る石化と肉化の呪いは、乾いた泥が剥がれ落ちるような「ザラザラ」とした振動を伴い、彼らの意識を、永遠に終わることのない、温かくて暗い深淵へと引きずり込んでいった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 第41話では、科学文明の象徴である「鉄」と、魔女の象徴である「肉と魔力」が混ざり合う、生理的な嫌悪感を伴う侵食を肉付けしました。

 高度な文明であっても、リアナにとっては神殿の部品を補うための「硬質な素材」に過ぎません。惑星全体が、巨大な生きた臓器のように脈動し始める光景は、彼女の版図が宇宙規模へと拡大したことを示しています。

 次回、第42話:【収穫】鋼の記憶と魔女の記録。

 アイアン・グレイの指導者たちが、自らの電子頭脳に魔女の絶望を直接「同期」させられ、永遠のアーカイブへと変質していく様を描きます。

 この銀河を覆い尽くす暗黒の旅路、引き続きお見届けください。

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