アマリアとメル
アマリアが生まれる直前まで、この国は隣国と戦争をしていたのが始まりである。その混乱に乗じて、隣国の王宮はクーデターを受け、王と王妃、王子達は虐殺されたらしい。
クーデターを受けて以降、向こうから和平条約を提示してきたので、それに応じる形で終戦した。この国も人を失うことと、戦うことに疲弊していたのだ。
そのため国には孤児が多く、孤児院に預けられた赤子の女の子──アマリアは、一際目を引く容姿をしていた。
輝く金色の髪に澄んだ青の瞳。顔つきも整っており、孤児院側もこの赤子が悪い人間に悪用されないよう守っていた。
そして、ある日のこと。この孤児院に身なりのいい夫妻が現れた。それが、隣国との境目にある辺境伯夫妻だったのだ。
夫人は一目で赤子を気に入り、辺境伯夫妻が養子として迎え入れたいと申し出て、先の戦で勲章を賜り身分も申しようがない完璧な人達であることから、孤児院側もアマリアを養子に出すことを快く快諾し、無事に引き取られた。
辺境伯夫妻には二人の実子がおり、男の子兄弟の中に一番下の妹として迎え入れられたアマリアは、それはもう溺愛され蝶よ花よと育てられ、愛嬌のある可愛らしい少女へと成長した。
上の兄弟が男の子だからか、兄を真似ているうちに少々お転婆な令嬢となったが、その可愛らしい笑顔と天真爛漫な性格は、誰からも愛される少女として有名だった。
嫡子がいて跡取りに問題のない辺境伯夫妻が、わざわざ孤児院から養子を迎え入れたのには理由があった。
戦争による被害によって親を失った子の面倒を見たいという辺境伯のエゴからと、夫人が元々病弱なこともあり、男の子二人を出産したことから子どもを望めない身体になってしまったからだ。 夫人は元々娘が欲しかったので、辺境伯と話し合った結果、今に至る。
家族はみな優しく、アマリアだけ髪色や目の色が違っても特に気にしなかった。きれいだよ、可愛いよといつも褒めてくれる、優しい家族が大好きだった。
そして、十歳の時に実子ではないことを告げられて「本当の家族じゃないんだ」と現実を突きつけられた。
みんな優しいのにどこかひとりぼっちな気がしていたのも、血の繋がりがないからなのかもしれないと、それがアマリアのしこりとなって残ってしまった。
それに気づいた夫妻は、言うタイミングを早まったかと少々後悔した。他人から意地悪なことを言われる前に、親である自分達から告げた方がまだ心の持ち様があると判断してのことだった。
そこで、辺境伯と婦人は同じ年頃の少年を孤児院から一人選び、見習いとして従者兼アマリアの遊び相手として連れこられたのが、十ニ歳のメルであった。
年が近いこともあり、アマリアはメルを大変気に入り、二人でよく遊んでいた。
その頃には兄も学校へ行って寂しく過ごしていたアマリアの心を簡単に埋めてしまったのも、メルなのである。
メルが来てから明らかに元気を取り戻した様子に辺境伯夫妻は安心するが、それ以降アマリアの秘密は全てメルに話すようになり、それも寂しくはあったが娘の幸せのためならと、アマリアが理解してくれるのを待つようになった。
年頃になるにつれ、年の近い男女はお互いしかいないことから、主人と従者でありながら、恋仲になるのも時間の問題だった。 元々容姿の整っていたアマリアとメルはそれはそれは美しく成長し、誰もが見惚れるお嬢様と執事になったのだ。その時、アマリアは十六歳、メルは十八歳であった。
夫人は同じ女性なので、アマリアがメルに恋をしていることに気づいた。
直接アマリアに尋ねると「メルが好きなの……」と、久しぶりに本音が聞けて嬉しくなった夫人は、娘を幸せにしてくれる男でないと絶対に嫁入りさせないと決めていたので、完璧執事メルならばよいのでは、と考えた。
夫人はメルにも同じことを問うた。すると、至って真剣な眼差しで「アマリアお嬢様をお慕いしております」と熱く語り、それはもう舞い上がった夫人は、すぐさま辺境伯にも相談した。
そして、条件付きではあるが、特別に結婚の許可が出たのである。条件とは、アマリアが十八歳になるまでメルが待つこと、それと、アマリアと幸せになること。その二点だけだった。両親の寛容な優しさに改めて感謝したアマリアは心からの感謝の言葉を述べた。
悪いお嬢様のアマリアは、既にメルと恋仲になっており、人がいない隙を見計らってキスをする仲にまでなっていた。
辺境伯夫妻は、メルに身体の関係を持つなとは言わなかった。そこまで見抜かれていたとはメル自身思えないが、条件に出されなかった裏をかいて、二人はのちに身体の関係まで持つようになった。家族も使用人も応援ムードだったので、みんな幸せに暮らしていた。
そして、アマリアが十七歳になった頃、突如としてその幸せが崩壊された。
きっかけは、先の戦争の和平を結んでから来年で十八年になることから、隣国の王子がやってきて交流会が行われたのだ。
そこで王子は辺境伯令嬢のアマリアに一目惚れをし、彼女を別室に呼び出した。不安になるアマリアは執事のメルと共に何を言われるかのアイコンタクトを取り、恐る恐る用意された部屋へ入室する。
「突然呼び出して申し訳ありません。単刀直入に申します。レディアマリア、私と結婚し我が妃になって欲しいのです」
突然の求婚に戸惑いを隠せないアマリアは、後ろに立つメルに視線を向ける。すると、メルはいつも通り微笑んだ。そう、いつも通りにすればいいのだと、背中を押してくれたのだ。ならば、アマリアにできることはただ一つ。
「申し訳ございません、わたくしには既に婚約者がおります。彼を裏切ることはしたくありません」
アマリアが毅然とした態度で断りを入れると、王子はより目の前の娘が欲しくなった。この場面で断りを入れる度胸は、王妃の器に相応しいと思ったのだ。
「レディアマリア、その方とは親密な仲なのですか?」
「……わたくしの全てを捧げました。身も、心も」
それだけでアマリアが純潔ではないこと、その相手が後ろに立つ執事であることを察した。出会って間もない人間に、自身の秘密をここまで言える女性が果たしてどれくらいいるだろうか。王子はアマリアの気高さに惚れ抜き、諦めることできるはずもなかった。
「それでもいい、君が君でいるなら嫁いできて欲しいのです。来年の和平記念セレモニーの式典で、共に結婚式をあげましょう」
そう王子に言われれば、断ることができない。
しかし、かといってそれを飲むことができない。無言でいると王子は跪き、手の甲にキスをした。
「またお会いしましょう。レディアマリア」
部屋から従者を連れて出て行った室内には、アマリアとメルの二人だけとなった。
一連を全て目の前で見ていることしかできなかったメルは強い嫉妬に駆られ、アマリアに噛み付くようなキスをした。何度も何度も、愛を注ぎ込むように口づけをする。この少女は自分のものだと、手に入れたはずのものが己の手から滑り落ちるのが許せなかった。
「メル、メル! 落ち着きなさい」
珍しくアマリアが大きな声を出して、メルを諌めた。
「……申し訳ございません、お嬢様。お恥ずかしながら、あの王子とやらに嫉妬していました」
棘のある言い方と反省している気のない声音に、アマリアはメルをきつく抱きしめた。 それに縋るように、メルは己だけのお嬢様を掻き抱く。
「貴方の腕の中が一番安心するの。だから、私を離さないで」
そう言いながらアマリアは震えていた。見知らぬ男に求婚され、自身の全てを洗いざらい吐き出してでもメルを選んだのだ。
──この優越感に勝るものなどない。アマリアは僕のものだ──
「もちろんですとも、お嬢様」
メルはアマリアを決して手放すものかと画策し、来年の式典そのものをぶち壊すよう計画を練ることにした。
屋敷に戻り、このことをすぐに辺境伯夫妻、兄達に報告するとみんな激昂した。勝手が過ぎると猛反対してくれたのだ。
「メルと結ばれるのがアマリアの一番の幸せだ!」
辺境伯は熱く語り、また従者達もお嬢様と執事の幸せを願っていたので、辺境伯一家は命懸けの戦いに出ることに決めた。
国境を守る立場にいる辺境伯家は軍人の家系でもあったので、今こそあの時の哀しみを晴らす時! と一人昂っているのを夫人が宥めていた。
後継者である兄も「お前達二人はとてもお似合いだよ。絶対に勝って幸せにおなり」と言って、優しく頭を撫でてくれたことで、アマリアは嬉しさと負けてたまるものですかと鼓舞し力拳を握った。
翌日、今度は自国の国王陛下に呼び出され、ことのあらましを全て説明し、順序をすっ飛ばした隣国の王子に激昂した。 元々和平の条件の中に、お互いの娘息子、つまり王女と王子の結婚を持って完全な和平とする、という秘密の条約を結ぶ予定であると知らされたのだ。
しかし、王子がそれを知ってか知らずか勝手に約束を反故にしたので、国王陛下ならびに王妃も怒り心頭だったのである。
さらには王女が隣国の王子と結婚するのが嫌だったとここにきて暴露し、国のトップと内密に来年の式典そのものを反故にする方向となった。
表向きは友好的に見せ、本当の目的は約束を反故にし、クーデターで王になったかつての宰相への報復も兼ねてあった。そう、国王陛下と隣国の前王は親しい友人関係にあったのだ。
それからは、隣国の王子達に従順に従っているフリをする日々を過ごした。メルは執事から外されたことにして、王子と会う時は侍女を連れて出歩くようにした。もちろん表向きは、である。
デートに誘われれば仕方なく応じ、執事メルは魔法で姿を消し、いい雰囲気になれば全て魔法で台無しにした。
そんなこんなを一年くり返したというのに、王子は諦めなかったのだ。
予定通り執り行われる式典の後に結婚式をするのだと、夢物語を何度も聞かせる王子に飽き飽きしたアマリアは、早く時間が過ぎないかな、メルと話したいなと己の愛する人だけを考えていた。
そして、式典と結婚式のためにアマリア達一家は隣国に一週間前から滞在し、抜かりなく準備をした。隣国からはメルの参列を許されなかったので、変装しての入国となった。
辺境伯家に仕える従者の中に、国王陛下の密偵と討伐軍を率いての入国は緊張感が走ったが、お祭り状態で既に浮かれている門番は、アマリア達一行というだけでなんの確認もなく入国を許可した。そんな警備でいいのかと辺境伯は怒っていたが、ありがたいことに変わりなかった。
式典前日、アマリアは王宮に泊まることが決まっていたので、王宮から寄越された馬車に一人乗り、家族に見送られながら王宮へと向かった。
なぜ前日から泊まることになったのかというと、早朝から結婚式の準備するからである。煌びやかな装いと、厳かな式に相応しい完璧な妃殿下に仕上げましょうなどと言われても、はいそうですかとそっけなく言いたいところをぐっと我慢し「よろしくお願いいたします」とだけ答えた。
入浴の手伝いをすると侍女達が張り切って申し出たが、伯爵家にいた頃から自分で入浴していたことを伝えると、しぶしぶといった様子であったが明日からは妃殿下になる女性の意見を蹴るような真似をすれば、簡単に首が飛ぶ。それが分かっている彼女達は「何かございましたらお呼びくださいませ」と言って、すごすごと退室していった。
やっと一人きりになったアマリアは、重苦しいドレスを脱ぎささっと入浴を済ませて、ようやくひと息をつくことができた。
「会いたいな……」
言わずもがな、恋人のメルのことである。彼は仲間達と共に待機しているのだ。ここに来る前に彼が満足するまでキスをした。
そして、キスマークをつけようとするメルに「それはさすがにやめろ!」と仲間に抑えられ、バツの悪そうな顔で見送られたことを思い出し、アマリアはくすくすと笑った。
なんだかどっと疲れた一日だったので、早く寝ようとアマリアはベッドに潜り、早めに就寝した。
真夜中、時計を見ると日付を超えた頃に扉の向こう側が騒がしいので目が覚めたアマリアは、寝ぼけた頭で何が起きた理解した。夜分遅くに王子が訪ねてきたのだ。
「いくら王子殿下とはいえ、未婚の女性の部屋に入室は許されません」
アマリア付きの侍女が毅然とした態度で断ると、王子は鼻息荒く抗議した。
「今日から私の妃になるんだ、もういいだろう」
「いけません」
「そこをどけ」
「どきません」
「……さすがレディアマリアの侍女だ。その頑固さは主人譲りらしい。──やれ」
王子の後ろに控えていた従者は、やや躊躇いながらも侍女の首に手刀を打ち、気絶させた。
そして、アマリアのいる部屋に侵入してきたのである。アマリアは寝巻き姿を見られないよう、厚手のガウンを羽織り肌を隠した。好きでもなんでもない相手に秘する姿など見せてたまるものかと必死になって隠した。
「こんばんは、殿下。レディの部屋への訪問には遅い時間でございますよ」
「もちろん承知しています。だが、日付はかわった、君はもう私の妻で妃となる。何度でも言おう、アマリア、君が好きだ!」
騒ぎに気づいた城の従者達が、アマリアの部屋に集まってきた。王子が夜這いに来たのだと分かった城の従者は、必死で止めに入る。
しかし、目の前の獲物から目を離さないただの獣となった王子に勝てる者はなく、ズカズカと寝室まで侵入してきたのだ。
「いや! こないで!」
「もう日付は変わった、君は私の妃であり妻となった。さあ、キスから始めよう」
「絶対にいや! メル、助けて!」
メルの名前を呼べばアマリアの元へ駆けつける。そんな大掛かりな魔法をかけていた完璧執事はすぐにアマリアの元へとやってきた。
メルは状況を全て理解した途端、王子の顔面を長い脚で蹴りを入れてやった。 見ていることしかできない聴衆達は、自国の王子が顔面に蹴りを入れられたというのに、メルを止めることができなかった。メルが己にかかっていた魔法を破壊したことで本当の姿が顕になり、その姿が「かつての王」と酷似していたからだ。
「僕の妻に何をしようとした」
「な、なんだ君! 執事ではないか! 妻ってなんだ、彼女は私と結婚するんだ!」
メルの正体に気づかない王子は暴言を吐き続ける。
「そんなの許すわけないでしょう。アマリアはもうとっくに僕のものだ」
王子の前で濃厚なキスを見せつけて、蕩けて腰が抜けたアマリアを姫抱きにして、メルは大声で仲間を呼んだ。
「『盗人』には相応しい罰を差し上げましょう。アル! レイ! 後は任せましたよ!」
「はいはーい」
「お前は呼ぶのが遅いんだ」
辺境伯に仕えている従者の仲間であるアルとレイは、メルが十五歳になった時辺境伯が軍人を育て上げるべく、行く宛のない孤児院の子ども達を引き取ったのだ。
そして、いつか自由の身を願うアルと、大成する気満々のレイに協力を願い、かつての母国である王宮から抜け出すのに、そう時間はかからなかった。二人とも優秀な魔法士なので、襲撃という名の復讐は大いに助かった。
「メル、お嬢様、今までありがとうね。いつかまた会える日まで、バイバイ!」
「メル、アマリアお嬢様、これまでの日々、大変刺激的で楽しかったです。お二人とも、どうかお元気で」
「アル、レイ、貴方たちもお元気で! そして、ありがとう! 私、メルと幸せになるから!」
「アル、レイ、これまでのこと、感謝しています。二人とも、どうか夢を叶えてください。僕のように、ね」
そして、アマリアとメルは混乱に乗じて姿を消した。
アルとレイは魔法士の中でもトップクラスに優秀なので、混乱魔法をかけて結婚式会場のみ爆破させた。
王宮から討伐軍を派遣されていたが、彼らの手を借りることもなく、呆気なく崩壊した目の前の惨状に、アルは唾を吐いた。
夜中に起きた暴動は前王派閥による復讐であると気づいた国王達は、恐れ慄き最期に見たのは前王と同じ笑顔だった。
翌日行われた式典は、隣国側の王室席に座る者達が前王の息子であるアルフォンスと、宰相の息子レイモンドの二人が占拠していたので、国王陛下は大層驚いたらしい。 懐かしい顔に泣く王に、アルフォンスは「復讐してやったから、泣かないでよ」と声をかけた。
メル、アルフォンス、レイモンドは隣国出身で、彼らは常に本当の姿が見えなくなる魔法がかかっていた。
それは、前王による最期の魔法であり、命からがら近衛兵に託し、優しい友人の国へと亡命させた。その特別な魔法は心から信頼する相手、そして、愛する者にだけ本当の姿が見えていたのだ。
だから、国王陛下はメル──メルヒェンに気づけなかったのだ。幼なじみの息子であると。
クーデターの復讐を無事果たした三人は、それぞれの道を進んだ。
アルフォンスはそのまま戴冠式となり、新たな王として君臨し、ぶつくさ言いながらもレイモンドに怒られながら仕事をして、養子を迎え完全に王の器となってからは、すぐに王の座を退き隠居生活を送った。その後、彼を知る者はいないらしい。
レイモンドも同様、宰相である父の裏切りさえなければ幼なじみ二人と過ごせたこの国での仕事は、さすがに思うところがあった。義理の弟が王子として君臨していたことも、レイモンドには許せなかったのだ。
賛否両論あったが、アルフォンス王の「うるさい黙れ。俺達の国民なら、前々王の復活を祝え」という、ある意味脅し文句を言えば大人しくなったので、レイモンドは友の優しさと復讐を終えた哀しさで、久しぶりに大泣きをしたという。
アルフォンス王が退いてからは、養子に迎えた新たな王を生涯レイモンドは支え続けた。
辺境伯一家は、クーデターの成功の裏を自国の国王陛下から極秘で聞かされ、アマリアとメルの幸せを願った。辺境伯一家の強い守りのお陰で、それ以降戦は起こらなかった。
アマリアとメルは、自国から遠く離れた島国でのんびりとした生活を送っていた。
今までのような贅沢はできないが、そんな煌びやかな生活よりも、お互いがいればいいという考えの二人は、潮風に吹かれながら幸せな生活を満喫していた。
言葉も通じないこの国で、メルに翻訳魔法をかけてもらい、改めてメルの有能さに驚いた。「私の執事はなんでもできるのね」とアマリアはからかうようにメルに言った。
──アマリアは知らない。メルが隣国の王子メルヒェンであったことを。そして、愛の力で本当の姿が見えていたことも。
どんなに遠くても、同じ世界にいるのだから、再び会うこともできるだろう。たとえそれが叶わなかったとしても、空と海は繋がっている。見上げる空と命を育む海は、きっと変わらないはずだ。
「愛の逃避行、面白かったですね」
「メルはそればっかりね。私はヒヤヒヤしたわ。でも、メルがいるならいいの。贅沢な暮らしも要らない、貴方のそばにいられるのなら、それでいい」
「僕も同じですよ、アマリア。貴方を独り占めしたかった、初めて会ったあの時からずっと。僕はアマリアに恋をして、本当の幸せを手に入れたのですから」




