第6章 - 生き続けなければならない
「寒い……」
私は壊れた森の地面に横たわっていた。体を動かすことができず、視界は少しぼやけていたが、夜の空が悪夢のような光景から元に戻るのを見ることができた。スカベンジャーは、破壊した地域を一言も残さずに去っていった。このロボット……破壊の化身だ。
「生存者がいる！急いで、彼を運べ！」
私の耳に、女性の声がかすかに聞こえた。
「ありえない、彼は無傷だ。」
男性が、他の隊員たちと比べて無傷の私を見て驚いた声を上げた。
「黙れ、ケン！彼を運ぶぞ、1……2……3……」
私は体が持ち上げられるのを感じた。彼らが私をどこへ連れて行くのか、私はただそれに任せた。
私の体は担架に乗せられ、ロープで吊り上げられた。頭上にはヘリコプターが飛んでいた。そして、私は引き上げられた。目をしっかりと閉じ、安堵の息を吐いた。私は……生き延びた。
「ひどいな。スカベンジャーがやったことを見てみろ……」
女性、タシャがヘリコプターの中から、レーザーの爆発で焼け焦げた街と森の光景を見て呟いた。街全体が壊滅し、生き物の気配はなかった。
「あのロボットがここを去ってくれてよかった。そうでなければ、地球全体が壊滅していただろう。」
男性、ケンが答えた。隊長のエレナはため息をつき、生存した男を見つめた。
「信じられない。彼はゴミ漁りの襲撃から生き延びた。ただの普通の兵士だ」
エリナは男の腕章を見た。
「プライベート……3日前にG.S.A.Pで新兵の入隊式があったんじゃないか？」
エレナが尋ねた。
「ああ、かわいそうに。多分、これが彼らの初任務で、スカベンジャーに直面したんだ。」
タシャは同情を込めて答えた。これは彼らの任務ではない。宇宙規模の脅威、スカベンジャーに対処するのは。23年前に現れた謎のロボットで、島やそれ以上の規模を破壊する驚異的な武器を備えている。
G.S.A.Pにとって、あのロボットを止めるのは容易ではなく、破壊することは不可能に近い。ロボットのボディは異星の金属で作られており、太陽以上の高温や宇宙の極寒にも耐えられるほど硬い。
23年の間に、スカベンジャーによる230件以上の破壊が他の惑星で記録されている。地球に降り立ったのは驚きだが、これが初めてではなく、3回目だ。
しかし、ロボットはこの惑星を破壊するつもりはないようだ。その動機は不明で、無言で単独行動を取る。
それは惑星を破壊するためにプログラムされているのか？誰が作り出したのか？これらの疑問は謎のままで、誰もその真相に迫ろうとしない。
「この勇敢な男は誰だ？」
エリナが尋ねた。ケンは男の認識票を読んだ。
「ハーヴ……オーガード。」
エレナは少し驚き、沈黙した。彼女の視線は再び破壊された街の光景に向けられた。ヘリコプターは荒廃した街の上空を飛び抜け、帰路についた。
翌日……
私はゆっくりと目を覚ました。天井の白い光が柔らかく照らしている。モニターの音がゆっくりと鳴り、私の安定した心拍を示していた。左手を動かしてみると、少し弱々しいが、深刻な痛みはない。どうやら、私はまだ生きているようだ。
「ここは……どこ？」
私は心の中で呟き、無菌室のような部屋を見回した。消毒液の匂いが漂っている。小さな窓から日光が差し込み、ベッドの横には水の入ったグラスと果物の盛り合わせが置かれていた。
ドアが開き、黒い制服に紫色のバッジをつけた女性が入ってきた。彼女の金髪はきちんと結ばれ、緑色の鋭い目が私を見つめている。彼女はファイルを手に持っていた。
「おはよう、ハーヴ・オーガード。」
女性はベッドに近づきながら言った。私は彼女の顔を一目で覚えていた。彼女は私を救った一人だ。G.S.A.Pの特殊部隊のキャプテン。
「キャプテン・エリナだよね？」
私は起き上がろうとしたが、彼女はすぐに私を横にするよう合図した。
「はい、その通りです。私はエリーナ・シュミル大尉です。この基地を統率したのは私です。あなたをこのエリアから護送したのは私です。」
彼女は小さなテーブルの上にファイルを置きながら言った。
「あなたは感謝すべきだ、ハーヴ。スカベンジャーに直面した後で生き残る者はほとんどいない。ましてや、あなたのような若いプライベートが生き残るとは思わなかった。」
私は深く息を吐き、まだ硬い手を見つめた。
「みんな……アレックス……私の隊員たち……彼らは全員死んだ。そして私はただそこに立っていた。何もできなかった。」
私の声は震え、胸に押し寄せる罪悪感を抑えていた。
エリナは小さくため息をつき、一瞬目を伏せた。彼女は椅子を引き寄せ、私の横に座った。
「彼らの死はあなたの責任ではない、ハーヴ。あなたの隊はスカベンジャーのような脅威に対処する訓練を受けていなかった。起こったことは予想外だった。しかし、あなた……あなたは特別だ。」
彼女は私を真っ直ぐに見つめた。私は眉をひそめた。
「特別？私は死にかけたんだ。スカベンジャーが本気を出せば、簡単に私を殺せた。」
私は頭を抱えようとしたが、左手の痛みでうめいた。包帯の下には火傷の跡があった。
「くそ……」
私はうめいた。
エリナは机を指で叩き、声をさらに厳しくした。
「気づいているかどうかはわからないが、あなたは23年前にスカベンジャーが現れて以来、初めてあのロボットにダメージを与えた人物だ。あなたのパンチ、ハーヴ。それはあのロボットを揺るがせた。これは普通のことではない。」
「わかりますか？」
エリナが言った。
「スカベンジャーが森に降り立った時、私たちはすぐに駆けつけました。そのような脅威は見過ごせません。私はあなたがあのロボットと戦おうとするのを見ました。あなたの自然な力で。」
私は黙り込み、彼女の言葉を考えた。確かに、私はあのロボットを殴ったが、それが何か影響を与えたとは思わなかった。
「それはたまたまでしょう。」
私は彼女の考えを否定した。
「いいえ、ハーヴ。偶然ではありません。私はG.S.A.Pで8年間勤務してきました。敵の力を知っています。スカベンジャーは無敵の破壊マシンです。そのボディは異星の金属でできており、私たちがこれまでに出会ったどんな素材よりも硬い。あなたがやったこと、たとえ小さなことでも、あなたの中に何かがあるという証拠です。」
私は再び黙り込んだ。恐怖、混乱、驚きが入り混じった感情が胸に広がった。
「なぜあのロボットはあんなに簡単に去ったんだ？もし本気を出せば、私もあの場所も一瞬で破壊できたはずだ。」
「それが問題なのです。」
エリナは椅子に寄りかかりながら言った。
「スカベンジャーの動機はまだ謎です。普通のマシンのように行動しません。現れて破壊し、しかし常に何かを残していく。なぜか？それは23年間私たちが答えを探し続けている質問です。そして今、あなたがその謎を解く鍵になるかもしれません。」
私は首を振り、彼女の言葉を信じられなかった。
「私はただの兵士です。特別なところなんてない。」
エリナは薄く笑った。
「あなたは間違っています、ハーヴ。あの場所で起こったことは、あなたが普通ではないことを証明しています。あなたは自分の力を理解し始めたばかりです。もし答えが欲しいなら、私はあなたに立ち向かうことを勧めます。この世界はあなたが知っているよりも大きく、危険です。そして信じてください、これがあなたがスカベンジャーと最後に対峙する場面ではありません。」
彼女は立ち上がり、ファイルを手に取った。
「休んでください。これから来るものに備えるためには力が必要です。」
エリナは敬礼し、部屋を出ていった。
私は背もたれに寄りかかり、頭の中は疑問でいっぱいだった。あの夜、実際に何が起こったのか？私の中にある、スカベンジャーに立ち向かえるものとは何なのか？私はこれから来るものに備えられるかどうかわからないが、一つだけ確かなことがある。もう逃げることはできない。私は机の上にある、アレックスの壊れかけた携帯電話と拳銃を見た。ロック画面の壁紙はアレックスと彼の恋人、アンジェラの写真だった。
「もっと強くならなければ……」
事件の後
その痛ましい事件の後、私は2週間の休暇を与えられた。心を落ち着け、まだ癒えていない傷を癒すためだ。罪悪感から逃れるのは簡単ではなかった。さらに、私がスカベンジャーに立ち向かったというニュースはG.S.A.Pの隊員たちの間で広まり、普通の特殊部隊のプライベートにとっては驚異的な成果と見なされた。
私は一時的に基地の寮の部屋で過ごした。時折、エレナが訪ねてきて、私の様子を気遣ってくれた。彼女の優しさに触れ、私は基地近くの街を散歩することに決めた。ようやく、この新しい世界での生活を感じ始めていた。
5日後……
私は通り沿いのアイスクリーム屋の前で立ち止まった。メニューを見ながら、どの味にするか迷っていた。指でメニューをなぞりながら、決めかねている。
「えーっと、ミント味のアイスクリームにチョコレートスプリンクルをカップでお願いします。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
店員は素早くスコップを取り、アイスクリームをカップに盛りつけ、トッピングを乗せた。そして店のロゴが入った飾りをつけてくれた。私は4ドル札を渡し、店員に感謝されてから立ち去った。この「冷たい固形ミルク」を味わいながら、私は歩き始めた。私の村にはこんな甘いものはなかった。時々、母が私の誕生日に甘いものを持ってきてくれたが、どうやって私の誕生日を知ったのかはわからない。村にはカレンダーなんてなかったからだ。
私は街の小道をゆっくりと歩きながら、舌の上で溶けるアイスクリームの味を楽しんだ。その甘さは、私がめったに感じることのない新しい感覚のようだった。周りでは、街の生活が溢れていた——子供たちが道端でボールを蹴り、小さな店が様々な品物を売り、人々が楽しそうに会話をしていた。
しかし、古い建物の間の狭い路地を通りかかった時、何かが聞こえた。私の耳が不審な音を捉えた——女性の悲鳴だ。
「助けて！やめて……！」
その声は暗い路地の奥から響いてきた。
私の足が止まった。声のする方に振り向くと、本能がすぐに働いた。私はゆっくりと路地の中を覗き込んだ。そこには、若い女性が4人の大柄な男に囲まれていた。彼らはナイフや棒のような小さな武器を持ち、女性のバッグを引っ張り、ナイフを突きつけて彼女に何かを要求していた。
私はためらわずに行動を起こした。4人の男……私にとっては簡単だろう。
「私は、できる限り人を守る！」
