あったよ!なろうの乙女ゲームそっくりのゲーム!〜悪役令嬢もののガバガバ設定で打線組んだ
【悪役令嬢もののガバガバ設定で打線組んだ】
1中:瘴気とかいうフワフワした概念への説明無し。
悪役令嬢「私は瘴気払う系の悪役令嬢。この能力のせいで好きでもない王太子と婚約している」
王太子「それで瘴気って何なのだ?」
悪役令嬢「はー、やれやれ。瘴気とは浴びると病気になったり魔物が集まったりするやーつです。普通の人は目視出来ませんが聖女とかは感知できて払う事が出来ます。この国は山に囲まれて瘴気の逃げ場の無い土地なので、私を追放したりしたらざまぁ一直線ですよ?」
王太子「そんな所さんに国を建てるな定期」
国王「ワシらのご先祖が町を追い出された流浪の民じゃったんよ。で、当時の聖女様にこの地を浄化してもらったんじゃ」
王太子「じゃあ建国理由はそれでいいのだ。で、瘴気って結局何?」
悪役令嬢「ですから、触れると病気になったり魔物が集まったり」
王太子「病気になる瘴気と魔物が集まる瘴気が明らかに別物なのだ。説明を求むのだ」
悪役令嬢「知らない。だって、作者が先週日間ランキングで見た設定をそのまんま東しただけだもの。その作品も他の作品からそのまんま東っただろうし、瘴気が具体的に何なのか私も作者も分からないまま、ふいんきで話を書いてるわよ」
王太子「えぇ…(絶望)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢が通りがかり、「瘴気ってウィルスの事じゃね?」と言って手洗いと消毒を広めたら聖女はいらなくなった。瘴気=ウィルスかは定かでは無いが、効果はあったしこれでヨシ(๑•̀ㅂ•́)و✧!悪役令嬢は自由の身となり、聖女時代に稼いだお金で逆ハーレムを築いたのだった。
王太子「瘴気が何か分からないまま作品を書くなんて、正気じゃないのだ」
2二:貴族の家に仕えるメイドが主の娘をいじめるという自滅行為。
悪役令嬢「私は高い身分にありながら、メイドからイジメを受ける悪役令嬢。ああ、今日も私の食事は残飯だわ。つらたん」
メイド「くっくっく、雇い主の娘が苦しむ姿見るのたのちい!」
王太子「まていまてーい!なのだ」
悪役令嬢「あ、速い!スパダリ来た!これで勝っる!」
メイド「オワタ」
王太子「君ら何してるのだ!?」
悪役令嬢「?」
メイド「?」
王太子「いつも男爵令嬢相手に身分差でマウントとってた君はどこいったのだ!このぐらい自分で何とかするのだ!それが出来ないなら悪役令嬢タグを消すのだ!」
義母「殿下、落ち着いて下さい。この子はこの家での虐待を経て闇落ちして悪役令嬢になる系の悪役令嬢なので、現時点ではただのドアマットなのです」
王太子「じゃあ、悪役令嬢の方はそれでいいのだ。メイド、お前はマジで何考えてるのだ?王太子を見て震え上がるぐらいの常識があるなら、悪役令嬢イジメなんて絶対する訳ないのだ。その子、義母に権力奪われてるとしても、会社で言えば重役なのだ。平社員の君がパワハラする構図には絶対ならないのだ」
メイド「そんなん言われても、漫画アプリの広告だと、私いつも悪役令嬢イジメてるし、これをやらないと読者離れていくかもって不安と話の整合性を天秤にかけて前者を選ばせて頂きました。ハイ」
王太子「えぇ…(悲しみ)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢が通りかかり、「メイドは個人的な逆恨みを悪役令嬢に抱いており、最初は小さな嫌がらせだったけど義母が咎めないからどんどんエスカレートしていった。これでざまぁと整合性両立出来るだろ」という案を提示し、他に良い案も無かったので採用。悪役令嬢は王太子に助け出され幸せな将来が約束された。
王太子「メイドはせめてバレない嫌がらせをするのだ」
3左:真の邪悪である転生女神さんが99%の確率で倒されず終わる。
悪役令嬢「私は乙女ゲームの強制力でどうあがいても婚約破棄される悪役令嬢。なので、婚約破棄してきた王太子を容赦なくぶっ倒し、帝国の皇帝と甘々生活を送っている。ざまぁー!王太子が今何してるか知らないけど廃嫡されて行方知らずでざまぁー!パクパク」
王太子「遂に辿り着いたのだ。全ての元凶の居場所に…!転生女神!貴様の暇つぶしで多くの人々が苦しんだが、それもここまでなのだ!」
女神さん「あ、そういうのいらないんで。この物語はあんたがざまぁされておしまいなのよ。んじゃお疲れ様っしたー。騎士ランチ先生の次回作にご期待下さい」
王太子「勝手に帰るななのだ。読者がざまぁを求めているとすれば、お前も倒されないといけないのだ」
女神さん「るせー!今の読者様はその辺のチンピラと偉そうにしている権力者をざまぁするのは好きだけど、私みたいな超越者相手のざまぁは見たくないの!主人公が苦戦するから!それとも、読者様が私もざまぁしたいって言ってるソースあるんですかぁ〜?」
王太子「えぇ…(困惑)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢が通りがかり、「ソースならあるだろ。総合ランキングでは神殺しまで書ききった作品が未だに上位にいるぞ」と論破し、それを受けた転生女神は面倒くさそうな顔で悪役令嬢に連絡をした。こうして、悪役令嬢の息子達が転生女神に挑む後日談が追加されたのだった。
王太子「謎の仮面師匠となって、悪役令嬢の子供達をビシバシ鍛えるのだ」
4一:こんな乙女ゲーム実際にある訳ない。
悪役令嬢「私は前世の記憶を持った悪役令嬢。どうやらここは、私が前世でプレイした大人気乙女ゲーム。ヒロインは婚約者のいる男を寝取りハッピーエンドを迎えるアレだ。で、私は婚約者を奪われる悪役令嬢。このままじゃいけない」
王太子「いや、そんな乙女ゲーム現実には無いのだ」
悪役令嬢「うるさい。現実は関係無いわ。この小説の設定ではそんなゲームが人気なのよ」
王太子「じゃあ、なんで乙女ゲーム通りにしている王太子とヒロインが周囲から白い目で見られるのだ?」
悪役令嬢「そ、そういう設定なのよ!この世界は大人気乙女ゲームで、主人公は他人の婚約者を寝取り、周囲から白い目で見られている。だけどそんなゲームが大人気なのよ!」
王太子「お前はそんなゲームやりたいのだ?」
悪役令嬢「ハマって何周もする奴は頭おかしいと思うわ。だから、あのピンクのキチガイぶりの説得力に繋がるのよ」
王太子「いや、だから、そのキチガイピンクよりもこのゲームに詳しいお前は読者の共感出来る主人公なのかと聞いてるのだ」
悪役令嬢「当然私は正常よ!何故ならこのゲームは名作だから、このゲームに熱中したからと言ってキチガイの証明にはならないわよ!あのピンクは乙女ゲームにハマったキチガイ!私はマトモだけど乙女ゲームも嗜む!」
王太子「でも、このゲームのメインルートキャラの王太子達は人格破綻者で生活能力が無いから本編終了後没落待ったなしなのだ?そんな奴らが中心になっているゲームが名作?」
悪役令嬢「そうよ、名作よ!そうじゃないと、前世の私が悪趣味の暇人になるじゃない!」
王太子「原作の王太子はまだマトモだったけど、この世界の王太子はクズとかでも無いのだ?」
悪役令嬢「あんたはどっちの世界でも一貫して顔以外カスで私から見て最低な奴よ!」
王太子「ないのだ!そんなゲーム!」
悪役令嬢「あるってんだろボケ!ヒロイン含めメインキャラがクズだらけのお花畑だけど名作な乙女ゲームって言ってるだるぉー!」
王太子「えぇ…(ドン引き)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢が通りがかり、「現実にもあるんだなこれが。乙女ゲームじゃなくてギャルゲーだけど」と言って一本のギャルゲーを二人に貸した。それの内容を知った王太子は納得するしかなく、悪役令嬢は借りたゲームをネットオークションで売り飛ばし焼肉を食べた。
王太子「まさか、なろうテンプレ乙女ゲームそっくりのゲームがあるとは思わなかったのだ。このゲームは自分にしか見えない妖精を相方にしている東洋人が、戦争中の王国で傭兵として戦いながら様々な女性と恋をするゲームなのだ。作者はこのゲームの事を皆に知ってもらいたくて四番バッターにしたのだ。なろう乙女ゲームみたいなゲームはあったのだ!このゲームはメインヒロインに婚約者が居て、その婚約者から寝取っていくのがメインルート、しかも純愛をテーマとしながらメインルート攻略にはサブヒロインの好感度も稼がにゃならんのだ。つまり、主人公はメインヒロイン攻略する時、少なくとも二股してる事になるのだ。後、大半のヒロインが主人公とのフラグの進行に合わせて不幸になるイベントがあるのだ。これを乗り越えて真実の愛に辿り着くのは感動モノだけど、なろうに頭を焼かれた人はきっとこう思うのだ。主人公が彼女達に関わらなきゃ平和だったんじゃね?と。実際その通りなのだ。ヒロインの約半分とその周囲の人間は主人公が首を突っ込んだ結果不幸になったり、本来享受出来た幸福を得られなかったりしているのだ。普通に数回プレイしただけではそれに気づけないけど、全ルート攻略してみると主人公は大人しく傭兵やってるのが本人含め一番幸せだったんじゃないのかと思えてくるのだ。そんな風に恋愛ゲームの光と闇を濃厚なストーリーで伝えてくれる名作。こんなゲームが三十年ぐらい前に発売されていたという事実を皆に知って欲しかったのだ。なろう乙女ゲームあるあるを十二分に楽しめる、最初はキモウザだった悪役令息が出会う事にいいヤツに見えてきて最終的には親友枠だったのではと思えてくる、早すぎるあの人との別れに涙し、グッドエンドの歌に感動し、主人公が選択次第でカスとなるのを笑い、そこから特定のヒロインとの出会いに発展しどひゃーとなり、そのヒロインが明かす真実に驚愕し、呆然自失となったプレイヤーが再びこのゲームを始める時、今までとは全く違う世界が見えてくる!本当にマジ神作だと騎士ランチ一押しギャルゲー、その名も…」
悪役令嬢「はよ、次の打順紹介せんかい!」
5三:ピンク髪で婚約者寝取って冤罪作る男爵令嬢が卒業パーティで暴れるという最早二次創作な導入。
悪役令嬢「私は卒業パーティで冤罪を掛けられる系悪役令嬢。今日これから私はピンク髪の男爵令嬢を屋上の階段から突き落としたという冤罪で王太子から婚約破棄されるわ。ちなみに、国王夫婦は外遊で留守よ」
王太子「めっちゃ早口で草なのだ」
悪役令嬢「もう一万回はやった導入だからね」
王太子「じゃあこれは二次創作なのだ。悪役令嬢!お前を二次創作未申告罪で逮捕するのだ!」
国王「待て、これは二次創作に当たらない。固有名詞を使ってないからな。例えば、フルダイブ型オンラインゲームに参加したら閉じ込められてクリアするか死ぬかしないと終われないという状況になって、主人公は他のプレイヤーには無い独自のスキルで無双する話を書いても、キャラの名前が違えばそれは二次創作にはならない」
王太子「のだ?」
国王「そういうのは、良くて露骨なパクリ、悪くて盗作と呼ばれる!」
悪役令嬢「じゃあ駄目じゃないですかやだー!」
王太子「えぇ…(呆然)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢が通りがかり、「このテンプレには具体的な元ネタになる商業作品が無いからセーフ」と言うと悪役令嬢は安心した。
王太子「逆に言うと、このテンプレでメガヒットした作家が著作権を主張する未来もあり得るから油断出来ないのだ」
6遊:悪役令嬢も悪役令嬢で名前がイザベラばっかりだし性格も似たりよったり。
悪役令嬢「私はイザベラ。どこにでもいる悪役令嬢。今日も今日とて婚約破棄される運命。このテンプレだけで日間ランキングを四年間支配しているわ」
王太子「お前もパクリ呼ばわりされる前に、変えられる部分は変えたぽつが良いのだ。取り敢えず名前」
悪役令嬢「イザベラってそんなに多い?」
王太子「悪役令嬢の名前をいつもイザベラにしてる作者が多数いて、それを真似した作者がまたイザベラを使い増えまくってるのだ。このままだと、イザベラで検索しても、追ってる作品に辿り着けないまでになるのだ」
悪役令嬢「じゃあ今日からアンリエッタと名乗るわ」
王太子「そっちも同じぐらい多いのだ」
悪役令嬢「もうめんどいし、イザベラのままで良いわ。他の人気のイザベラさんが出ている作品と間違えてクリックしてくれるかもだし」
王太子「えぇ…(白目)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢が通りがかり、「クリックされたいなら長い名前にして、それをタイトルに入れたほうが良いだろ」と言われ悪役令嬢はイングリモングリ・ザ・ベラボーメ〜・ランダマイザ114514号に改名した。略したらこれもイザベラである。
王太子「ちなみに、王太子の名前は王太子なのだ」
7補:一人で国を支えられる才女をアホ王子の婚約者にして使い潰そうという頭おかしい采配。
悪役令嬢「私は一番バッターの聖女系悪役令嬢とキャラがモロ被りしている超有能悪役令嬢。今日から私は好きでも無い馬鹿王太子と婚約させられる事になった。つらたん」
王太子「いやいやいやいや!この子は得意分野に没頭させるべきなのだ!王太子のフォローなんて専門外の仕事を与えたら過労死待ったなしなのだ!」
国王「じゃってワシは親馬鹿なんじゃもーん。息子第一なの!国やその小娘のメンタルは二の次なんじゃもーん。でも、ざまぁされるのは嫌じゃから、婚約破棄イベントの後は全責任を王太子に背負わせる」
王太子「おい糞国王。王太子はお母さんが浮気して生まれた子供だから王家の血は引いて無いのだ。小さい頃に高熱を出したから生殖能力が無いし頭もパーなのだ。こんな王太子は毒杯もの。さっさと弟を育てるのだ」
国王「アーアー聞こえない。ワシ外遊行ってくる」
王太子「えぇ…(失禁)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢が通りがかり「あのな、成人前に王太子が病死や廃嫡や暗殺になったら、それこそ王家の遺伝子か権威に問題があると認める事になるんだよ。国王はお前自身じゃなく、王家を愛してるからこんな動きしてるの」と言ったら王太子は大人しく卒業パーティまで我慢した。悪役令嬢は王太子に婚約破棄された後、大好きな研究に専念しイケおじ教授の妻になった。
王太子「毒杯はオレンジ味にしてもらったのだ」
8右:後継者として甘やかされて育った妹の礼儀作法ダメダメ。なお、虐げられてるお姉ちゃんはしっかり礼儀作法出来てる模様。
悪役令嬢「私は義母に家を乗っ取られ、使用人みたいな扱いを受ける悪役令嬢。義母は自分の娘をこの家の後継者にしたいみたいだけど、甘やかされていたから礼儀作法がダメダメみたい。その点私は完璧だから、直ぐに王太子に見初められたわ。やったぜ」
王太子「年単位でメイドさせられてた子が年相応の礼儀作法をパーフェクトで出来る訳ないのだ。正体現せなのだ」
悪役令嬢「1.前世がマナー講師、2.人生ループ・ザ・ループ、3.本当はマナー守れてないけど魅了魔法で王太子にウケてる、4.顔を整形して悪役令嬢に成り代わったスパイ。好きな答えを選んで」
王太子「どれが正解でも王家の血に異物混入するのだ!」
悪役令嬢「クックックッ、ここに来たのが運の尽き!もう逃さへんでぇー!」
王太子「えぇ…(救命阿)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢は来なかった。原因は悪役令嬢と血の繋がりの無い妹である。悪役令嬢ものではざまぁされる泥棒猫は一度に一人しか出演出来ない。その事に気付いた悪役令嬢はこの現象を『久しぶりだな次元大介の法則』と名付けて発表し、異世界イグノーベル賞を受賞した。
王太子「これこそ本当の意味での物語の強制力なのだ」
9投:王太子や男爵令嬢の浪費よりも、悪役令嬢のお茶会の方がどう考えても金掛かっている。
悪役令嬢「私は卒業パーティで婚約破棄された悪役令嬢。王太子と男爵令嬢は平民落ちしたけど、浪費癖のある彼らに平民なんてやっていける訳がありませんわ。ズゾゾゾゾ」
王太子「久しぶりだな次元大介」
悪役令嬢「あら?今更婚約破棄を取り消して欲しいと頼みに来たのかしらズゾゾゾゾ」
王太子「違うのだ。浪費癖について文句を言いに来たのだ。確かに王太子達が庶民と同じ出費に押さえて暮らすのは大変だけど、一杯三千円以上するコーヒーを飲んでるお前だけは浪費癖を指摘する資格無いのだ」
第二王子「ち、違う!これは、国の運営に必要な話し合いの場に相応しいコーヒーを用意しただけだ!」
王太子「王太子と男爵令嬢が落ちぶれていっているという噂話に花を咲かせてたのだ。『今となってはどうでも良いこと、私達には関係無い話です』なのだ?」
第二王子「うっせえ!衛兵呼ぶぞ!つーか呼んだぞ!おい、これをさっさと連れて行け!」
王太子「えぇ…(えぇ…)」
その後、ピンク髪の男爵令嬢が通りがかり、「こういう時の為のスキル設定だろ。悪役令嬢か第二王子が魔力で用意した物で実質タダっ事にしとけ」と言ったので、王太子は納得の顔で衛兵に連れて行かれ、悪役令嬢はコーヒー豆を自家栽培する様になった。
王太子「これでこの話は終わりなのだ」
悪役令嬢「まだまだ、『契約書を見ずにサインするざまぁ対象』『たった一人に復讐する為に国を滅ぼすヒーロー』等のネタ候補はありましたが、九つに絞ったらこの打線になりました」
王太子「ではまたなのだ」
終われ