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穢れ狩り  作者: 氷見田卑弥呼
狐面の穢れ狩り
16/82

???

暇潰しに読んでいただけると幸いです。

今回は謎の人物視点のお話になります。

  ――とある空間(??視点)――


『 』は何者なのでしょう。


 その答えは一切出ないまま、ずっとこのままなのでしょうか。

 桜桃軍(おうとうぐん)という集団が『 』の行動をずっと追っている。

 大変鬱陶(うっとう)しく感じるのですけれども、それも仕方がないと思っています。

 だって、『 』は『狐面(きつねめん)(けが)れ狩り』などと呼ばれているのですから。

 ですがね? 『 』はただ穢れを狩っているだけ。彼らとそう大して変わったことをやっていないというのに何故、追われなければいけない? 何故、『 』は正体を知ろうとされるのですか?

 おかしいでしょう? 自分達だって同じことをされたら不快に感じるでしょうに、他者ならば良いのですか? 桜桃軍とやらに入っていなければ穢れ狩りに人権はない、と?

 ふざけないでいただきたいものです。『 』はただ真実を知りたいだけだというのに。

 鬱陶しいのですよ。そんなのだから『 』は表に出ないのだといつになったら気付くのです?

 ああ、一生気付かないかもしれませんね。だって自分達の目的ならば他者の人権など踏み(にじ)ることができる集団ですからね、貴方達は。


 本当……失礼な集団です。『 』の秘密を暴こうとしていることも、それによる弊害(へいがい)を一切考えないのですもの。誰だって触れたくないことの一つや二つあるものでは?

 それでも『 』は彼らと敵対するつもりはないそうです。お人好しですね。

 さっさと殺して、自分だけの世界に籠もってしまえば良いでしょうに。ああ、こういう考え方をしているから『 』は悲しそうな顔をするのでしょうね。


 でも、本当に『 』は何者なのでしょう? 今のところ該当する存在が確認されていませんが……まさかとは思いますが、前例のない存在なのでしょうか。

 だとすればよりいっそう桜桃軍に属している者は欲しがることでしょう。『 』は逃れることができるのでしょうか? 監視があるも同然な状況ですから、難しいように感じますけれど。

 逃げる気がない、とも言いますね。

『 』は完全ではありませんから、見つかったらすぐさま捕まるでしょう。その時に無自覚にとんでもない事実を話してしまわないかが心配です。

 まあ、私からすれば、『 』はとっても大事な存在ですから、私個人として早急に正体を知りたいのですけれど……もう少し知らないまま接したいとも思ってしまいます。

 だって、私にとって『 』は唯一絶対。逆らうなんてことを考えるなんてありえません。


 早く知りたい。でもまだ『 』には知らないままで過ごして欲しい。


 そんな相反(あいはん)する感情と思考を得た私は嬉しかった。これでまた一歩『 』の考えることに理解を示せるようになったのですから、嬉しいじゃありませんか。

 他の人達からすれば私の思考回路は理解不能でしょうけど、それでも構わないのです。唯一絶対の主である『 』が幸せであれば、それだけで私も幸せですから。

 誰が何と言おうとも私の最優先は『 』。それだけは絶対に誰にも譲りません。


 ……そういえば、ついに事態が大きく変化し始めたようですね。変な方向に行かなくって安心しましたが、これからはそこも気を付けなければ。

 そのことがなくとも、徐々に完全になりつつありますからね、『 』は。

 この調子では持って数ヶ月。いえ、一ヶ月持つかどうか、まで進行していましたか?

 とにかく今の『 』では真実を知った時に精神崩壊を起こしかねません。少々何かしらの手段を講じる必要性が出てきてしまったようですね。

 運命(うんめい)、というのは実に不思議な概念(がいねん)です。どうしてあのように集うことができたのでしょうか?

 この際、世界がどうなろうとも構いませんが……あの者達に関して言えば、死ねば『 』が悲しむでしょうから、特別に生かしていてもいいかもしれません。

 面倒な存在です。私以外の特別が存在していると思うだけで身が焼けるのではないだろうかと思ってしまうほどの憎悪をあの者達に抱いてしまう。

 こうなればいっそのことよりいっそうロックを掛けておきましょうか。そうすれば当分は思い出せないですし、私も十分調べることができる。

 嫌悪しかない穢れに接触しなければいけないなど吐き気がしますが、『 』のことを思えば些細なこと。その程度の感情など切り捨てられる。

 依存している、と世間では言うそうですね。実にどうでもいい情報です。

 実際に依存しているという自覚はありますよ? でもだからって改善しようとは思いません。

 思うこと自体が間違いですから。生まれた時からの運命なのです、私にとって『 』は。

 それを邪魔するならば……いくら『 』の大事な者達だろうとも排除するだけのこと。

 生きていることを後悔するほどの状況に追いやっても構わないかもしれません。だっていずれは『 』を悲しませる存在ですしね。

 どれだけ実力があろうともあの者達があのままである限りは絶対に回避できない未来。

 ただ近くにいるだけならばもう少し許してやったものを、よりにもよって『 』の心に入ってきた。

 本来ならば万死に値します。許しているのは全て『 』のおかげだともう少し崇めるように感謝すればいいのに、と思わず考えてしまうほど嫌いです。

 ええ、存在している事実さえ嫌悪するほどに、嫌いですとも。何故あの者達は存在しているのか。

 いや、まず何故あの者達は生まれてきたのですか? 『 』を悲しませるだけの存在なのに。

 穢れを狩るついでに潰しておいたら『 』はやっぱり泣くんでしょうね。そんな顔を見たくはないので私が我慢しましょう。

 お人好しな主というのも大変です。まあ、私は自称・配下に過ぎないのですけど!

 勝手に忠誠を誓った者として、『 』には是非とも笑顔で過ごしていただきたく思っております。


 ……と、なるとやはりあの者達を殺せないのですよ。忌々しい。この時ばかりは主の意思を無視して行動を起こしたくなりますね。

 いえいえ、殺しませんよ? ええ、殺しませんとも。『 』の心に巣食った、だ・い・じな! 存在ですし? 何ならあの者達のおかげで『 』は進行が遅れていますし?

 まさか自分達の行動が原因でもっと早くに完全な姿に戻れたのを遅らせているとは思わなかったでしょうねぇ? これを知った時のあの者達の絶望に染まった顔を想像するだけで溜飲(りゅういん)が下がります。

 あの者達の所属を考えれば、『 』は早く完全な姿に戻るべきなのですよ。そうでなければ次の段階に入れませんし、一生抜け出せないですから。

 個人としての情よりも立場を優先しているのならば、この機会に盛大に悩めばいい。『 』はあの者達の心の中で大きな存在と化していますから、盛大に悩むでしょう。

 可哀相に、なんて思いませんよ? これもまた『 』の世界では重要な役割を果たすのですから。

 盛大に悩む姿を見て大笑いしてやりましょう。自分達の()いた種ですから、自分達で回収していただかなければ。そこまでは私は干渉しようとは思いませんし。

 ああ、イライラする。なんだってあいつらは生きてるんだか。突然大公(たいこう)か王が来て、全滅させてくれませんかね? そしたら私が原因じゃなくなるので、そういう展開は大歓迎ですよ。


 そういえば、穢れの方もやはり活発化してきましたね。そういえばとある国では王が現れて壊滅的な被害になったんだとか?

 もはや王も出てくることが可能なほどまでに弱体化してきましたか……いよいよ危険ですね。

 真実を知った時の『 』の取る行動なんて一択と言っても良いほどですから、頑張って欲しいのですが……無理ですよね。今までそれを行なえた穢れ狩りがいないので。

 というか、未だにどうすれば穢れが現れなくなるのか判明していないのでしたっけ? これでは悲願達成できるのは千年後とかになりそうだ。

 主にとっての悲願は『穢れの消滅』という壮大にして現在の現世では無理難題です。

 これを叶えることができるのは他でもない元凶とも言える『人間(ヒト)』のみ。

『 』がこんな目に遭ったのも全ては『人間(ヒト)』のせいだというのに、未だに情を向けることを止めないのだから主とはいえ呆れます。

 まあ、だからこそお人好しだと言ったのですが。

 誰のせいなのか判っているくせに、「それでも嫌いになれない」と言うほどのお人好し相手に何を言っても意味がないのかもしれません。


『私は……もっと様々なことを知りたいのですよ。そのためならば彼らから悪と(そし)られようとも構わないと言い切れる』


 本気でこんな言葉を私に対して言ってきた存在相手に何を言えと?

 呆れると同時にあまりの博愛っぷりに逆に感心しました。『さすがはそれを試練としている存在だ』と。

 あそこまで行けばどれほどのクズだろうと改心しそうです。真正のクズがいるので何とも言えませんけど。

 少なくとも私が言えたことじゃありません。そういう部分を見て主と定めたのは他でもない私です。

 人間には失われたと言える感情を無垢なままで持っている『 』に惹かれる存在は多い。同時に嫌われる時はとことん嫌われる『 』ですが。

 できることならば、このまま静かに全てが終わって欲しいと私が願ってしまうのは悪いことではないはず。

 なのにそれを許さない状況に苛立ちを抱いても良いじゃありませんか。私は『 』に救われた者の一人であり、皆の代表なのですから。


 できることならば、唯一絶対の主である『 』が今後も心穏やかに過ごせるように。


 私はずっとそう願っておりますよ、主様――


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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