報復の報復
次の日。
また人間が来た。多分昨日の倍。今度は弓兵もいる。
深呼吸し、生前から持ってる秘技
「よしエサが来た」
開き直りを使う。
俺だって元は人間。食欲と性欲しかない動物とは違う。
あらかじめ、蜘蛛糸に変異の効果で切れ味を付けてある。ただの魔物となめてかかってきた人間がサイコロステーキになる。いまのでタネがバレて蜘蛛糸を切ろうとするが。
「!**************!」
こういう戦略ゲームは2、3手読むもの。こんな事も想定して切れ味も一緒に鋼鉄皮も付けてある。一応火耐性も付けてある。前衛は順次どうにかするとして、問題は弓兵だ。
弓兵の対応を考えてキョロキョロ。矢が飛んでくるからちょっと加速してキョロキョロ。
『クロックアップを獲得しました』
「WHY?クロックアップって何」
記憶が正しければ、昆虫のバイク乗りが使ってた奴だと思うけど。
『周りの動きがスローモーションに見えるほど加速し移動するスキル』
わーお。天の道を往き、総てを司る男が使ってた能力だ。もちろんありがたくクロックアップを使い弓兵も一緒に首を撥ねる。
うむ。実に経験値が美味い。肉は不味い。いつの間にかレベルが25。
『ジャック・ザ・リッパーの称号を獲得しました』
おうこら達成返せやコラ。
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だがこれからの事を考えねばなるまい。確実にやってきた人間の所属国に目を付けられているだろう。なので逃げるのが得策か。
そうと決まれば卵を背負って脱出に向かう。筋力のおかげで移動がだいぶ楽だ。楽っちゃ楽だが、スタミナの減りが早い。某金ピカの蜘蛛蟷螂みたいに繭を作ろうとも考えたが、材料はともかく時間がとてつもなくかかる。構造は理解してる問題は糸だ。糸の配置だ。それだけで時間がかかる。
出口は案外早く見つかった。
決意返せやコラ
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「送った兵士がまた殺られました」
「なんだと!」
「現場に向かいましたが、骨と遺品しか残っていませんでした」
「そうか」
「ですが、記憶結晶は無事でした。これは1次隊のものです」
「そうか。見せろ」
「どうぞ」
「フン。…サイズインセクトか。確かに危険だ。…何!火を纏っている。そしてレッサースネークの鱗を纏っている。………リッパーインセクトに進化しただと!」
「如何です」
「…2次隊のも見せろ」
「はい」
「…この糸はリッパーインセクトが張ったのか。…………なんだ、突然加速したぞ。目じゃ追えん」
「…」
「…」
「…エルサを呼べ」