閑話とある森の彼
千PV超えた記念の閑話です。飛ばしていただいてもおーけーです。
俺は許すことができなかった。あれから一年がたった。だけど、時間は洗い流してなどくれなかったこのどす黒い感情を。
俺は、一年前に全ての家族を失った。その時の無力感、絶望。そんな感情をもう二度と味わいたくなかった。
俺は空を見上げ、森の中に目線を戻した。狩りを始めようか。
狩りをしている間だけは、あの頃の絶望を忘れられる。蹂躙し喰らうことで、自分の力を誇示することができる。
俺は意味もなく、自分より弱い動物を狩り続けていた。やっていることはあいつ等と変わらないということには蓋をして。
狩りの最中に俺はトンボを発見した。いつも通りに草むらから様子を確認する。そいつが地につく姿が浮かぶようだ。毎日見ていれば、逃がすことももう無くなっていた。
そいつはのんきに蜂を食っていた。次はお前が食べられる番だとは思ってないだろうな。ククッ……。笑いが堪えきれない。
残忍な顔をした狩人は飛びかかる瞬間を見計らっていた。
すると奇妙なことが起こった。トンボが光りだしたのだ。
まぶしい……。なんだ?目を開けると、迫ってきたのは、巨大な顔面だった。
ギョッとして身をひねって回避する。おかしい、石のトンボの特有の巨大な羽音は聞こえなかったはず。グルッとまわり、突進してきたので回避する。
少し掠って、血がにじむ。クソッこんなはずじゃねえはずなのに!!
俺は、強いんだ!!
しかし、現実は非常だ。圧倒的な大きさ、速さに重さが乗った攻撃。防御の硬さ、何一つ勝てる要素などなかった。
次の突進で俺は宙を舞う。
そこにもう一度攻撃してくる。そこからは無慈悲な連撃が俺を襲う。
無限にも感じられる時間の中で、自業自得ってやつか。と、俺は思った。
その時、猛獣の声が空から聞こえた。一瞬赤いものが見えたと思うと、字面にべシャッと落ちた。急いで草影に隠れ様子を見る。
その時の光景を忘れることはないだろう。
赤く見えたそれは、龍。
雲ひとつない青空を雄大にかける王の姿だった。
それを見た俺の心は、惨敗した後だというのに、清々しいほどに──澄み渡っていた。
少し、趣の違うものを閑話で書いてみました。
いつかこの物語と、本編は邂逅するかもしれません。つぎもなんか祝い事があれば、書きます。




