↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーフライフ  作者: スノウ
79/237

エミリアの力


テーブルにポトポトとしずくが落ちた。


見上げると、お茶のカップを片付けながらエミリアが泣いて居た。


「どうしたの?」と僕は心配になり聞いてみた。



「あれ、、どうしたのかな、、変ですね。」


エミリアは笑い顔を作りながら、溢れる涙を指先でぬぐった。


僕は立ち上がり、彼女のそばに寄り添った。


「本当にどうしたの?エミリア。」


僕は彼女の肩を抱きながら、ティーカップを持つ手に手を添えた。


「良く分からないんです。考えると、何故か涙があふれちゃって、、。」と涙声で、笑おうとする。


「落ち着いて、座って話してごらん。」


僕は肩を震わせて涙を流しながらも、僕に笑顔を向けようとするエミリアを、ソファに座らせた。




「こんな気持ち、感じた事無くて。 どうしたら良いのか分からなくて。」


ソファに座ったエミリアは、僕を見上げながら戸惑い、拙つたない言葉で伝えようとした。


「ゆっくり話してごらん。 その気持ちの事をね。」 と、僕は出来るだけ優しく呟いた。


目を閉じて、目尻から零こぼれる涙をそのままに、エミリアは話を始めた。


「ユウトが妹を大切に想う気持ち、私分かるんです。 私にも兄妹がいますから。」


小さな、ささやくような声で『みのり』の事を話した。


「お友達を大切にする気持ちも、分かります。 村に居た頃は、私にも友達が居たから。」


またテーブルに涙を零しながら、エミリアは言った。


「だからユウトが私にしてくれる事を、妹さんとも友達ともしなかったのを知ってます。」


僕は何の事を話しているのか分からなかった。 


「ユウトが私を大切に思ってくれていて、私に『小さな家族』が出来たら良いなと、思ってくれてるの知ってます。」


僕はまさかと思いながらも、ただ言葉も無くエミリアの話を聞き続けた。


「でも今日ユウトが、あの少女と、私と同じ様に『小さな家族』作ろうとしたのを知ったら、胸が苦しくて、涙が出てきちゃって。 変ですね。」 と目を閉じて涙を浮かべながら、また笑おうとした。


エミリアは、『ほのか』の事を知っている。 みのりの事を。 ユナの事を。


「私はエルフだから、心を読む私たちは、だから嫌われるんです。」


僕の心に浮かんだ「何故?」に答えるかの様に、エミリアは呟いた。


「ごめん、エミリア。」


エミリアを失うかも知れない恐怖を、帰ってエミリアの居ないこの部屋を想像し、僕は胸の中が苦しくて、ろくな言い訳をする余裕も無かった。


ずっと一緒に暮らして行きたかった。 


「おかえり」と彼女が言ってくれるのが何より嬉しかった。


もし妊娠したのなら、結婚して家族になりたかった、、、


エミリアは僕の腕の中に飛び込んで来て、僕の首に手を回して引き寄せると、激しくキスをした。


「もう良いの。ユウトが私以外と『家族』を作ろうとしないでくれるなら。今のその気持ち見たら、私、安心だから。」


エミリアは自分の「嫉妬」の感情が分からず、戸惑い、傷付いたのだろう。


僕はもう二度とするまいと心に誓っていた。


何故なら、愛しているし。 浮気しようにも筒抜けだったから。






2人でお風呂に入り、僕は幸せを感じていた。


「君は僕が愛してる事、見えてるんだね。」 と聞いてみた。


「うん。」と答える彼女が可愛かった。


濡れない様に金髪をアップにまとめた彼女が、どうしようも無く可愛かった。


「今朝お友達のユナさんを、私と間違えてキスした事もしってます。」


エミリアは俯きながらそう呟いた。


「お友達だから、キス位は当然みたいですね? ユナさんには。」


そう彼女は僕に言った。


「でも、どうしてだろ。 凄く胸が痛いの、、」


そう言ったエミリアを、僕はきつく抱きしめていた。


彼女の中に生まれた「独占欲」を、少しだけ感じながら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。