2人だけの家族
ヘリで壊された実家は、住宅地の中にあった。
新しく建て替える事も考えたが、これから先いつ襲撃されて近所に迷惑を掛けるかも分からず、それは諦めた。
襲撃されても迷惑がかからず、強固な結界で守りを固められる広い土地付きの家、そんな物件も探さなければいけないし。
異世界で病人を救いたいと言う、バンデラス達の為に薬も買わなければならなかった。
妹と、ラブホテルに入ってる場合では無かった。
そうは分かっていても、家も両親も失い、学校に通う目処も立たず、僕は僕で一日の半分は異世界に行き傍そばには居られない。
お風呂に入りたいと言う、妹の細ささやかな願いを、断る事など出来やしなかった。
「おにいちゃん。」 と、部屋に入るなり背中に抱き付いて来た妹が、僕はいじらしくて仕方無かった。
肩が出た白のオフショルダーブラウスが汗を吸い、みのりの匂いが立ち上る。
僕はショートボブの妹の首筋に顔を埋めて、思い切り匂いを吸い込んだ。
「おにいちゃん、汗臭いでしょ? 恥ずかしいよお、、」 と、僕の頭を抱き締めて妹は離さない。
「みのりは、凄く良い香りがするよ。」と僕は耳元で囁いた。
お風呂にお湯を張ってくると、妹はバスルームへ行った。
僕はベッドに仰向けに寝て、この数日の慌ただしさを思い出していた。
ただ僕と言う一個人が、半日刻みで異世界を往復してしまう運命に落ちた、それだけの事なのに。
両親は死に、暗殺だ襲撃だと血生臭い事が始まり、内閣は総辞職しようとしていた。
でもミーシャを入れたら46人もの子供達の命を、救う事が出来た。
エミリアを、そしてエルフの娘たちを解放する事も出来た。
でも僕はまだ、大切な妹を幸せにする為の何事もしていなかった事に気付き、後悔をしていた。
少し位の我が儘は聞いてやらなきゃな、そう心に決めていた。
「おにいちゃん、一緒に入ろうよ。」 と、いつの間にかパンティとブラだけになったみのりが呼びに来た。
「お前なぁ、、女の子なんだから恥じらいとかさぁ、、」
と言い掛けたが、少し位の我が儘は聞いてやらなきゃと思い、僕は手を引かれるままにバスルームへ連れていかれた。
服を脱がされて、「みのりもお風呂入るんだから、脱がして。おにいちゃん。」と、みのりは万歳のポーズをとりながらそう言った。
僕はみのりを脱がしてあげて、二人でバスタブに入った。
湯舟の中、僕に背中をあずけ右肩を枕にして、みのりは「はぁ~ 気持ち良いね。」と嬉しそうに言った。
「早くおにいちゃんと私の、帰るお家が欲しいよ、、。」と、みのりは小さく呟いた。
僕には、異世界で帰る場所があった。 みのりにはそんな場所はどこにも無かった。
「おにいちゃん。 おかえりって言いたいよ、、。 ただいまって、言って欲しいよ、、」
瑠奈が居てくれたから、弱音など聞かなかったから、みのりの本音が分からなかった。
「みのり、これからお家探そうか?」 と、僕は湯舟の中で妹を抱きしめながらそう言った。
「おにいちゃん。」
嬉しそうな顔で振り向いて、妹はそう小さく呟いた。




