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ハーフライフ  作者: スノウ
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ゴミ屑の価値



店に入ると男性の店員が出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ。当店は買い取り専門となっておりますが、どういった御用件でしょうか?」と、


間違って買い物客が入って来たと思ったのだろうか。


僕は慌ててハンカチに包んだ金と銀の金属片を取り出した。


「これが引き取って頂けるモノかどうか、鑑定して頂けませんか?」 店員に渡しながらそう伝えた。


「ちょっと測定致しますのでお預かり致します。」 彼はカウンターの向こうにある測定器を使い、それが何なのかを調べていた。


「おにいちゃん、金とかだったらどうする?」 と、みのりはほくそ笑みながら聴いてきた。


「道端や部屋のすみに投げ捨ててあったモノだからなあ、あんまり期待はしてないよ。」 僕は半ば期待せずに正直な気持ちで答えていた。


スマホを取り出しタイマーを見る。 もしもまた転移するのなら、今日も夕方の6時位になりそうだった。


昨夜は何事も無く夜を過ごせたが、みのりの言うようにテント位は持って行かないと、雨でも降られたら辛い夜になりそうだ。 この店を出たらアルペンにだけは行くのを忘れない様にしよう。


もう1つ気にかかっている事があった。 それは、あの狩人達のものものしい武装した姿を見て、もしかしたら夜に何かに出会ってしまった時の、身を守る術すべが何も無いと言うことった。


家に有るものでと言ったら、包丁、父のゴルフクラブ、中学の修学旅行の時記念に買った木刀位なものか。 何を持って行けば良いのか悩んで居ると、店員の呼ぶ声が聞こえて来た。


「お待たせいたしました。」


3分と掛からずに結果が出たので、僕は少し意外に感じた。


「こちらは純度99.99パーセントの純金になります。それでこちらは純度100パーセントのプラチナになりますね。お売りになりますか?」 


部屋に捨てられた金属片が、見た目通りの金とプラチナだった事に、正直あまり驚きはしなかった。 みのりは目を丸くして僕の顔を見ていたが、、。


エルフのエミリアを見ての驚きに比べれば、異世界なんだからそういう事もあるのかな?程度の感慨だった。


ただ、転移させられたらバイトや就職活動が不可能になるので、お金を稼ぐ方策だけは何とかなりそうで、少し安心した。


「おにいちゃん、どうする?売るの?」 みのりはこの小さな金属片が幾らになるかと興奮していた。


「売るとおいくら位になりますか?」 と聞いてみた。


店員は何やらプリントアウトした表を眺めながら、書類に数字を書いていた。


「純金が2グラムちょうどで、プラチナが2.5グラムありますので、買い取り価格は今日の相場ではこうなります。」


見積りには1万8045円の数字が書かれていた。


それが異世界で捨てられる珠の価値だった。



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