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ハーフライフ  作者: スノウ
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光の中へ


「エミリア、降りちゃ駄目だ。タンクだけ下ろせば良いんだ。」


叫んだが、魔獣の唸りで聞こえないのか、止まらずに降りて来た。


「カイル、車を停めてこの中で交代だ。」 と彼に言った。


車を停めた途端、魔獣はヘッドライトの光を避け、左右から襲い掛かって来た。 車が揺れる。 窓を引っ掻く音に冷や汗が流れる。


狭い車内で何とか運転席に座ると、僕はアクセルを踏んだ。


大きく車で円を描き、エミリアに光が当たる様に走った。


「カイル、拳銃は使えそうか?」 僕は祈るような気持ちで聞いていた。


「多分。」 あまり自信の無さそうな返事に、僕はもう賭けるしか無かった。


円を描いて2週目、ヘッドライトの光に照らされたエミリアは、降りるのを止めぶら下がって居た。


足元の魔獣は飛び跳ねながら待ち構えちていた。


「あそこに車を着けるから、合図したら降りて、走ってライトの光の中に行くぞ。」 と、僕は彼に言った。


「弾を忘れるなよ。」 肝心な事を言うのを、僕の方が忘れていた。


車は3周目を回って、エミリアを照らした。


僕は光を避けて魔獣が飛び退くのを見ると、車をエミリアの真下にバックして城壁に当てた。


「行くぞ。」 と声をかけ、前方のヘッドライトの光の中に走った。


僕は草に足を取られ倒れた。 拳銃は手元から離れ、転がった。


唸り声が身近に迫り、急に背中に重さが掛かる。 


左肩に何かが食い込み、激痛が走った。 僕は死を覚悟した。


「パンッ」 と甲高い銃声がして、フッと重さが無くなり魔魂がバラバラと降ってきた。


「ユウトさん。 早く立って!」 また銃声がした。


僕は落とした拳銃を拾い、ヘッドライトの光の中へ走り込んだ。





ロープにぶら下がったエミリアの真下の、停めたジムニーに左右から襲い掛かる魔獣を、カイルは次々と撃ち殺していた。


僕も狙おうと構えたが、狙った途端にカイルが先に倒してしまう。


「カイル、次はこれ使え。」 と、グリップを彼に向け拳銃を差し出した。 カイルは右手で魔獣を撃ちながら、僕の差し出した銃を左手で受け取った。


「ユウトさん、僕のポケットから弾を出して交換して。」 と、弾の切れた拳銃を僕に放った。


カイルのポケットから弾倉を取り、空の銃に装填した。。


「エミリア、 カイルが魔獣を倒すから、車の上を走ってこっちに来るんだ。」 僕は彼女に叫んだ。


僕はカイルの投げる拳銃を受け取り、弾倉を交換しながらエミリアを待った。


逆光の中からエミリアが飛び込んで来た。


僕は彼女を抱き締めた。


「ユウトさん、そんな事してる場合じゃ無いですよ。 早くする事をして。」 と、魔獣を撃ちながらカイルは言った。


僕はエミリアの、背中のガソリンタンクの紐を解き、カイルに撃たれないように頭を低くして車に走った。


給油してる間、次々と襲い掛かって来る魔獣が、金色の珠になる光景は、まるで手品でも見てるようだった。


10リットルのタンクの中身を少し残して給油して、僕は車から2メートル程離れて地面に残りのガソリンを撒いた。


「カイル、ライター持ってるか?」 と聞くと、無言で僕に放って来た。


僕は地面に火を放ち、「今だ、乗れ!」 と叫びながらクラクションを鳴らした。


火に怯むはずとの僕の読みは当り、魔獣は飛び掛かるのを躊躇っていた。


二人が乗り込むのを待って、ジムニーのアクセルを踏んだ。


車はまた輪を描く。


光を恐れる魔獣はライトを嫌い、僕達の命はつながった。


「カイル、これでミーシャの貸しはチャラだからな。」 と言いながら、笑いが込み上げてきた。


「何を笑ってるんですか? ユウト。」 と、不思議そうな顔で聞くエミリア。


タンクを背負い降りてきた彼女の姿をを思い出しながら、僕は笑い続けた。



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