疑いのある3機
もし911の時の様に、ハイジャックされた飛行機によるテロならば、法整備の済んだアメリカ政府はそれを撃墜するだろう。
例えそこに誰が乗って居ようとも。
ワシントンには僕が向かう事になり、ニューヨークへはみのりと瑠奈が向かった。
ワシントンまでの距離は3700キロと聞いていたので、テロ攻撃の開始時刻迄には現地入り出来そうだった。
それでもマッハ4の速度で飛んで40分は掛かり、ほんの15分しか猶予は無かった。
約4000キロ離れたニューヨークに向かった瑠奈とみのりには、僕よりも少ない時間しか残されて居なかった。
ワシントンに僕が向かう様に言ったのは先生で、それはある程度テロ攻撃の手段が分かって居たからだった。
ただ、ニューヨークの方の情報はまだ掴めては居らず、だから透視や遠視、読心能力に長けた二人が向かう事となった。
「先生、どの便がそうなのかまだ分かりませんか?」
普通のとは違うと言われた衛生電話で、掛けた電話に出た細貝先生に向かい僕は焦りながらそう言った。
「板井電器店の衛生電話なら、頼んでいた通りならマッハ4でも話せるはずです。」
と先生が言った通りに通話出来ていたが、肝心の攻撃に使われる航空機が、まだ特定出来ては居なかった。
「今連絡が取れずに機内の情報が分からない便は3機です。」
911の時と同じくジャンボ機での攻撃だと言う事は分かっていた。
あの時と違うのは、今度は民間機であろうとアメリカ空軍のF22が、躊躇わずにミサイルを発射するであろう事だった。
ロスアンゼルスを立ってから、魔魂を潰して「遠視」と「透視」の力を得てはいた。
しかしそこは付け焼き刃の悲しさでまだコツが掴めず、精々10キロそこそこの範囲しか探れなかった。
機内状況が分からない3機のジャンボジェット機、そのどれかがホワイトハウスに墜落する事は分かっていた。
中に乗る乗客は、2機のダレス空港への着陸便がボーイング747の374人と、ボーイング777の348人。
同時刻に上空を通過する予定のボーイング737が167人を乗せていた。
「今機内のWi-Fiが生きているので、知人が搭乗客のスマホをハッキングして情報を集めています。あと少しで攻撃に使われる機体が特定出来ます。」
先生はそう僕に言った。
後30分でジャンボ機による攻撃が行われる。
F22のミサイル攻撃が行われるまで残り20分。
僕はマッハ4の速度で向かいながら、間に合うように祈る事しか出来無かった。
何故なら発進予定のF22は計6機。
アメリカは疑いのある3機のジャンボ機を全て落とす積もりだった。
それは操縦士やキャビンアテンダントを含めた、合計905人の罪の無い人達が死ぬ事を意味していた。




