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32話 瞬時覚醒薬

その出来事が起こる数分前

御影はどうにか寝がえりをうち周りの様子を確かめる


・・・・・ここはどこだ?


御影の口は言葉を発することもできずただ呼吸するだけの機能しか有していなかった

それもあと数分で終わる

いくら急所を避けたからと言っても既に刺される前から御影の体はボロボロだった

すでに一度、神の力の一部を手にすること。決して人間がたどりつけない力――――――神霊化を使っている

もうどうしても助かる見込みはない

心臓が停止してから分刻みで助かる確率が下がるというのがあるが逆神化をしたものは心臓が止まった後二度と心臓は動かない。たとえ心臓マッサージをしようが魔術的に何らかの方法で動かそうが・・・・・

だから御影は悟っていた。この目をつぶればもう二度とこの世界を見ることはないのだと

再び天垣や戸浦たちに会うことはないのだと

ただ御影が悔やんでいたのは

最後までロキのことを護ってやれなかったな

ただそれだけだった

もし小説のように意志の力でどうにかできるならそうしたいが残念ながら現実は残酷で手を動かすことくらいしかできなかった


・・・・ゴメン。ロキ


そう思いながら御影は目を閉じようとした

脳裏はロキの顔が浮かんだ


カランッ


この場には似つかわしくない小さく儚い音が聞こえた

御影はなぜか鬱陶しげに眼を開きその音の発生源を見る

そこにあったのは


・・・カプセル注射器?


針先にキャップがつけられた押しボタン式のカプセル注射器だった

持ち運びに便利で発作など起こった時にすぐに注射器で打てるよう作り出されたものだ

と言っても内容物は動脈なんか太い血管などに直接打ち込まないでいいような薬ばかりだ

そのカプセル注射器には何か紙が巻かれていたらしく先ほど御影のポケットから落ちた時に外れたらしい


『これを使えばたちまち元気いーっぱい!!傷は治るしテンショウはハイになるし仕事中にはもってこいの一品(鳳欧・御影限定)勝ってこーい!!』


・・・なんだよ限定って・・・・


御影はその文章を苦笑交じりに見た

そしてカプセル注射器を手に取り、キャップを噛んで外した


・・・嘘ついたら呪ってやる


そのまま首筋に押し当ててボタンを押した

ぷしゅーという空気が抜ける音ともに首筋に冷たい液体が入りこみ御影は身体を震わせる

しかし次の瞬間、辺りは炎によって照らし出されていた

熱くはない。当たり前だそれは御影の身体から発するものなのだから

御影は先ほどのだるさとは打って変わり力がみなぎる身体で立ちあがる

同時に御影の身体に炎が蛇のように這いまわり傷を直していく


「成程な。これは良い」


手を開閉し自身の身体に力が戻っていることに驚きを感じながら満足したように声を出す


「気付け薬にしては少し効果が強すぎるようだが、これはこれで使える」


しかしすぐに炎は消え陽炎のみが立ちこめた


「もうちょっともってもいいんじゃないか?」


御影は自身の中にいる獣にそう呼び掛けるように呟く

御影の中にいる獣とは様々な神話で語り継がれている不死鳥だった

フェニックスやガルーダ、朱雀と言った幻獣と同一視される死んでも灰からよみがえる死なぬ鳥だ


「さて、終わらせるか」


そう言って御影はロキの方へと走った


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