3話 檻の中
御影は頭の中で職員室に呼ばれる原因を探る
今朝の始業式の無断欠席か、風紀委員長から逃げたことか、いまだ俺が無能者であることか、今の俺の養親についてか、それとも俺の過去か――――――
俺の過去の話なら普通職員室なんかで話さないか、と思いながら無駄に広い学園を走って職員室まで突っ走った
そして職員室につくなり、御影を呼び出した張本人はすでにドアの前で待っていた
その人物は赤ぶちの眼鏡をかけて髪を後ろでリボンか何かでまとめている、顔立ちはスラッとした雰囲気がありしかしあまりにもやさしげな眼元なせいで気の弱い雰囲気が苛めない。
そんな自己主張ができなさそうな彼女に見えるが今着ている長袖のシャツを思いっきり押し上げるようにして自己主張している双丘は男子にとっては目の保養になるだろう。その上、ガーターベルト付きのソックスをはいているためいやが応でもその肉感のある脚に目が行く。簡単に言ってしまえば男子にとっては歩くエロスという裏名が作られている。本人はその自覚がないのだが・・・・・・・・・・
御影はその人物の裏の正体を知っているため、そんな風にはみれない
実際知らなければ御影も同じように見ていたのかもしれない
だが、そんな意味のないことを考える暇はなく御影はすぐにその人物に声をかけた
「わざわざ呼び出しとは何のご用ですか?防神省対神国衛局局長補佐官、水海・愛美先生」
「その名は学校では呼ばない約束のはずよ」
彼女の声音はゆっくりとやさしいものだったが、その裏から感じる殺気めいたものを感じ、目を細める。別に彼女だってここでわざわざやりあうつもりはないだろう。そもそも防神省の人間が無能者なんぞを殺したなんて噂が広がればその省の信頼は一気にガタ落ちとなり、最悪防神省自体を解体し再編する必要性もある。なにせ防神省自体最近出来た省なのだから。だが、日本には今そんなことをやって退けるほど現状が余裕ではない。しかもそんな余裕のない状況でこの人工島を作り上げ、異能者やヴァルキュリアシステムなんかを構築したせいでそれによる条例なんかもまだ緩い。そしてこの人工島にすむのは人間だけではない。おもに人間でない種族全般がこの人工島に集められているのだ。そう、簡単に言ってしまえばここは人間以外の種族を隔離した檻というわけでもある。だが、それを皆も解っているし、実際一人の力でどうにかできるわけでもない。しかしそうなれば条例の緩い今ならこの人工島を拠点としたテロ活動さえできる可能性だってある。でも何故人工島ではそれが起きないかというと彼らには首輪をつけられているからである。その首輪は犯罪に手を染めた場合、遠隔操作で容赦なくバイタルウィルスと呼ばれるマイクロ単位のロボットウィルスが脊椎を一瞬にして溶かすからである。しかしそれだけでは尋常でない回復力を持ち物に対しては意味を為さないため、プログラミングされているデータは数機のバイタルウィルスが脊椎を溶かしている間に脳細胞を溶かすという世にも恐ろしいプログラムである。このことは人工島で生活する人間以外の種族が猛反対したが、逆にあるやつがこう言ったのだ
『異族である貴様らを私達は止めることはできない。ならば私達の代わりに止めてくれるのか?人間に少なからず恨みを抱いている異族たちよ。本心から承諾ができる奴らが過半数を超えれば考えよう』
と。彼はそう言ったのだ。異族一人を止めることは人間にとっては難しい。いくら神の力を借りようともそれはほんの一部にしか過ぎない。勿論、その力を使うものは厳しい制約もある。だからこの人工島では力を持てば持つだけ肩身が狭くなるという法則性が生まれたのだ。人間より自由度がある異族にとってはそれなりの制約もあるわけだ
「で、わざわざ担任が何の用ですか?」
「そりゃ、そんな制服を着ていたら担任からも言わないといけないことがあるでしょう」
今御影が来ている制服は白を基調としたブレザーであるが、先ほど御影の後ろを通った生徒は白と黒を基調とした制服を着ていた
別に違う高校でもなく、同じ高校であるがどうして制服が違うのかと言えば
「早く降神契約しなさい。こっちでもいろいろと問題に挙げられてるんだから」
そう、降神契約をすれば制服が代わりあの黒と白を基調とした制服が渡され、そして神の使者である者達は黒を基調とした制服を渡されこの学園生活を楽しむように言い渡してある
神とてこの世界に召喚されれば魔術が使える、身体能力が高いという点以外では普通に人間と大差ない。なので、より使者達に気軽で快適な生活を送ってもらい現代文化に親しみを感じてもらい異能者達と親睦を深めてほしいから、というのが使者にも制服を着させている理由である。実際、それのおかげで使者たちも快適に暮らせているようだ。しかも異能者達は使者たちと親睦にならなければならない理由もある。簡単なことだが、相手を信頼もしていないのに力を貸すわけにもいかない。そのため使者と異能者の二人の間に確かな絆が確立しなければある程度の力しか貸してはくれない。(高校生の場合では、それで充分過ぎるというものだが)そして確かな絆が出来上がった時本物の力をもらうことができるのだ。以下のことをするために使者たちには現代文化を感じより使者と絆を深めやすいようにした配慮なのである
まあ俺には関係ないが、と半分ため息交じりでそう呟くと水見先生が怪訝そうな顔をして
「なに一人でブツブツつぶやいてんの?」
「いえ、別に大したことではないので」
愛想笑いをして一様ごまかした
「っというわけで今週中には降神契約を行いなさいよ。でなきゃ、面倒な神を押し詰めるわよ?」
「残念ながら俺は特定の神を欲しがっているわけではないので」
クラスでいたのだ。思い通りの神が召喚できずに喚き散らした生徒が・・・・・・・
その生徒は神を侮辱したことによって軽く謹慎処分になったらしい
「とりあえず、さっさと召喚して契約しなさいよ。貴方に見合うだけの神としか契約はできないのだから」
つまり降神契約は自身の力に見合った神としか契約はできないのだ
強すぎる力は自身を滅ぼすともいうからである
御影は職員室に戻って行く水見先生を見送りながら御影は急いでファミレスに向かった
どうせ意味のないことをするつもりはないのだから・・・・・