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28話 荒れ狂う暴君

すでに御影の思考は吹き飛んでいた

ただ目の前にある害悪を排除しようと一方的な蹂躙を行っていた


「うあああああああああああああああっ!!」


魔力によって御影だったものの腕は狼の爪の様な物が出来上がりそれを銀髪少女に向かって振り下ろした


「くっ・・・!!」


先ほどまで余裕を見せていたその表情には苦悶と焦りの表情を浮かばせていた

それもそうだ。先ほどの二人がかりでかかってきた戦闘では一切の傷がつかなかったのにもかかわらず、今は全身傷だらけで服までびりびりに引き裂かれている

『神滅する賢者の槍』の魔力障壁は由利との戦闘で圧倒的な防御力を誇っていた

しかし今はそれをいとも簡単に紙を切り裂く勢いで破壊してきている


「これでっ!!」


『神滅する賢者の槍』に明るい光色と暗い闇色がともった

あらゆる物質に致命傷の傷を与え、さらに浄化する能力

銀髪少女は目の前にある暴力の塊に致命傷を負わせ回復力という身体能力を浄化しようとした


「くたばれ―――――!!」


御影だったものの方向に近い叫び声を上げながら渾身の刺突を繰り出した

しかし


「なっ!!」


それはいとも簡単につかまれまるで効果を為していないかのように思えた

そして御影だったものはその銀髪少女の驚嘆の表情を見るなり口端を上げ歯を見せて不気味に笑った

明らかに人間でない犬歯の長さが目の前にいるのは動物を模様した化物だという錯覚を感じさせる

御影だったものはおもむろに口を開けた

そこに御影だったものを覆っている同じ青黒色の魔力がたまりだしていた

しかし銀髪少女もそうそうやられるわけにもいかず槍を離してその口の前に手を出した


「なめるな!!化物が!!」


その言葉に御影だったものが一瞬反応したように見えた

その隙をついて銀髪少女の手にあった魔弾を口の中に撃ちこんだ

しかしそれは自爆に近いものとなった

辺り一面を爆発が覆い更に基盤を巻き込みえぐっていった

銀髪少女も爆発に巻き込まれ吹き飛ばされた


「きゃあああああああああああああああああああああああああっ!!」


そして銀髪少女は暗転へと意識を渡した



◇◆◇◆◇◆



「かなり派手にやっているようだね」


天垣は痺れから少しずつ戻る自身の身体を確認するように手を握る


「しかし本気で大丈夫なのですか?」


「何がだい?」


「この魔力の波動と破壊力。明らかに人間の力を逸脱しています。幻獣レベルですよ!?」


「だろうね・・・・・」


「だろうねってこれでこっちにまで被害が―――――」


「だからすでに霊装機甲部隊は工業区周辺に配備させているし、僕の民間保安局(ボルゲーゼガード)も出動させている。それに会社の半分以上に人員を配備させているだから早々に被害が及ぶわけが無いだろ?」


「そっちもですが。彼を見捨てる気ですか!?」


天垣の使者は病院と言うことを忘れ大声で喚き散らしていた


「ここ、病院ですよ?」


まあまあ、と使者を諌めつつ天垣は背後にある窓を見る


「大丈夫だよ。彼には渡してある」


「危ないものじゃないでしょうね?」


猜疑心が満ちるに満ちまくった視線で天垣を見る

かつて天垣は御影に様々な薬を飲ませたことがある

それのせいで彼が入院することは一体どれだけあったことか

大まかで数えれば両手があっても足りないほどくらいは

天垣は額に出る汗をふく間もなく両手を上げて首をぶんぶんと縦に振った


「めっそうもない!!あいつが死にそうになったら僕まで死にそうになるって何の地獄だよ!!」


もちろんそんな薬を飲ました天垣は使者に手痛いお叱りを受けているのだ


「どんな薬なんですか?」


「気付け薬みたいなものだよ」


「気付け薬?」


瞬時覚醒薬(ブースタードラッグ)だよ・・・・・」


「それって覚醒剤ですよね?」


「まあ、平たく言うと似たようなものかな・・・・・・・・・」


天垣は視線をそらしながらそう呟く


「貴方はっ!!」


「待った、待った!!覚せい剤でも僕が改良を施してあるから大丈夫だよ!!」


「本当ですか?」


「ああ、それにそんな薬を使った後は廃人化するからどの道同じ最後をたどるんだ。なら改良を施して少なくても助かる道へと道変更した方がいいだろ?それに―――――」


いまだ砂煙が上がっている工業区の方に視線を向ける


「彼がちゃんと助からなければそれこそ彼女が悲しむだろ?」


そう言った瞬間、また爆発音が聞こえた


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