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26話 終わらせない

外に放り出された御影はころがり運送用のトラックが使う道路の半ばで止まった


「く・・そっ!」


両腕を貫かれほとんどない握力の手でどうにか立ち上がろうとする

しかし彼女はそんな猶予すら与えてくれなかった

御影が振り向くと銀髪少女は睥睨するような視線を御影に送り逆手に持った『神滅する賢者の槍』を振り上げた

しかしそこに由利が刀を袈裟切りの構えをしていた

だが銀髪少女はそれを見ることもなく石突きで由利の心臓部付近を打ち砕いた


「がはっ・・・・」


赤い鮮血を口から吐き出しながら由利は倉庫の近くへと飛ばされる


「よくここまで手間をかけてくれたものです」


銀髪少女がさらに『神滅する賢者の槍』を振り上げる


「終わりです・・・・・」


彼女が最後まで振り上げ、目を細めて一瞥するなり何のためらいもなく振りおろしてきた


「御・・・・・影?」


が、その槍の穂先は御影の眉間にかすり少し血をにじませた

銀髪少女がその姿勢のまま声の方を向いた

その方向には先ほど由利が放った炎が立て続けに倉庫を燃やしている

そんな炎の中顔を照らし出されながらやってきたのは


「ロキ・・・・」


「ようやく来ましたか。遅いですね」


「遅い・・・だと?」


御影はその言葉に緊張のある声で反復した


「残念ながらあなたの連絡用の式神はここです」


そう言って銀髪少女はポケットからくしゃくしゃになった紙を御影の前に放り出す

それは紛れもなく御影が天垣に飛ばしたものだったはず・・・・・・

御影はその紙を見てから銀髪少女の方を見た


「言わずとも結構です。言いたいことは解りますから」


銀髪少女は一息つき


「貴方の式神は私の式神で捕まえ、あなたの式神と同じ作法で作りました」


「ちょっと待て、そんなことはできないはずだ。魔力の質や量なんかは個体差がありみな違うはずだ」


「そうですね。だからこそそれが私の能力です」


「何だと・・・・・!?」


そんな能力は聞いたことが無かった御影は顔をゆがめながら銀髪少女を睨む


「まあ、秘匿性の高い能力ですからね。そしてその能力を用いて私はあなたと同じ式神をとばした。あなたのメッセージとは違い別のメッセージをね」


「それがここにロキがいる理由か・・・・・・」


「ええ、使者にしか解らないよう作り上げるのは大変でした。そして彼女がここにいるということはあちらは成功のようですね」



◇◆◇◆◇◆



「くそ、痺れの術式か・・・・・・」


「しかも神経回路側に使うなんて・・・・・・」


天垣は開いたベッドを見ながらそう呟く

身体全身がしびれまともに動けぬ状態だ。幸い、言語能力に支障はきたしていないがそれでも体を動かせない以上何もできない

しかも神経回路に痺れの術式が張り付いてしまったため、そこから送る魔力に持しびれの術式が組み込まれ使者にまで影響を及ぼしてしまった


「だが、これで確信した」


「こんな・・・時に・・・・・くっ、何ですか?」


「御影と同じ式神。そして体内に魔力を内包していない。そして彼女の過去。これだけで解った・・・・・・」


天垣は不敵な笑みを浮かべた


「彼女は希少価値のある存在だ・・・・・管理局もやるね」


「こんな時に・・・・・研究熱心になって・・・・・・どうするんですか」


「で、ですよね~・・・・」


天垣は苦笑いするしかなかった



◇◆◇◆◇◆



「さて、これで手間は省けました」


「来たからにはそいつを助けるんだろうな?」


「貴方の行動次第では・・・・・・」


「や・・・めろ、ロキ!」


しかし御影の声を無視してロキは近づいてくる

御影は握力のない拳を握る


ふざけるな!!

自分が犠牲になればすべてが助かると思ったか!?

自分が元に戻れば何も苦しまなくて済むと思ったか!?

それですべてが元通りに戻るとでも思ったのかよ!?

戻らねーよ!!そんなもの

変わっちまったものをもとになんか戻せるかよ!!

変えちまったものを戻すってことはそれまで起きたことが全部なくなるんだぞ!!

お前はそれでいいのかよ!?ロキ!!

俺は――――――よくないね!!

折角、変われると思ったのに・・・・・またもどるなんてできるかよ!!

たとえそれが自分のエゴでも!!


『神滅する賢者の槍』に魔力がこもり明るい光色と暗い闇色がともる

それはまるで絶望と希望を意味しているように思えた。御影とロキの様に・・・・・・


「しかしいろいろと面倒事がありましたがこれで終了で―――」


言葉が言い終える前に御影は身体をひねって銀髪少女の脚を引っ掛けた


「ひゃあ!!」


そのまま脚で地面を蹴ってロキの方に飛ぶように掛ける


「余計なことを――――!!」


そう言って銀髪少女はバランスを崩しながらも『神滅する賢者の槍』の衝撃波を放った

御影はロキにかばいつつ目を閉じた

ロキが何か言っているが今の御影にはもうなにも届かない

ただ耳に聞こえるのは後ろから来る絶望への音

しかしなぜかそれは安らかな鎮魂歌に聞こえた

そして倉庫一面の人工島の基盤が崩れおちた


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