22話 捕縛
「とりあえず学園のサーバーは職員室の方から――――」
と角を曲がった瞬間、魔力の塊である魔弾がとんできた
「ちっ―――!?」
御影は受け身を取りつつ階段を一気に駆け上がる
階段の踊り場の窓ガラスに魔法陣が描かれていた
これが魔弾の本体である術式だ
しかし魔弾は未だガトリングガンのように連射していて御影の身体には服が破けあっちこっちにあざが出来上がっていた
「一体どれだけ仕掛けてんだ!?」
しかし御影を攻撃する術式はすべてこの魔弾の術式でしかない
御影はそれを妙に思いながら術式を消しつつ職員室に向かう
そして御影は職員室の前に着くと一気に扉を開け放った
だが、その開け放った扉からはすさまじい衝撃波が出現し御影はあっけなく後ろの壁にたたきつけられた
「――――がはっ!!」
御影は壁にたたきつけられた衝撃で頭を打ち一瞬目の前が真っ白になった
御影はくらくらする頭を左右に振りながら目の前の光景を見た
「来ましたか・・・・」
そこには『神滅する賢者の槍』を携えた銀髪少女がいた
「やはりここにいたか・・・・・」
御影は身体を起こそうとして力を入れた
「―――――ッ!?」
が、御影は身体を起き上がらせることは愚かまともに動くことすらできなかった
「これ、は・・・・・」
「貴方の能力はすでに調査済みです。その上で対策を練りこの策をしかけました」
だから、全て魔弾の術式だったのか
〝魔力″の塊を打ちだすだけの簡単な・・・・・
「魔弾すべてに痺れの術式をかけています。―――――ああ、無駄ですよ。たとえ一つ消そうが貴方が魔弾を受けた分だけ術式は体内にありますしそれぞれ術式はところどころ変えているので一つ一つ打ち消すのは時間がかかりますよ」
御影が右手に魔力を込めようとしたのが解ったのか銀髪少女はそんな忠告をしてくる
「お前も魔術師なのか?」
「残念ながら私は魔術師ではありません。魔術師はこの槍を使えないので」
そう言って石突きに当たる部分で地面を叩いた
それだけで地面にひびが入り小さな余波がこっちにまで飛んでくる
「さて、あなたには餌になってもらいます」
そう言った瞬間、御影の周りには奇怪な文字列が数個縦に並び御影の身体を覆うように円状に広がっていた
そして御影は強烈な睡魔に襲われそのまま意識を手放した
◇◆◇◆◇◆
「魔術師なのか、ですか」
銀髪少女は右の掌を見つめつつそう呟いた
「よく勘違いされますね・・・・・全く」
彼女は一息ついてやりの方に視線を落とす
この槍を使っている以上魔術はおいそれとは使えない
この槍は持った瞬間から魔力障壁を周りに張り巡らせるそれはまるで隔離した部屋に入れられるような錯覚にさえ覚える
そんな状態で術式を行使すれば障壁にあたり自身に跳ね返ってくるのだ
なので使える術式としても身体強化以外はあまり使えないのだ
だが、そんな魔術など関係が無い彼女でもこの槍を取りざるを得ない出来事が起こってしまった
ただ普通に暮らしていた彼女を変えた出来事
その手に武器を持たなければならない理由
「こんな物のせいで・・・・・・・」
銀髪少女はただ力だけをこめて拳を握った
その瞳には憎しみの色が宿されていた
「絶対に・・・・見つけ出して見せる」
彼女はすべての出来事を頭の中で整理してそう呟いた
忌まわしき過去を払拭させるためと言わんばかりに窓を見つめていた




