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21話 捜索

御影は学制区を走りまわっていた

学制区はこの人工島では工業区の次に最外区に位置する

そのため学制区を一回りするのは半日や一日消費するのだ


「むやみやたらに探しても意味が無いか」


息を切らしながらあたりを見るが魔術をしかけられた痕跡もなければ目立つ銀髪の少女を見つけたわけではない

怪我の部分に熱を持ったのか少しぼーとしながらあたりを見渡す


「アンタ、何やってんの?」


不意に後ろからかけられた声に御影は慌てて振り向いた

そこには私服姿の弥生と亜希奈がいた


「なんでお前らがここに?・・・・」


「そりゃ、学園が休校になったからでしょ?」


「休校・・・?」


いきなり日常的な会話の中に不自然な単語が混じったせいでふと聞き返してしまう

「学園近くでボヤ騒ぎがあったらしくて教師の何人かはすでに出払っていないって。だから休校」

そう言えばうちの担任でもある水海・愛美以外にも防神省の人間は何人かいると天垣に聞かされたことがあった

つまり今、学園に防神省の人間はいない・・・・・・


「ちょっと待て!?それって――――――」


防神省から派遣されるのは大抵魔術師と相場が決まっている。なにせ魔術師や異能者は世界の人口からみてかなり少ない分類に入る。そのため今後を担う学生が多い学園には教師として多めに派遣される

しかし今はその大半が出払っている可能性があり、学園には防衛体制が整っていない

そして学園のサーバーには天垣から連絡を入れておいた病院のデータが入っているはず・・・・


「くそ!?」


「ちょっとどうしたの?いきなり黙ったかと思ったら険しい顔つきして、それで最後は怒鳴って」


「すまんが俺は今から学園に行く。あとお前らはあんまりここらへんをうろつくなよ。いいな!?」


そう念を押して御影はスマートフォンを出しながら天垣の連絡先をコールした

後ろの方から亜希奈と弥生の叫び声が聞こえるが今は彼女たちに構っていられるほど時間が無い


『どうしたんだい?まさかもう帰ってくる気?』


「重要な案件だ。ロキの居場所が勘ぐられた」


『それは本当か?』


「ああ、今、学園の方に向かっている。だいたい相手も俺とロキは常に一緒にいるということ想定しているはず。ならば俺がいるところにロキがいるはずだと相手は考える」


『つまり相手は君かロキの居場所さえ分かれば確実に相手はとらえに来るということか。そしてそれは学園のサーバーに残っている出欠記録の中にあるということか』


「ああ、俺達は学園が休校になったことは知らない。つまり学園のサーバーには今でも俺達が欠席届を出した記録は残っているはずだ」


『まずいことをしたね。こんなことが裏目に出るとは・・・・・』


「とりあえず学園の状況を見てから考える。そっちの状況は?」


『君の使者の所にいるけど未だ君の言う銀髪少女は来ていないよ』


「そうか・・・・」


『まあ、いざとなればこっちは全力で交戦するから任せないさい』


そのたのもしい言葉と共に通話を終了した



◇◆◇◆◇◆



御影が学園に到着した時はいつも活気にあふれているときは違う静けさに満ちた場所となっていた


「これはかなりきな臭くなってきたな」


そう言いながら御影は裏門から学園の中に入った

そして御影は建物の影に身を隠しながら一つ一つ扉を見ていく

・・・まだここには来ていないのか?

しかしそう思った瞬間、あざ笑うかのように一つのドアが風に寄って開いた

御影は背筋に寒いものを一瞬走らせたが、風によってドアが勝手に開いたのだと解り少しほっとする

しかしこれで確定した。すでにあの銀髪少女はここに来ていた

ドアの隙間から内部を確認し御影は足音を立てずに忍び込んで行く

その姿を屋上から見る者がいた



◆◇◆◇◆◇◆



『で、どうなのだ?』


「特に人的被害は確認していません。物的被害につきましては後で統括評議会の方に回させてもらいますよ」


『それに関しては研究局と管理局の双方どちらかに回せ』


「貴方が炊きつけたのにですか?」


『炊きつけてなどいない。勝手にあやつらが言い出したことだ。』


「そうですか。貴方が炊きつけたものだと思ったのに。これでは賭けが俺の負けか・・・・」


『後で始末書ものだ。帰ったら覚えておけ。D25と共にな』


「ランクS8まで駆り出しておいて始末書って最悪ですね」


『該当者がお前とD25しかいなかったからだ』


「そうですか。まあ、頑張って仕事するんで始末書は御免と言うわけで」


『仕事の出来具合だな』


そう言って通話が切れた

その人物はため息をつきつつ携帯をポケットにしまい屋上から開いたドアを見つめていた


「まあ、嘘つきは嘘つきなりに頑張りますか。御影・・・・・」


その人物は口端に笑みを浮かべそのまま屋上の出口に向かった


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