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20話 やるべきこと

「朝か・・・・・」


御影は上体を起こして近くにあったサイドテーブルに備え付けのデジタル時計を見た

まだ朝は早い。行けるな

御影は左腕にあった点滴の注射針を抜いた

少し痛みがあったがそれを気にせずにサイドテーブルの上にあった新しい制服に袖を通して病室のドアを開けた


「一人で決着をつけるつもりか?」


すでにドアの近くには天垣が張り込んでいた

珍しく鋭い目つきでこちらを追いこむように見ている


「もうすぐ君を訪ねて人工島特別治安局が訪ねてくるんだぞ?ここで逃げれば何かしら疑いをかけられるのは解るだろ?」


「実際罪はあるんだが?」


口端を吊り上げながらそう天垣に言う


「使者はどうする?」


「研究局の彼女が護っている問題ない。それに病院で騒ぎを起こそうとは相手も思わないだろう」


「そうじゃない。彼女のトラウマが再発する可能性があるんだぞ、それでもいいのか?と言っている」


「大丈夫さ。今度は歩いて帰ってくる」


「そんなにたような言葉は聞きあきたが事実それを実行したことなど一度もない」


「だったらどうする?」


「全力で止めるまでだ」


天垣が鋭い目つきにさらに拍車がかかった

その瞬間、天垣がもたれかかっていた壁とその反対側の壁に二つずつ魔法陣が形成されていた

そしてその魔法陣の中央の星型のマークがほどけるようにしてロープとなり御影に襲いかかる

しかし御影はそれをよけようともせずただため息をついて右手を出した

ロープが御影の右手に触れるなり亀裂が入りそのまま魔力となって霧散した


「アンタは利口な方だと思ったけど、どうやらそうでもないようだな」


「どうやっても君は拘束できないか。怪我人とここで格闘戦をするわけにもいかないしな」


天垣は頭を掻きながらため息をつく


「別に俺は構わないが?格闘戦だろうと」


「それで僕が勝てると思っているのかい?」


天垣はいつも通りの口調と表情に先ほどまでの鋭い気配は微塵も感じさせない


「少なくともあの拘束術式を連動式にせず固体式にすればまだ拘束で来たかもな」


「そこまでする価値はないからね」


「じゃあ、何のためにしたんだよ?」


「まあ、一種の覚悟の確認?」


「何で疑問形なんだよ!?」


「まあでもこれだけは言っておく」


天垣はすぅーと息を吸ってから


「今日が決戦でなかろうと生きて無事にお前の使者の前に顔を出してやれ。いいな?」


御影はその言葉を聞くなり天垣の前を歩く


「当り前さ・・・・・・」


不意にこみ上げてきた笑みをそのまま表情に出しながら御影は歩いて行こうとしたが不意に足を止めた


「学園には連絡したのか?」


「病院のサーバーから学園のサーバーに直でね」


「そうか・・・・」


それを聞いて納得したように御影は歩いて行く

それと入れ替わりに天垣の使者が天垣の方に歩いてきた


「行かせたんですか?」


「ああ、まあ止めたところで夜の病院を抜け出しそうだったから行かせたよ」


「まるで昔の貴方みたいですね」


「ん?そうかい?僕はあんな無鉄砲じゃなかったけどね」


「ええ、でも無謀でしたね。あなたも」


「あははは・・・・・」


天垣はその返答に笑うしか答えることができなかった


「でもそれがかつての僕にとっても、そして今の彼にとっても、やるべきことだったんだろうね」


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