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19話 トラウマ

これは・・・・俺の夢か

あたりは炎であふれかえり崩れた建物や穴が開いた道路が見えた

人っ気が無いこの場所で一人だけ歩いていた

俺・・・・か?

このころの御影は髪が長く眼もとぐらいまであった

そのせいで正しい表情はうかがえない

しかし今目の前で歩みを進めているのは紛れもなく鳳欧・御影本人だった

そう、〝一年前の″鳳欧・御影だった

目の前に映る御影は歯が折れかねないほど力が入っており頬には涙をたどった跡があった

や・・めろ・・・・・・

そして御影はクレーターの中心に行き屈んだ

やめ・・やめて・・・・くれ・・・・・

指を横一列に配置しそのまま弓を引くようにして手を上げていく

そしてある程度まで言った手はそのまま・・・・・・



◆◇◆◇◆◇



「やめろ!!――――――――ッ!?」


御影は片手を掲げるようにしてベッドから起きた


「んっ・・・・起きたのか?」


御影の左隣にソファーが置いてあり、そこの上で体育座りをして眠る少女がいた

その少女は竹刀袋を抱えた先ほどまで眠っていた

どうやら御影の叫び声で起きたらしい

彼女は数度頭を軽くゆすると先ほど眠っていたとは思えぬほどきっちりと目を覚ましていた


「すぐに看護師を呼ぶ。待ってろ」


そう言って彼女はすぐに出て行った

御影の両手には包帯がぐるぐる巻きにされていた

ガラス片で負った傷なのだろう

・・・誰が診断したんだ?

御影は怪我の具合よりもそっちの方が気になってしまっていた

数分後、ポニーテールの少女が看護師と医者を呼んできて軽い検査を行った

そして医者と看護師と入れ替わるようにして、天垣が入ってきた


「僕はこう見えても多忙の身なんだよ?」


寝癖がついた髪を掻きながら目を細めて御影を見た

どうやら白衣を着ている姿から天垣が御影を担当したのだろう


「しかもこんな女の子にわざわざ運ばせて」


そう言って正面に来た天垣の隣に位置する形でこちらに会釈をしてきた


「防神省対神研究局特殊部特別工作員。水無瀬(みなせ)由利(ゆり)です。よろしくお願いします」


「研究局ってことは、あの研究馬鹿がいるところか」


天垣は天井を見ながら思い出すようにそう呟く


「夕凪局長を知っているのですか?」


ポニーテールの少女は驚きを表しつつそう天垣に聞く


「ああ、あいつは僕と同期だ。まあ、異能者にはならなかったけどね」


「異能者にならなかったのか?どうして?」


「簡単さ。異能者なんてなったところで研究の邪魔になるだけだって」


「随分と研究に熱心なようで・・・・・」


「素直に研究馬鹿っていってもいいよ」


そう、うちの学園は異能者のほかにも一般生徒や異族生徒などを有しているためかなり大きな学園になっているのだ

もちろん一般生徒の中には戦術学を学び戦術師になるものもいる

そうやってこの人工島は守られているのだ


「そういえば、ロキは?」


そう言った瞬間、あたりの空気が重くなるのを御影は肌で感じた

天垣は嫌なところをつかれたと言った苦笑いをしている、だが目は笑っていなかった

そして由利も目をそむけて気まずい雰囲気を出していた


「まあ、結論から言えば彼女は倒れた」


「何で―――――」


「それは異能者である君が一番よく知っているんじゃないかな?」


天垣は御影の言葉を封じるように言葉を出してきた

まるでこれができなければ失格と言うように・・・・・

御影は少し目を伏せるようにして考える。しかし考えるまでもなく解った

それは彼女が唯一見せた弱みでありそれの類似的なことを御影は行ってしまったからだ


「俺が倒れたことが関係しているのか?」


「まあ、それがトラウマの再発原因だと考えるのは妥当だろうね」


御影はその言葉を聞いて少し俯き加減になった


「担任からもお前の通話状況で飛び出して行ったということも確認している」


不用意なことをしたな、と歯を食いしばりながらシーツを握りしめる


「まあ、トラウマの原因はやはり君の姉だろうね」


「俺のせい、か・・・・・」


「まあ、君が悪いと一概に言えないが突っ込むにはもう少し考えた方が良い。思慮の足りなさでは君が悪いだろう。だが・・・・・」


天垣は一息つきつつ言葉を紡ぐ


「彼女のトラウマも相当なものだろうな。それに――――」


「一体他に何があるんだ?」


「彼女は前異能者、つまり鳳欧・茜が死ぬ前後間の記憶があまりに少ない」


「まさか!!それって――――」


「倒れた後に彼女を診断した。おそらく記憶障害だろう。その部分のみまるでノイズでかき消されたように曖昧らしい」


「そうか・・・・・」


「とりあえず今日一日は病院で安静にしていればいいよ」


そう言って天垣は手を大降りに振って出て行った


「私は彼女の方に行くが何か伝言はあるか?」


由利は背中越しに振りむいて御影に聞いてくる


「俺の方は良い。彼女を護ってあげてほしい。頼む」


「・・・・・・・」


彼女は何を考えていたのか解らないまま出て行った

御影はそれを見送り病院のベッドで眠った


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