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18話 崩壊は唐突に・・・・

放課後、御影は当てもなく学制区をぶらついていた

ロキは担任に呼ばれ詳しい事情を聞いている所だ

なので終わったら担任から連絡が来るようになっているので学制区から出ることはできないのだ

当たり前だ。今朝にあんな情報を聞かされていつも通りにふるまえるわけもなく授業中でも半分聞いていない状態だった


「だけど、相手が明確にも分かっていない状態で戦えってのも無理があるよな」


そんな中、目の前からひときわ目立つ人物がこっちに向かって歩いていた

まるで何にも染まらぬ白銀色の髪を一部後ろのまとめ、髪の色とは対照的な色の黒のリボンでくくっている

そして人を寄せ付けぬほどの切れ長い鋭い碧眼が人の海をわっているようにさえ思えた

・・・・随分と綺麗な人だな。フラリスからの留学生か?

御影が通っている神約学園は人工島内でも大きめの学校なのでフラリスや他の区域にある人工島から留学生が来る時があるのだ

そのせいか、目の前の銀髪少女は見慣れぬ制服を着てしかもキーボードケースを担いでいたのだ

だとしても今の御影にはそんな奴に注意を向けるわけにもいかずロキを狙ってくるであろう刺客を探さねばならなかった

そして御影と銀髪少女がすれ違った時、不意にその綺麗な唇へと何気なく目をやった



抹殺対象者確認。任務を開始する



御影は目を見開いた。彼女の唇の動きから予測したものだったが確かにそう呟いた

次の瞬間、御影の後頭部から風を感じあわてて姿勢を低くする

御影が姿勢を低くした瞬間、御影の頭があった位置に辺りに強風を生むような右足の蹴りがとんできたのだ

近くにあった電柱は風圧だけで一部をひしゃげさせたのだ

・・・・身体強化の魔術を付与させているのか!?

御影は身体をひねり左足を引っ掛けようとしたが彼女は強化された身体能力で宙返りをして路上にあった車の上に飛び移る


「お前か。ロキを狙う刺客は・・・・・」


周りの人たちは何事かと集まりだした

もしも今後暴れることになれば確実に周りに被害が出る上死人が出ることだってありうる

だが今の御影にはそんな余裕なかった

こんな子が刺客だって言うのか?

まだ御影達とはさほど年が離れていない少女はただ車の上から御影を睨みつけていた


「はい、ですからこれ以上手を煩わせないでください」


彼女は凛々しい声でさらに視線を鋭くし睥睨するような顔を作った

その瞳にはただ面倒事と言う感情ともう一つ憎しみがあった

そして彼女はキーボードケースを足元――――車の上に置いた


「貴方だって聞いているはずです?私のことを。これを・・・・」


そう言って先ほどキーボードケースを一瞥する

あの中に『神滅する賢者の槍』が入っているのか・・・・・


「今なら苦しまずに殺ってあげます。しかしこれ以上抵抗するなら無駄な苦痛が続くだけです」


「残念ながら無抵抗が一番痛い目を見ることぐらい分かっているからな」


「・・・・・そうですか」


彼女は嘆息するように息を吐き、そしてキーボードケースのファスナーに手をかけた

・・・今しかない!

ただ魔力によって身体強化させたでたらめな強化で彼女に突貫した

しかし彼女はただただ御影を見たのちにため息をつき爪先で音を鳴らした

次の瞬間、


「――――消えた!?」


そして御影の目に入ったものは陰陽師が使う符が車に張ってあった


「――――ッ!?」


そう息を呑んだときには遅く車は大爆発を起こした

それを見た野次馬どもは慌てて身をひるがえして一目散に逃げていく


「これなら少なくとも苦しまずに逝けるはずです」


そう呟いて彼女はキーボードケースを肩にかけて大爆発を起こした車に背を向けた

しかし彼女が後ろを向いた瞬間、あたりが陰った

彼女は眼を見開きながらも半身の姿勢で後ろから来たものを避けて後方へと跳躍する


「まだ生きていたのですね。随分と心臓が強いようで」


「やってくれるじゃねーか」


御影は口端から垂れる血を拭って口の中にたまった血を吐く

すでに御影の両腕には車のガラス片が突き刺さり止めなく流れている

どうやら符の術式には爆破術式と操作系術式を組みこませていたらしい。ガラス片がありえない軌道で御影の身体に突き刺さったのだ

護る前にこのざまじゃあ流石に面目が無いな


「ならひと思いに心臓を突き刺されて死んだ方がよさそうですね」


そう言っていつの間にかおろしていたキーボードケースのファスナーを開け中にある何かをつかんだ

そして彼女はそれを引き抜く動作でキーボードケースから出した

御影はその槍を見るなり眉をひそめるしかなかった

漆黒色に赤いラインがいくつか入っている槍だった

穂先の部分はまるで両刃剣をそのまま小さくしてつけたような感じの物で途中何かを無理やりに折り曲げたような三角形状の突起物が左右に一つずつついていた


「『神滅する賢者の槍』。これがその槍です」


そう言い終えると槍の柄部分が伸び、本来の槍の長さになりそれを確認すると彼女はその槍を構えた

御影は槍を構えた少女を見て数歩後ずさる

それしか今の御影はできなかったのだ

何もすることができない。唯一距離をとって相手の挙動を察知し避けることしかできない。いやもしかすれば一撃目を避けたとしても二撃目でやられるかもしれない

だからこそ彼女と話している間に携帯を担任と通話モードにしてポケットに入れっぱなしにしていた。さっきの爆発でぶっ壊れたが


「これで終わりです」


彼女がそう言った後、舗装された道路がめくれ上がった

どうやったらそんなことができるのか分からないが今の彼女は先ほど槍なしで戦っていたとは思えないほど速かった


「くっ――――!」


ほとんど勘でしか解らないがそれでも一撃カウンターさえ入れたら、そう思いながら御影は拳を握った

しかし次の瞬間、髪をなびかせこちらに突貫してくる少女の顔色が変わった

おもむろに上を向くと踵で急停止を行いながら宙返りで距離を取った

・・・なんだ?

御影も頭上を見る

その瞬間、御影の前方に何かが道路に落ちて破壊した

道路の破片を御影は両手で防ぎながら目の前の出来事を両腕の隙間から見る


「ぎりぎりだな」


そう言って御影の前に降り立ったのは白色のリボンでポニーテールにした少女だった

ポニーテールの少女の鋭い碧眼はさらに鋭さを持ち、先ほど御影を攻撃しようとしていた銀髪少女へと注がれていた


「お前・・・は?」


「あとで自己紹介はしよう。だがその前に目の前のことを済ませる」


彼女はそう言いながら右手に持っていた刀を構えた


「これ以上、ここでの戦闘は危険ですね・・・・」


銀髪少女が鋭い視線を送る方からは人工島特別治安局が乗る車のサイレンが鳴っていた

彼女はキーボードケースを持つなりあたりに強風を巻き起こして飛び去った


「私達もすぐに―――――」


ポニーテールの少女が御影の方を向いたが、そこには倒れ伏した御影がいるだけだった



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