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14話 二度あることは三度ある

翌日

御影は午前の授業を受けていた


「魔術を使用するのに前準備として二つの物が必要です。一つは魔力の炉心。簡単に言ってしまえば皆さんの心臓です」


と水海担任が目の前の教卓に立ちながら説明している


「そしてもう一つは神経回路。炉心から魔力を送りだし神経に備わっている神経回路を通じて全身に魔力が通る。そしてそれを術式に送り込むことによって魔術は成り立ちます。神経回路自体スイッチのない一つの回路なので局所だけに魔力が送れないのが欠点でもあります」


そうやって前年度のおさらいをしてから授業へと入りこむ

御影は興味なさげに青空を見上げた

よくみんなまじめに聞ける。俺には無理だ・・・・・

基本、御影は魔術というのには頼らず魔術霊具でどうにかする人物だ

魔術霊具とは術式を構築せずとも魔力を送ることで自動的に魔術を発動し術式を構築する少しのタイムラグをなくす。しかし魔術霊具はあくまで一つに一つの魔術しか使用できないため使える環境が限られてくる


「こら、鳳欧くん。聞いていますか!?」


その言葉と同時に御影のこめかみにチョークが直撃するのだった



◆◇◆◇◆◇



「災難だな。お前も」


「何であれが担任なんだろうな?」


御影は手洗い場で頭から水をかぶっていた

頭から水をかぶっている理由はいたって簡単で担任がチョーク内に衝撃稼働型の術式を組みこんでいて御影に当たると同時にチョークが破裂し頭からチョークの粉をかぶることになったのだ

しかも実演と言うことで普通に他教師から黙認されるってどういうことだよ!?


「で、どうする?そのまま食堂行くわけにはいかねーだろ?」


戸浦が手洗い場の近くの柱にもたれかかりつつ腕を組んでこっちを見る


「すまん、戸浦。先に行って席を確保しておいてくれ。俺は制服の受け渡しが済んだらそれに着替えて食堂に行く」


「そうか。そう言えばお前も降神契約したんだったな」


「ああ、残念なことに」


何が残念なんだよ?相手はロキだろ、という言葉を残して戸浦は食堂の方へと歩いて行った

御影はまだ水分がたっぷりとしみこんだ髪を頭を振ることによって大方落とす

そしてそのまま事務室に向かって走った

しかしそれは何度目か知らない不幸へと出会うこととなった


「・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・」


事務室についた御影はただただ唖然とするほかなかった

何せ、制服を取りに来ただけでこんな場面に出会うとは・・・・・・

御影はドアの近くで現在の状況把握にかかった

御影はただ制服が置いてあると言った待合室に入っただけだ

しかしそこには上半身裸でいるロキと手にメジャーを持った事務係の女性がいたのだった

おそらくロキの体操服や夏服なんかの採寸を行っていたのだろう

だがなぜここでする必要があった!?

ここまでの思考約2秒

それ以上は与えてくれなかった


「ちょっとお話ししようか?」


事務係の女性が額に青筋を浮かべながらこっちに向かって言った

もちろん御影には拒否権はなく

そのまま風紀委員会へと



◆◇◆◇◆◇



「お前も大変だね。異性の使者を持つのは」


「そう思うなら変わってくれ。俺の身体がもたん」


ファミレスで頼んだポテトを限りながらそう呟く


「嫌だね。俺だってなかなか気にいってるんだぜ。ガウェインは」


そう言いながら戸浦も二、三本一気にポテトを取って口に放り込む


「――――くそ、ちゃんと降神契約すればよかったぜ」


「ん?なんか言ったか?」


「別に何もない」


流石に街路で逃げだしていた使者とそのまま契約したなんて言い出せるわけがない

そんなことをすれば使者を奪った疑いがかかりそうだったので黙っておく


「にしても何であんなお前はそんな不幸の連続なんだ?」


「さあ…な―――――」


そんなもの知るか、と吐き捨てもしたかったがさすがに昼休みをずっと風紀委員会で過ごしていたので昼食は食ってないうえ風紀員会で説教されるという精神的にダメージを受けていたので叫べる状況ではなかった


「まあ、この際契約切って違う使者にしたらどうだ?」


「・・・・・・・・」


それはできないとは答えることはできなかった

それを答えれば確実に探られることが明らかだったからだ

それに俺にはもう契約できるだけの力がない・・・・・・

本来異能者が契約できる数は二体だけである

それが本来人間の許容量限界で契約できる数だ

許容量とは、寿命とも魔力とも違う。自身の精神の力である

魂と変えても別段変わりはないそしてそれは人間が生涯で少し成長するかしないかといったものである

精神の力は魔術にも影響したりする

異能者は自分の体の代わりに精神の力を使者に渡すことによって契約しているのだ

もちろんその使者を召喚した瞬間、精神の力は奪い取られる。そしてそれを糧に使者は出てくるのだ

簡単に言ってしまえば自分の合わせ鏡のようなものでもある

しかし最近では魔力の総量によってその使者が変化したりもする

御影は思い出したくもないことを思い出してそれを水といっしょにのど奥に一気飲みした

その時、青空に横一列で4つの軌跡が生み出されていた


「あれは―――――」


「特殊異族対策部隊だろ。しかも空を飛んでいるってことは霊装機甲部隊だな」


そう、戸浦は空を見上げながら面白そうに見ていた

霊装機甲部隊。特殊異族対策部隊としてこの人工島に配備された部隊であり自衛隊とは違い、この島で起こる人工島特別治安局では対処できない事件が起これば出動する。しかし相手は異族でその部隊は人間を中心に組まれているため対抗手段として魔動霊装(D・E・M)に身を包んで戦闘に身を投じる。魔動霊装を着ている限りある程度の物理攻撃や魔術攻撃のは身体に傷をつけることはない。そして通常、気を失うような精神ダメージを耐えうるようにシステムが稼働している。しかし魔動霊装はあまりに癖が強く乗る人も限られてくる。凡用性の魔動霊装ではあまりに力が散漫になり、異族相手に決定的なダメージを与えにくいからだ

時に大ごとなどで出動した隊員の中には片腕を失ったり、両足を失ったりするものたちもいる

そして御影がコップを置くと同時に戸浦のポケットから振動音が聞こえてきた


「――――ん?ガウェインからだ」


携帯の表示を見て携帯を開く

戸浦の携帯は今ではまだ古いがスマートフォンとともに人気がある折りたたみ式のだ。最近では空中投影型も出てきており、それをタッチするというものもある


「すまん。ガウェインから呼び出しだ」


「分かった俺もそろそろ帰ろうと思ったところだ」


そう言って二人で席を立ち伝票を持ってレジに向かった


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