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1話 無能な男

アンライクです

小説を書き出して一週間もたっていない新米です

楽しんで読んでいただけたら嬉しいです

空には雲ひとつない青空が広がり、陽気な日差しが地上へと降り注いでいた

この日差しは変わらずとも世界は移り変わって行く

今から数十年ほど前からすでに日本地図には大きな代わりを見せていた

それは東京に接する東京湾の大部分がなくなっているということだ

正しく言えばなくなったわけではなく、その湾の上は浮遊人工物へと変貌していったのだ

しかしそれは不思議なことではない。逆に今となっては自然にできており、一年に一度地図を書き直すことだってある

そしてその原因が湾上閉口都市である。その名の通り一般人がおいそれと入ることができない湾上に浮かんでいる都市だ

縦横およそ数千キロに及ぶ人工島(ギガフロート)であり、東京湾をほぼ掌握している

だが、なぜこんな湾上にここまでの大きな人工島を作り出す必要があったのか?

それはこの人工島の中に秘密があるのだ

この浮遊人工島を冥幽島と呼ばれている。そしてここは世界有数の異族特別自治区である



◆◇◆◇◆◇



「なんで俺はここにいるんだろうか?」


人工島の内部にある幾重にもある学園の一つ〝神約学園″の屋上から聞こえてきたものだ

学制区と呼ばれる区画の中で最も大きい学園であり、ほとんどの敷地が人工島外へと出ている

そしてそんな周り湾ばかりの学園の屋上から見渡してもグラウンドには人がいなく、あたりから声が聞こえることもない

それもその筈、今は春休みを終えて始業式をしているのだからだ

そしてその屋上で両手を頭の後ろにおいて寝転がる一人の男子生徒がいた

色素の薄い灰色の髪を鬱陶しげに払いながら彼はゆっくりと目を開ける

彼の名は鳳欧(ほうおう)御影(みかげ)である。何故彼がこんなところに居ながらこんなことを呟いているかというと―――


「おい!無能者(スタンダート)!!どこに居やがる!!」


と下から女の声にしては少し低めの声でそう怒声を喚きながら大気に響きそうな足音で屋上の中央あたりまで進んでいく

御影がいる場所はちょうど屋上の出入り口の上に当たる部分でよく学校なんかではそこに貯水タンクなどありそうなものだが、ここではそれの代わりに大きな電子機器のようなものが置いてあるだけだ

御影は気だるそうにしながら身を起して怒声の持ち主を上から見下ろす

女性にしては長身でありブロンドヘアをポニーテールにしたのは良いがあまり毛先がまとまっていないそんな感じの女子生徒だ

そしてとうとうその女子生徒は碧眼の双眸で御影を視界の端にとらえた


「やっぱりここか。無能者」


「第3風紀委員長が普通にそんな言葉使っていいんっすかね?」


御影は二年。対する風紀委員長は三年生。一様年上なので敬語らしき言葉を使ってみたが余計に相手を怒らせただけだったようだ

額に青筋を浮かべ、口端を痙攣させていた


「始業式にも出ん奴にとやかく言われるつもりはない!」


「うわ!?横暴な発言!!風紀委員長がこれではこの一年学園の治安が心配っすね」


両の手のひらを天に向けて首を二、三度左右に振った

その様子に風紀委員長はとうとう切れたのか目を伏せてとうとう不気味な笑い声をあげた

まずい、と思い御影はすぐに上体を起こして逃げ出そうとしたが――――――

御影はそこから動き出すことはできなかった

いや、正確に言えば動いていたならば今頃見影の頭は黒い灰へと散り散りになっていたのかもしれない


「ちょ!いくら再生治療が進んでいる島だからって頭消し飛ばされたら元も子もありませんよ!?」


「別にいいだろ?当たってなかったんだし?」


「結果論をここで持ち出すか!?」


「とりあえず、二、三か所くらい吹き飛ばさないと気がすまない」


風紀委員長は片手に炎らしき球体が浮かび上がっている

あれは一様魔術であり、一年生ころに習わせる初期の魔術である。まあ、会得できるかできないかはその個人による

使い方によっては相手の精神のみを傷つけ、気絶させ外傷を一切残さないようにコントロールすることも可能だ

しかしさっきの炎は確実に御影の頭を吹き飛ばそうとした威力だった


「さて、さっさと身柄を拘束させてもらおうか?手足が吹き飛んだ状況で・・・・・・・」


「すでに身柄拘束とか言う以前の問題じゃないか!!」


「黙ってさっさと私に吹き飛ばされろ!!」


炎の球体を振りかぶって投げてきたのだ

御影は眼前にそんな恐怖をしながらも右手に拳を作り自分のいた地面を殴った

その瞬間、御影の身体ぐらいの円が青白い光を放ちながら広がり、すぐに消えた

同時に御影の足元は空洞となり、重力落下で数回下の階層まで落ちて行った


「ち、魔術霊具か・・・・・・・」


風紀委員長はそう舌打ちしながら屋上から出て階段を下りて行った

すでに御影が開けた穴は徐々に虫が浸食するかのように閉じつつあった

これが鳳欧・御影の2年初めての出来事だった


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