勇者視点1
俺は勇者だ。
元は商人で色んな町や村、王都を転々と移動してた。
父は商人隊のリーダーで30人の商人たちを統率している。
30人の中には子供も老人も何人かいる。
商人隊にしてはまあまあな大きさだ。
俺が生まれる30年も前に魔王が復活した。
町や村、王都は規模の大きさは違えど神殿があり魔物や魔獸が人を襲えないようにシールドがある。
だから、町や村、王都は安全だ。
裏を返すと出ると危険だ。
滞在せず転々と移動する商人は強くなるか用心棒を雇うかの選択に迫られることになった。
用心棒を雇うのはお金がかかる。
大部分の商人は強くなる事を選んだ。
俺もそういう経緯である程度は強い。
自慢じゃないが各町や王都で開かれる闘技大会では優勝している。
ある日、勇者の選定する神殿がある王都に寄った。
父がその神殿の神官長に商売するためだ。
そして、客室に待たされてると勇者の選定が終わった副神官長が入ってきた。
この副神官長は有名で最年少で副神官長になり後に最年少で総神官長になれるだろうと噂されている。
今日も駄目だったと落ち込んでいた。
かける言葉が見つからずとりあえず頭を撫でた。
すると、副神官長はピキッと固まった。
副神官長のような身分にやってはいけない事だったかと思ったら選定してあげると言われた。
不敬罪ではなくて安心した。
そして、呪文を唱えると俺は光った。
そして、副神官長は何処から出したのか笛を吹いた。
父と神官長は他大勢の神官達と共に走ってきた。
そして、勇者になった。
今現在いるのは依頼で森獸という獣を探すためだ。
森獸とは太古から存在している数少なくなった王の森にしかいない森の王だ。
白い狼のようで尾が割れている。
人間に勝るぐらい知力がある。
しかし、凶暴で人の手には負えない。
今、魔が広まり魔化されるものが多い。
魔化されると魔王と同じぐらい手強くなる。
総神殿からの依頼で森獸がいるか確認し生け捕りにするか退治するかになった。
「君、一人?」
愛くるしい生き物に出会った。
『みーみー』
その子は明らかにお腹がすいたと訴えていた。
木の根もとに小さな白い体を丸めていた。
この場所に似つかわしくない生き物だった。
噛むかな、と思ったけどそんな力もないようだ。
抱き抱えると俺の2つの手のひらサイズだった。
そして、連れ去ることにした。