一日目
「あぁ、終わらなぇ!!」
机と長い時間向き合っていた俺は、強く握っていたシャープペンシルを転がすように、投げたし、天を向きながら、そう諦念に包まれた言葉が漏れ出した。
中学生である俺――ナナクサ。
今日は冬休みの最終日前日。つまり、残りの宿題がまだ、四割近くある俺には詰みに近いという訳だ。
いつもクラスでは、カーストが高くも、低くもない中堅的な立ち位置にいる俺は、先生と仲が悪いということもない。
カーストが低い奴は先生と話したことがなく、宿題をやっていないと、言い訳も儘ならないだろう。
だから、一応俺は言い訳が出来るという逃げ道が残っている。
しかし、俺は中堅。先生と仲が良すぎる訳ではない。勿論苦手な先生もいる。なので、言い訳をして宿題をしないという線は得策だとは言い切れない。
こんな事を思考しながら、理科の宿題のワークを、問題も読まず、答えを写すことに集中していた。
終わらなぇ、と言っただけあるが、
俺に残っている宿題は、今行っている理科のワーク。数学のプリント。そして、国語の墨汁による書写。これらは、答えを写したら良い系の宿題である。
そう、答えを写したら良い系の宿題があるなら、写したら良くない宿題がある。
というより、写すことが出来ない宿題である。
その一つとして、技術のレポート。そしてその片割れである物は、冬休みの日記帳である。
「終わったぁ!!ふぅ、一回休憩」
理科の宿題が終わった俺は、今度は丸つけをしていた赤ペンを放り投げた。
丸つけをしたと言っても、当たり前だが、間違いはない。
しかし、全部正解にするのは、答えを写したのがバレるのを恐れるというか、気が引けるので、辞めた。
俺は一度自室から出ると、袋に入ったお菓子を食べた。それに、グレープ味のグミを持って自室へと戻っていった。
そして、理科が終わってから十分ほどで、また机に戻り、今度は数学のプリントをやるようにした。
それから、また宿題を始めるとまた俺は叫んだ。
「宿題が終わらなぇ!!」




